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友情執事伝  作者: いすみ 静江✿
第1章
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第7話 妻の裏切り

 シフェーン様はどうお思いなのだろうか。

 陽ノ国で産まれ、また陽ノ国へ帰りたい。

 訊いてみようか。


「最終的にはスシュン様と陽ノ国で合流ですよね」

「他になにか?」

「いえ、怖気が走ったもので」

「母親がお互いにいないんだ。父を安心させてやりたい。でも、スシュンが本当にうちの妻になってくれるだけで、夕餉などは一緒になるだろうな。アスカが義弟か。どうやって揶揄おうか」


 そこ、大事なとこ外してますよ。

 とか、言ってやりたいけどスルーしよう。


「あのローブの魔法使いは中々強い」

「しかし、スシュン様によく似ています。それに血は赤かった」

「アスカ、ここは素直にスシュンがここにいるとか考えようよ」

「だね」


 顎を擦りながら、シフェーン様はことの顛末を考える。


「どうしてスシュンがここにいるんだ」

「魔法でクナガイへ飛ばしますか?」

「いや、同じことの繰り返しが起こるかもしれない」


 それはそうだ。

 だからこうしてここにいるのだろう。

 どういう過程でなったにしろ。


「では、森のエーベル様に」

「待て、洗脳されているかもしれない」


 考えすぎなのは、スシュンが好きだからですね。

 姉さんも果報者ですよ。


「シフェーン様、SFですか?」

「いやあ、ファンタジーだって拷問とかあるだろう」

「これは甘い蜜系ではないでしょうか」


 ペチペチ。

 ペチペチ。


「起きないね」

「この場に置いていったら危険です。姉さんは私が背負います」

「そうだな。術にかかっているとすればかけた当人にといてもらわないと」


 布を巻いて縛るだけの手当をして、私は背負った。

 姉さん、軽くなった。


「こんなに苦労をさせるなんて、敵も味方もあったもんじゃないですよ。平和がいいのに。敵対する関係そのものを破りたいと思いませんか?」

「思うよ。だから敵地にきた」


 すぐそこに門があった。

 聳え立つ姿は威厳、圧巻の言葉の類だ。


「おい、アスカ。誰もいないぞ」

「門番も置かないのですね」


 スシュンが門番だったのかな。

 捨て駒だ。


「入るか?」


 シフェーン様はちょっと指先を曲げた。

 私も首肯する。


「入る前に熱い湯を召し上がってください。もう土器が熱いですよ」

「お、おお」


 じいっと見ていたらシフェーン様が躍り出した。


「お、おお、熱い!」

「言いましたよ」


 シフェーン様は嫌そうな顔して眉根に皺を寄せていた。


「冷まして渡してよ。はい、フーフーしましょとか」

「夫婦化」


 プンスカと怒ってやったが、それがよかった。

 心と体を揺らすことで、内部からあたたまってきた。


「もう門です。仰向けに倒れているのはスシュンのようでした」

「こんな極寒の地に、スシュンよ……」

「彼女は私のローブで巻き巻きしますから」

「じゃあ、運ぶのは僕のお仕事だ」


 遠慮し合って中々門を潜れなかった。


 ウギー。

 バタン、バタン。


 背中で門が閉じた。

 もう、帰れない。

 戻れないんだ。


「さて、どうしますか?」

「一生に連れ添う妻ときめたんだ。責任は僕にもある」


 シフェーン様、頼もしいですね。


「目的はイザーク・ローデンヴァルト様に謁見、そして王座を追うことだ」


 ほつりと顔に自信が見えなくなった。


「無事に仕事を済ませられるかどうか」

「いつものシフェーン様なら大丈夫です」


スシュンは白夜城では真っ黒なローブに身を包んでいたが、シフェーン様から贈られたトンボ玉のネックレスを大事にしていた。

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