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「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


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⑯ 悪魔討伐

 サン・ジェルマンは、ジャージーデビルを包んだ光学迷彩ネットの、電撃の出力を最大にした。断末魔の声を上げるバケモノ。ソレを見た鷹志は、やはり何か、いたたまれないモノを感じた。


 コイツだって、生きて行かなくてはならないんだ。好きで、こんな生き方や姿になった訳でもなかろうに……憐れな事だ。


 鷹志の、そんな気持ちを見透かしたように、伯爵が語り掛ける

「鷹志君、その悪魔と呼ばれるモノに、情け容赦は無用です。彼等は正式な手順を踏まずに、好き好んでこの三次元世界にやって来た、四次元人なのです。そして勝手に、我々ニンゲンから生命エネルギーを奪う、略奪者なのです。」

「……はい。」


「……殺らなければ、殺られますよ?」

 自身にも言い聞かせるように、そう言いながら、サン・ジェルマンは、ぐったりしたジャージーデビルに向かって、オリハルコンの剣を振り上げ、思い切り振り下ろした。そして、ただちに切り離された首に向かって、火炎放射器で火をかける。


 やがて例によって、すっかり炭化した首から、黒いモヤモヤしたモノが出て行った。

「ただし、四次元の世界に帰って行くアレまでは、滅しようとは思いませんが……まあ、偉そうな事を言っているこの私も、あの雪子さんに言わせれば、まだまだ甘いのですよ。」

 最後にそう言って、伯爵は自嘲気味に笑った。


 帰りのクルマの中で、助手席の鷹志は、陰鬱な表情だった。

 それを見ながら、サン・ジェルマンが語る。

「鷹志君の気持ちは、良く分かります。相手が何であれ、その命を奪う行為は、気持ちの良いものではありませんから……でも少なくとも、相手が悪魔の場合は、気に病む事はありません。本体は最後に現れた、あの黒いモヤモヤなんですから。アレがある限り、死んではいないのですよ。」


「……はあ。でもやはり僕は、戦士向きではないようです。今後は、みんなの足手まといにならないように、後方支援に徹しようかなと思います。」

 すっかりしょげ返ってしまって、そんな事を言い出す鷹志であった。


(あのユリちゃんだって、お友だちの怪鳥ケツアルコアトルスが、敵の首をもぎ取ってしまった時には、結構落ち込んでいたもんな。やっぱり僕ら普通のニンゲンとしては、ソレが当たり前の反応なんだよな。)


 自分から志願して、伯爵について来たものの、鷹志は今さらながら、事態がどんどんヤバイ方向に向かっている感じがして来た。


 神と悪魔の戦いに巻き込まれるなんて……不老不死とか不死身でもない限り、無理があるんじゃないか?彼は今後の戦いの行方に、自分の精神が、耐えられそうにない気がしたのだった。

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