表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
14/31

⑭ ジャージーデビル

「伯爵、そろそろ試しに行きたいのですが……。」

 杉浦鷹志が、そんな感じにサン・ジェルマンに声を掛けたのは、その年も押し迫った師走の頃だった。


「そうですね。今夜辺り、ヤツが現れるかもしれません……たまには我々二人だけで、行ってみましょうか?」

 伯爵も同意した。二人で開発した、様々な発明品を試すのに、ちょうど良い晩だ。


 今日は珍しく、他のメンバーは皆、帰ってしまって、名護屋テレビ塔の亜空間レストランに、二人きりだった。鷹志としては、もちろん、このタイミングを狙っていたのだが……。


 彼は、色々な素敵なガジェット……つまり秘密兵器を、伯爵と二人だけの時に試しに使って、何か不具合が有るなら、ソレを修正してから、皆にお披露目したかったのだ。


「じゃあ、早速参りましょうか?因みに例のモノは、もう黒いビートルに積んでありますよ。」

「流石は伯爵。仕事が早いですね。」

「鷹志君が、ずっとソワソワして居るのが、分かっていたからね。」


 そんな訳で、二人は地下駐車場に降りると、すぐにクルマに乗り込んだ。今日は二人とも、黒いタートルネックセーターに黒いズボン、その上には黒いコートといった、隠密行動に向いた服装を選んでいた。


 そしてサン・ジェルマンが、センターコンソールパネルに、以下のような目的地の座標を打ち込む。


 西暦1993年12月15日

 時刻23時00分

 北緯39度45分

 西経74度30分


 彼は、静かにクルマを出すと、光学迷彩を掛けてゆっくりと上昇させてから、時空転移装置のスイッチを入れた。


 目指すはアメリカ合衆国、ニュージャージー州の、パイン・バレンズ自然公園だ。今夜、そこにヤツが現れるはずなのだ。


 一方そのころ、自然公園管理者のジョン・アーウィンは、ジープに乗り、一人で深夜の森をパトロールしていた。動植物の違法な密猟や採取を、取り締まるためである。それに近頃は、好き勝手な場所で焚火をしたり、キャンプをしたりで、マナーを守れない者たちも居る。まったく困ったものだ。そんな事を考えながら、カーブを曲がった時だった。


 そいつはふいに目の前に現れた。

 ヘッドライトに照らされてなお、黒く濡れたように見える毛並み。

 真っ赤に光る二つの眼。

 体長1.8mほどの、小柄で細身の馬に似た顔と身体。

 細長く、先が三つ又に分かれた尻尾。

 そして何より異様なのは、背中に生えたコウモリのような翼。


 つまり要約すると、見たことも聞いたこともないような姿の生物が、二本の後ろ脚で、すっくと立っていたのである。

 ……いや、訂正しよう。噂には聞いたことがある特徴だ。そうか。こいつがジャージーデビルなのか?そこまで思い出したジョンは、慌てて急ブレーキをかけた。


 目の前の怪物は、落ち着いた足取りで、後ろの森の中に消えて行った。彼は迷った末にクルマを降りて、懐中電灯を点け、ゆっくりと怪物の消えた先に進んでみたのだった。



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ