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「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


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⑰ 雪子と由理子

 年が明けた1994年1月15日の土曜日。

 時刻はちょうど14時を回った頃。

 今日もセーラー服の雪子は、昭和の時間軸の亜空間レストランに、顔を出していた。


 そこへ、いつものメイド服を着た由理子が、アメリカンコーヒーを持ってやって来て、話し掛ける。

「お姉様、お願いが有ります。」

「なあに?私の可愛い妹よ。」


「今日、この後、お暇ですか?」

「あら、私はいつでも暇よ。」

「悪魔の怪物が出そうな案件を見つけたので、出来れば私と一緒に、行って頂けないでしょうか?」


「いいけど、鷹志君は?一緒に行かないの?」

「彼は今後、バックアップにまわるって、決めたんだそうです。」

「へえ、そうなんだ。」


「特に悪魔関係の案件には、手を出したくないって……研究室に籠もっています。」

「ふ〜ん、分かった。じゃあ、付き合ってあげる。で、どこへ行きたいの?」


「海です。例のメアリー・セレスト号事件を、調べてみようと思います。」

「了解。どのクルマで行く?」

「……現場に合わせて、京子さんの黄色いビートルを借りました。じゃあ、すぐ準備するので、コーヒーを飲んだら、先に地下駐車場に降りていて下さい。」


 由理子はそう言うと、バタバタとどこかへ駆けて行った。大方、鷹志に、今から出発する事を、伝えに行ったのだろう。コレは、少し時間がかかりそうね。ゆっくりコーヒーが飲めそうだわ。雪子はそう思った。


 コーヒーカップをセルフで片付けた雪子が、クルマのところまで行くと、黄色いビートルの運転席には、もう由理子が座って待っていた。


「あら、お待たせ。意外と早かったのね?」

「ああ、お姉様。どうぞ助手席へ。鷹志ったら研究に夢中で、何だか上の空だったんです。」


「考えてみたら、そもそも彼は、根っからの研究者ですものね。私のような武闘派とは違うかな。」

「あら、お姉様だって、天才物理学者なんでしょう?」

「まあね。最近はめっきり、アウトドア派になっちゃったけど……。」 


「……行きましょうか。座標はもう、入力しました。」

 由理子に言われてセンターコンソールパネルを見ると、以下のように表示されていた。


 西暦1872年11月7日

 時刻14時00分

 北緯39度30分

 西経33度30分

 

 目指すは、アゾレス諸島の西方100マイルの海上だ。

 由理子は、黄色いビートルを駐車場から出すと、光学迷彩を掛けて、上空に飛ばした。 

 そしていつものように、時空転移装置のスイッチを入れたのである。


挿絵(By みてみん)

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