④ それから
「……解りました。でしたら……。」
セト神の成雪はそう言うと、両手で二つの遺体に触れ、それらを同時に、組成分解して、チリにしてしまったのだった。
そして、やりたい事を、やり終えたからだろうか?成雪はその後すぐに、元の姿に戻ったのである。
「これからもこんな感じに、自由自在にチカラが使えると、便利なんですけどね?」
ニンゲンの姿の成雪は、苦笑しながらそんな事を言う。
「確かに神様のチカラだし、頼り甲斐も有るけど、私は、コッチの可愛い成雪の方が……好きだけどなあ。」
カグヤがボソリと呟いた。
「えっ、今、なんて?」
「な、何でも無いわよ。それに同じ事を二度も言うのは、時間の無駄よ。」
何故か真っ赤な顔で、カグヤがそう言った。
「ところで伯爵!」
少しばかりムキになって、話を逸らすカグヤ。
「なんですか?カグヤさん。」
穏やかに答えるサン・ジェルマン。
「アナタは何故か、やけに四次元人や、五次元人の実態というか……生態というのかしら?……に、詳しいじゃない?どうしてかしら。何だかアヤシイわ。」
「ああ、それでしたら、実は、他のサン・ジェルマンたちから聞いたままの、受け売りなんですよ。」
「……へえ、そうなのね。」
「何しろ、全員私ですから、探究心も好奇心も、旺盛なのですよ。」
「成る程。だから僕たちの中に、ウチなる神が宿っているなんて、雪村さんから聞いた時も、それ程驚かれ無かったんですね?」
そう言ったのは、成雪だった。彼も少なからず、伯爵の反応を、不思議に感じていたようだった。
「……そういう事です。さて、ここで長居するのも、リスクが有ります。そろそろ帰りましょうか?」
サン・ジェルマンは二人を促し、クルマへと戻った。
帰りの道すがら、運転席の伯爵が語る。
「よくよく考えてみれば、神と悪魔の違いなんて、我々ニンゲンが、勝手に差別化しているだけの事なのかもしれませんね。」
「……つまり、それは?」
成雪が、続きを待つ。
「四次元や五次元から、我々の三次元の世界にやって来るのは、通常はアッチの世界で、修行が足りないと判定され、記憶を消されて送り込まれた者と、相場が決まっているのですよ。」
「へえ、そうなんですね?」
そこは素直に納得する成雪。
「それなのに、アッチの記憶を持ったまま、敢えて自らの意志で、好き好んでコチラに降りて来る者の内、ニンゲンに都合の良い事をしてくれる者が神、ニンゲンにとって不都合な事をする者を悪魔と、我々が勝手に呼んでいるって事ですよ。」




