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「神と悪魔とサン・ジェルマン」(セーラー服と雪女 第26巻)  作者: サナダムシオ


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⑬ 決着

「今です、雪子さん!!」

 ジャンヌが叫ぶのと同時に、雪男の前と後ろから、その胴体を、同時に剣で薙ぎ払う二人。


 次の瞬間、バケモノの上半身は、下半身から完全に切り離され、真っ白い雪の上に、真っ赤な血液と臓物をぶちまけながら、落ちた。雪山に、野獣の断末魔の声が響き渡る。


 すかさず、雪子が、トドメの一撃とばかりにその首を斬り放した。そして間髪入れずに、チカラ使ってソレを燃やし、あっと言う間に炭にしてしまったのだった。念のためである。やはり、黒いモヤモヤは出なかったが……。


 その間、僅か5秒の出来事であった。


 肩で息をする二人。


「……ヤリましたね。」とジャンヌ。

「上出来よ。」と雪子。

「貴女、やっぱり戦闘のセンスは抜群ね。かつてフランスを勝利に導いたチカラは、伊達じゃなかったって事よね。剣技だけなら多分、あのカグヤ・イシュタルより上よ。」


「そんな……アヌンナキの一柱を担う方と比べられるなんて、恐縮です。」


「私の剣の動きを見た直後に、それにシンクロさせて、きっちり自分の剣さばきを合わせて見せた。だから敵を、真っ二つに出来た。もはや、神業と呼んでも差し支えないわよ。」


「それは……褒めすぎですよ。」

 ジャンヌは褒められすぎて、困っていた。


「……さて、この野獣の死体の処理をしなくちゃね。悪いけどジャンヌ、先にクルマの中に戻ってくれるかしら?」

「はい。でも、どうされるんですか?」

「いいから。後は任せて。」


 彼女がビートルに戻るのを見届けると、雪子はおもむろに両腕を挙げて、チカラを溜め始めた。上空には、おあつえ向きの、黒い雲が垂れ込めている。大方、この雪男の成れの果てが、呼んだのだろう。


 自分の呼んだ雲で、自分にトドメを刺されるなんて、皮肉ね。そんな事をふと思いつつ、雪子は両腕を一気に振り下ろした。


 次の瞬間、稲妻が閃き、落雷が二つに別れた野獣の胴体を、すっかり炭の塊にしてしまった。その上から小枝を振りかけると、焚火の跡に見えなくもない。

「コレで良し。」と呟き、雪子は急いでジャンヌの待つビートルに戻った。


「お待たせ!急上昇するわよ。」

 そう言うと同時に、彼女はクルマを、一気に上空まで飛ばした。ジャンヌが車窓から眼下を覗くと、先程の落雷の衝撃の影響だろう。折しも雪山の斜面では、雪崩が発生していた。おびただしい雪が、事件現場の全てを飲み込んで行く。


「アレで良いのよ。」雪子が隣で呟いた。

「そうなんですね?」半信半疑のジャンヌ。


「雪が溶け始めたころに、事件現場の全てが分かるのが、歴史上の決まりなのよ……さあ、帰りましょう。伯爵に、見つけたのは"悪魔"じゃなくて、"雪男の成れの果て"でしたって報告しなくっちゃ。」


 雪子は、どこか寂し気な顔でそう言って、シルバーのビートルを、懐かしい名護屋テレビ塔へと飛ばしたのだった。


挿絵(By みてみん)

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