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「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


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② 小さかったら妖精なのに

「追いかけましょう!」

 助手席の成雪が伯爵に頼む。

「もちろんですとも!」

 伯爵も元気に答え、黒いビートルで、飛んで行くモスマンの追跡を開始した。


 どうやらモスマンは、近くの森に向かうようだ。

 見失わないように、しかし距離は取りつつ追いかける。


 何しろ、相手の正体は、悪魔かも知れないのだ。

 例え光学迷彩を、透明モードにしていても、見つかるリスクはある。


 森の入り口辺りに、モスマンが着陸したのを確認した三人は、その近くにクルマを降ろし、そこから徒歩でそのバケモノを追いかけた。


 そして、そこから少し歩いた木陰の暗がりで、そいつを見つけた。

 そいつは、連れて来た二人のニンゲンに、何かしようとしている。やはり、人命救助では無いようだ。


「そこまでよ!おやめなさい!」

 カグヤは、思わずそのバケモノに、日本語で声を掛けた。

 それに対してモスマンは、コチラに向かって振り返り、三人の頭の中に直接語りかけて来た。


『邪魔をするな。我がカラダを完全体にするために、ニンゲンのボディ情報と魂のエネルギーが必要なのだ。』


 よく見ると、目の上から触角は生えているし、その口元は、まるで昆虫のような異形だ。成る程。これでは、言葉を発声する事も出来まい。それ故のテレパシー能力、という事か。


 成雪は、何だかモスマンの事が、気の毒になった。なまじ、ニンゲンサイズの虫だから、バケモノ呼ばわりされたり、悪魔扱いされたりするのだ。いっそ片手に収まるようなサイズなら、妖精とか言われて、可愛がられたのかも知れないのに……。


「四次元人が、三次元空間に漂う微粒子を取り込んで、ランダムに肉体を構築しようとすると、稀にこんな、昆虫のバケモノのようなモノに、なったりするのです。」

 サン・ジェルマンがそう言った。


「……お気の毒な話ね。でもだからと言って、他人のカラダを勝手に利用する事を、見逃す訳には行かないわ。」

 厳しい顔でカグヤが言った。


「四次元人だから、あの橋で事故が起きる事が、あらかじめ判っていたんだね。そして、事故のドサクサに紛れて、ニンゲンのカラダを調達した。」

 成雪が呟いた。


『待てよ。オマエたちは……サン・ジェルマンの一味ではないか!?』

 モスマンは、まるで3人が誰だか知っているようだった。


「不思議ですね。アナタとは、初対面のはずですが……以前何処かでお会いしましたか?……それとも、我々がやって来る事を、事前にどなたかにお聞きになって居たとか?」

 伯爵がそのバケモノに尋ねた。


『ノーコメントだ。』

 モスマンが解答を拒否した。

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