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「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


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⑳ ブラックナイト

 その衛星は、長年の間、正体不明であり続けた。

しかし、時々映像として、捉えられたりはしている。その姿は独特だ。まるで大きくて真っ黒な、一枚の瓦板のようだった。


 往年の特撮ドラマファンに向けて、例えるなら、"キャプテン・ウルトラ"の"シュピーゲル号"のような形と言えば、分かって頂けるだろうか。なに?余計分からない?お近くのAIにお尋ね下さい。


 ……ともあれ、サン・ジェルマンの黒いビートルは、その所属不明のアヤシイ衛星に向かって、慎重に近づいて行った。そして、お互いの距離が残り10m程になった時、異変は起こったのだ。


「ようこそ、サン・ジェルマン伯爵。待ちかねたぞ。」という、声高らかな日本語の呼び掛けが、ビートルのナビゲーションシステムに侵入して成された。そして次の瞬間、牽引ビームのようなモノで、その衛星に捕らえられてしまったのである。


 その後、あれよあれよと言う間に、ビートルは、ブラックナイトの腹に飲み込まれてしまった。

 伯爵と鷹志はすっかり呆気に取られて、事態に対処出来なかったが、不思議と、恐怖心や、相手からの悪意のようなモノは、感じなかったのだった。


 やがて黒いビートルは、衛星内の着艦デッキに固定された。そして、引き続きアナウンスが入る。

「別に、取って食おうというつもりはない。安心して、クルマから出て来たまえ。船内には、清潔な空気が充填されている。呼吸可能だよ。」


 その言葉を信用して、二人はビートルのドアを開けた。成る程、呼吸に問題は無いようだ。しかも1G程の、人工重力も働いている。どうやら、かなりの科学力を持った相手のようだった。


「……そこのドアから入って来たまえ。」

 その言葉とともに、開く自動ドアが有った。もうこう成ったら"毒食わば皿まで"だ。二人は、アナウンスに従って、どんどん奥に入って行った。


 廊下の突き当たりの、最後のドアが開くと、そこは、ヴィクトリア調の家具で設えられた、応接室だった。ワインカラーのベロア生地のソファーが、丸いテーブルを囲んで、アルファベットのCの形に、輪になるように並んでいる。


「二人とも、そこで座って寛いでくれ給え。私も、間もなくそこへ行く。」

 また、そんなアナウンスが入った。しかし、どこにもスピーカーらしきモノが見当たらない。それに多分、隠しカメラも船内に満載なのだろう。


 取り敢えず二人は、大人しくソファーに座り、ここの主を待つ事にした。

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