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梶野宮家の転移家計簿  作者:
最終章 異世界召還に巻き込まれた者
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地球とトクベリカの調査結果



 トクベリカを保護した土筆はイレーネイルから正式に領主館で生活する許可を貰い離れの屋敷へと連れ帰った。


「へぇ~ここに住んでいるのね~」


 トクベリカはエルエルから浄化魔法を受けながら足の汚れを落としてリビングに入ると部屋を見渡しソファーに腰を下ろす。


「やっぱりというか、綺麗にしているわね」


「そりゃ掃除ぐらいするだろ。エルエルが浄化魔法をかけてくれて色々助かっているしな」


「はいなのです! エルエルは頑張っているのですよ~」


 テーブルに着地したエルエルは笑顔でトクベリカを見つめ、トクベリカもエルエルの笑顔に頬を緩める。


「私にもこんな優秀な天使がいれば、あんな汚部屋にならなったのに……」


「それって、日本の家がゴミ屋敷になっているとかじゃないよな……」


 訝し気な視線を送る土筆にトクベリカは明後日の方へ顔を背け音の鳴らない口笛を奏でる。


「はぁ……こりゃ、向こうに帰ったら大掃除だな……」


 肩を落とす土筆にトクベリカは口角を上げて口を開く。


「そこは問題ないわよ! 土筆たちが帰るのは八月の後半だもの。多少のタイムパラドックス的なものがあるかもしれないけど、今の汚いリビングに帰る訳じゃないわ!」


 ドヤ顔でそう口にするトクベリカにエルエルが拍手をし、アステリアスとレナも空気を読んで拍手をすると更に胸を反らせ渾身のドヤ顔である。


「それでも汚れていると思うと、何か嫌だな……」


「こっちに来ても神経質な所は治らないのね~ばい菌だってたまには接種しない免疫力が下がるわよ」


 言い負かされた土筆は何とも言えない表情でキッチンへと去り、カプサンにお願いして竈に火を灯し調理を開始する。


「つ、土筆が言い負かされたのじゃ……」


「笑美さまや輝さまに巡理さまにも言い負かされはしていなかったのに……」


「もしかしたら天敵にゃのかにゃ~。にゃ~のソファーも取られたのにゃ……」


 トクベリカが涅槃像のようにソファーに横になったのはペルーシャが普段から土筆の警護という名目で横になっている場所である。仕方なしに椅子に腰かけ背もたれに顎を置きキッチンで作業する土筆を見つめるペルーシャ。


「ふわぁ~何だか少し眠くなったわ……そういえば、最近は夜型だったわね……ふわぁ~」


 大きな欠伸をするトクベリカを観察する乙女たち。レレとペティートは土筆を手伝いに

キッチンへ向かい、聖女は涅槃像の姿を部屋の隅から見つめ祈り、アステリアスとレナは困った顔をしながら監視を続ける。


 ちなみに笑美とココアに輝と美土里は近衛兵の訓練に参加しながら汗を流している。


「トクベリカさま、トクベリカさま、調査した場所はどのような場所なのです?」


 テーブルから涅槃像を見つめキラキラした瞳を向けるエルエルに、大きな欠伸をしながらも口を開くトクベリカ。


「そうね……文化の水準が異常に高く、物流があり得ないほど確りとしているわ。世界中と一瞬で連絡が取れたり、家にいながらボタン一つで買い物ができたり、食については恐ろしいの一言ね。

 多種多様な料理が溢れその中でもラーメン、焼き肉、寿司は危険だわ……安いものはワンコインで食せる事もあって食べ過ぎ注意ね。寿司とかは値段がやばいわ。生の魚を米に乗せ醤油につけて食べるのだけど、あれは芸術ね。焼き肉も部位ごとに値段が違うし、特上と名乗る部位はどれも口の中で蕩けるわ……

 言い忘れたけど、異世界の甘味は恐ろしいを超えているわね。和菓子に洋菓子と簡単な種類に分けられるけど、生クリームの味を知ってしまうと確実に太るわね。これは私の体を使って実証済みよ!」


 異世界の食を語り始めたトクベリカの言葉を真剣に聞くエルエル。アステリアスとレナに聖女も耳を傾けながら先日の失態を思い出し苦い顔をしたり、まだ見ぬ寿司という料理に表情を明るくしたり、生クリームという危険な存在にケーキの味を思い出したりと表情がコロコロと変わる。


「異世界は凄いのです!」


「そうね。はじめは凄いの一言だったわ。交通手段も一度に何百人もが乗って空を飛ぶ乗り物や、地面がアスファルトというもので覆われその上を走る馬車の代わりの車。電車という決まったルートに専用の道を作った乗り物もあるのよ。都会へ行ったら土を見る日がない事もあるんじゃないかしら……」


「それでは土の大精霊さまも困ってしまうのです!」


「そうかもしれないわね。精霊自体が少ないし、神を信じる者も少ない世界だったわね……土地神とかあまり力がなかったわ。妖怪と呼ばれる不思議な生物などもいたけど暮らしにくそうだったわね……ん? 何だかいい匂いがしてきたわね!」


「ハンバーグさんの香りがするのですよ!」


「うわぁ……そういえば半分残したハンバーグをリビングに置いてきたっけ……」


 転移する直前の事を思い出したトクベリカは顔を歪め後悔するが、どうせ帰るのは時間の巻き戻った世界だと思い話の続きを口にする。


「向こうにもエルフやバンパイヤもいて、色々と協力してくれているのよ。特にバンパイヤとかは生活に密着していて、献血という手段で血を求めたり日焼け止めという薬を開発して日の下で生活したりね。ある意味では一番上手く世界に順応していたわ」


「オーガなどはいるのですか?」


 鬼人族オーガであるレナが口を開きトクベリカへと質問を飛ばす。


「ええ、いるけど……数は本当に少ないそうよ。大型の種は環境に適応するためにその体を小さくし、角も小さくなったとか。昔は多くいたらしいけどね……エルフは森を管理する仕事やお花屋さんとかで働いているそうよ。獣人種は見かけなかったけどサキュバスは多くいたわね」


「おお、それは気になるのじゃ!」


 同じ夢魔族サキュバスであるアステリアスが身を乗り出し聞く体制を取ると、トクベリカは嬉しそうに口を開く。


「サキュバスはテレビやネットで多く見かけるわね。アイドルとか呼ばれて歌を披露して生活したり、占い師とかで生計を立ててたりかな。サキュバスとしての血が薄くなっているけど魅了が残る者がそういった仕事をしていたわね。

 水商売にも多くいて高い酒を男に飲ませて荒稼ぎしている危険なサキュバスも多かったわ。あまりに酷い時は地域の組合で対処するそうだけど……大きな都市とかはその稼ぎが政治家に渡って手が出せない場所もあるとかでね~色々と大変な事も多いのよ~」


 トクベリカの言葉に難しい顔をするアステリアスとレナにエルエル。


「まあ、あっちにいた者はこっちの世界の者ではないのが殆どだけどね。異世界といっても色々あるし、秘密裏に文化交流やら、違法侵入やら、惑星移民やらで受け入れたりしているのよね~環境という意味では地球という星は優秀だからね。ただ、最近は地球も危うくなっているわ。わぁ~ハンバーグかと思ったけどゴロゴロお肉のミートパスタ!」


「俺的には人間以外の人種が多くいる事に驚いたけどな……」


 前に置かれた三人前はありそうな山盛りミートスパに手を合わせるトクベリカは、フォークを持つと大きな口を開き一心不乱に口を動かす。


「あむあむ……うまっ!? さっき食べたハンバーグはそれほど美味しくなかったのに、何でこんなに美味しく感じるかなぁ……あれ……」


 手を止め溢れ出した涙に驚き、土筆は指輪の保存機能からタオルを取り出すと両手で涙を拭うトクベリカへと手渡す。


「あ、ありがと……何でかな……止まらないや……」


 タオルで目を押さえるトクベリカにエルエルのエクスヒールが輝くも涙は止まらずオロオロと飛び回りながら心配の声を上げ、土筆はそんな心配するエルエルを呼ぶとキッチンへと引き下がるのだった。





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 誤字報告ありがとうございます。本当に助かります。


 お読み頂きありがとうございます。


 

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