㉓ 技術供与
その後は、サン・ジェルマンと鷹志に、フルカネルリ卿から、ブラックナイト備え付けの、レーザー砲やレイルガンについて、簡単なレクチャーが施された。勿論それは、二人にとって、充分に再現可能な技術供与となった。
ブラックナイトには、地上の様子を見守るのと同時に、外部からの敵を迎え撃つ役割が有るのだと言う。
そしてどうやら、彼の手持ちの人工衛星は、コレだけではないらしい。
「ステルス衛星が、あと11基あるんだ。つまりコイツを含めて合計12基。縁起のイイ数字だろう?」
フルカネルリ卿はそう言うと、伯爵にウインクして見せた。何もかもお見通しという訳だ。
「実を言うと、このブラックナイトは、私の露悪趣味の現れなんだ……自己顕示欲とも言うがね?本命は、地上の誰にも捕捉されない、ステルス衛星の方だからね。」
彼はそう言うと、ドヤ顔をした。
「……それにこの衛星を仮想敵にする事で、地上の各国が争いをやめて、団結してくれるなら、願ったり叶ったりなのだよ。」
余程気分がイイのだろう。
今日の彼は、何時にも増して、饒舌である。
「もしも、地球外部から敵が来て、私が撃ち漏らした時は、頼りにしているよ?」
彼は最後にそう言うと、伯爵と鷹志の乗った黒いビートルを送り出した。
帰路の道中、助手席の鷹志が呟いた。
「フルカネルリ卿……凄い人でしたね?」
「そうだね。彼は最早、ニンゲンの人智を超えた存在に、成りつつ有るようでした。」
サン・ジェルマンも同意する。
「でも、ボクたちの敵じゃ無さそうで、良かったです。」
「……本当にそうだと、良いのですが。」
「えっ?だって、あんな超科学兵器の原理まで、教えてくれたのに……。」
「もしも彼が、ホンモノのマッドサイエンティストで、今後の地球環境を憂えるならば、地球の平和のために、人類を滅ぼす事も、あり得ますからね?……かく言うこの私も、少し前までは、そんな事を考えていましたから。」
「ええっ!そうなんですか?」
「何を大袈裟に驚いているのですか。鷹志君だって、一度はその可能性を、検討した事くらい有るでしょう?」
ソレは、図星だった。
だが、鷹志自身もニンゲンである限り、その選択肢を、無意識に避けて来たのである。
(ユリちゃんが、人類と他の生き物や地球環境との、橋渡しのカギだ。ボクは、その可能性に賭けてみたい。そのために必要な研究なら、どんどん進めて行きたい。)
いつしか今の鷹志は、そう考えるように成っていたのである。




