表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/14

第8話 舞美からのデートの誘い

 探索科学校の時間割の話だが。

 平日は、午前が座学、午後が探索に行くか、またはその準備をする。


 その『平日の午後』は、『自由時間』ではない。

 普通の学校では授業をやっている時間を、『探索者としての活動』のための時間にする。


 そういうものだ。

 とはいえ、『ゲーセンの特定のゲームで遊ぶと、その後のダンジョン探索で調子が良くなり、集中力が上がる』みたいなケースもなくはない。


 そのため、学生が平日の午後にゲーセンで遊んでいても問題はない。

 ただし。


『あの、閃斗さん。デートに行きませんか?』


 電話越しに、閃斗にそう言ってくる舞美だが。


 平日の午後に、男を誘ってデートに行っていいものか。


「ああ。わかった」


 閃斗としては、本心から、どうでもいいことである。


『そ、そうですよね。迷惑かけていいって言ってましたし……』

「言ったな」

『そ、その、付き合ってる人って、いませんよね』

「君次第だ」

『んなっ!?』

『ぴっぴっぴwww』

『ちょ、笑うな! そのインナー洗濯しますよ!?』

『ぴぎゃあああああっ!』


 電話の奥で何が起こっているのだろうか。


「なんていうか……いずれにしても前のめりだな」

『何か言いましたか?』

「いや、何も」


 いずれにしても、と閃斗は言ったが。

 では、何と何があるのか。


 若い男女であり、会うとなれば、『恋愛』が真っ先に思い浮かぶが。

 閃斗はこういう声色を知っている。

 これは、恋愛ではなく『安心』のためだ。


 その上で、閃斗は問題ないとした。

 ……電話の向こうで、ミーちゃんに問題が起こっていそうではあるが。


「で、どこに行くんだ?」

『え、えっと……』

「ただ、街を歩きたいってだけでも構わないが……『鮨処(すしどころ)鮫皮(さめがわ)』って知ってるか?」

『高級寿司屋ですね。このあたりだと、なかなか予約が取れない人気店ですが……』

「大将が俺にでかい恩があってな。一週間に一度、タダで食わせてくれるんだよ。個室も、普通より小さいヤツだけど俺専用がある」

『はあっ!?』


 人気があって予約がなかなか取れない高級寿司屋に、専用の個室がある。

 一週間に一度しか使わない個室なのに、稼働率を無視して作られているのだ。


 一体、何があったらそんなことになるのだろうか。


「二人前と、ミーちゃん用に何かだな。まぁ、それくらいなら問題ないし、電話しとくよ。待ち合わせは駅でいいか?」

『え、えぇ……』

「それじゃ、俺はこれから準備して駅に行くから、ゆっくり準備して来いよ。認識阻害の効果があるマジックアイテムは忘れずにな」

『わ、わかってます!』

「そんじゃ」


 通話終了。

 すぐに、閃斗は電話をかける。


「あ、大将。これから行くよ。二人前と何か小さいものよろしく」


 というわけで、準備して、閃斗は駅に向かって歩き始めた。


 ★


「……」


 駅と言うのは人が多い場所だ。

 通りかかる人の誰もが、何かの目的を持って歩いている。


 ただ、その目的は、閃斗の肌を見て、驚愕することも多い。


「ね、ねぇ、あの人、肌、綺麗すぎじゃない?」

「モデルさんかな。何を使ってるんだろう」


 管理支部のロビーにおいては、『ママ活疑惑のDランク』の閃斗だが。


 当然のこととして、この町に住んでいる人間の内、九割は探索者ではないし、管理支部のロビーを利用することもない。


 そんな人たちからすれば、閃斗の肌はあまりにも綺麗すぎる。


 顔立ちは特別良いわけではない。しかし、『優男』と称される顔立ちではある。


 見られていてもストレスを一切感じていない落ち着いた雰囲気は、スマホを弄っているだけでもなかなか絵になる。


「……ん?」


 シャッター音が鳴らない、カメラの作動を感じ取った。

 閃斗が目を向けると、銀髪でギャル風の女子高生が閃斗にカメラを向けていた。


 白堂学園でも黒王学園でもない制服だが、そもそも双葉ケ丘市は白堂学園の存在によって、『特別な美容品』を扱っている会社が多い。


 駅ともなれば、別の市から来た人が通ることも珍しくない。


「あ、バレ……」

「撮った写真。最大までズームしてみな」

「えっ」

「いいからズームしてみな。毛穴一個もないから」

「……」


 言われた女子高生はスマホを見て、写真を選んでズームしている。


「う、うっそでしょ……」

「すごいだろ。ただ、盗撮はダメだぞ」

「す、すみません……」

「で……何を他人のフリしてるんだ?」

「えっ」

「制服とウィッグが認識阻害アイテムってのも聞いたことはないが、そんなギャルみたいな格好してくるとは思わなかったよ」

「うぐっ……」


 そう。


 目の前に来た、『銀髪でギャル風の女子高生』だが。


 それは、『制服型の認識阻害型アイテム』を着た、宝生舞美だ。


 マスクもメガネも付けていない。


 ただ、制服とウィッグに、『宝生舞美だと認識されない効果』がある。


 では、何故、閃斗がわかったのかと言う話ではあるが。


「試したつもりならまだまだ甘いな。まぁいいや。行こうか」

「は、はい……」

「ぴぷぷっwww」

「ちょ、ミーちゃん……」


 鞄の中で笑うミーちゃんを、顔を赤くしながら抑える舞美。


 閃斗は舞美を連れて、街中を歩き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ