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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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80/163

魔女の宮★

描き直した

挿絵(By みてみん)

 示された道を走る。

 途中の横穴から幽霊が溢れ出たが、ロエテムのビームにより霧散。

 あとはひたすら目的地へ向かって走るだけとなった。

 千里眼に示された位置はすぐ目の前。


「おい!あいつって」

「ああ!間違いない!!」


 でた。

 俺の嫌いな兵士達。


 止まれとばかりに大勢を呼んで道を塞いでいる。


「指名手配の奴だ!止めろ!!」

「止まれえええ!!!」


 叫びながら剣先を向けてきた。

 まったく。


「今そんなことしている場合じゃないだろ?」


 心の底から呆れ返りながらどうやって突破しようかと考えていると、クレイが横並びになってきた。


「ディラ!アスティベラート達と先に行け!!ここはおれとジルハがやる!!」


 言いながらクレイが盾を発動。

 後ろから獣人化したままのジルハが駆けてくるのを確認。


「わかった!」


 返事をしつつ速度を落とすと、俺の両側から二人が駆け抜け追い越していった。


「ディラ!乗れ!」


 すぐ横からクロイノが出現。

 背中にはアスティベラートとノクターン。

 そして光輝くロエテム。


「ん?ドルチェットは?」


 訊ねた瞬間、クレイ達の元に駆けていくドルチェットがすぐ側を通り過ぎていった。

 剣はすでに抜刀している。


「お前がそっちにいくなら自分はこっちに残る。火力は分けた方がいいだろ?」

「確かに」


 そう返事するとドルチェットはニヤリと笑って前を向いた。


「こっちに構わず先に行け!!」


 ドルチェットに向かって頷くと、こちらに伸ばされていたアスティベラートの手を取りクロイノの背中に飛び乗った。


「せりゃあ!!」


 盾を巨大化し、こちらに向けられていた剣を一気に無力化。

 わざと盾で死角を作ってくれた。

 この隙にクロイノが影潜りで下へと消える。


 ぼんやりと透けた上でクレイ、ジルハ、ドルチェットが兵士達と渡り合っていた。


 連携の強い三人だ。

 すぐに追い付いてくるだろう。


 兵士達の壁が薄くなった辺りで浮上し、残党を蹴散らしながら先に進む。

 こちらに気付いた兵士がなにかを言いながら追い掛けてくるが、一般的から毛が生えたようなレベルの人間の足ではクロイノには追い付けない。


「見えた!あそこか!」

「!」


 アスティベラートが指し示した方向にはトンネルのような道の終わりがあった。


 その先に見える怪しげな青白い光。

 出口と思わしき方向からはひんやりと気持ちの悪い風が吹いている。


「うわ…」


 円形の巨大な広場だった。

 薄暗い広場の壁にはまるで白い石で作られた唐草模様のようなものが天井まで張り巡らされており、広場の中央にはいくつもの大きな泉、凍りついているがその泉から青白い光が放たれていた。


 ここまでだったら、ただの美しい光景だった。


「酷い…」


 思わずノクターンが口元に手を当てていた。


 その泉の側にあるのはおびただしい量の死体だ。

 全てが凍り付いた山となり、その傍らでゴーストらしきものがフヨフヨ浮かんでいる。

 観察してみるとゴーストはあの凍った泉から出ているらしい。

 中心に行けるように橋は架けられているけど、馬鹿正直に渡った瞬間にお陀仏しそう。

 実際に橋の上での死体が飛び抜けて多い。


 視線を広場の中央に向けるとクリフォトと今回のボスと思わしき異形の巨大な女性がいた。


 持ち上げられた上体はおよそ三メートル。しかし地面に置かれている細長い下部は十メートルにもなった。


「あ、功太」


 その目の前には功太とその仲間がいた。

 攻撃を喰らっていると聞いたけど、見た目的にはなんとも無さそうに見える。


 少し上がった出口から坂を駆け降り、そのまままっすぐに橋へと猛進するクロイノ。


 予想通りに橋へと向かう俺達にゴーストが群がってきた。

 思わずビビる俺。


「待ってゴーストが──」


 止めようとした声を遮るようにアスティベラートが立ち上がり息を吸い込む。


「すぅー…、ッ、道を開けよっっ!!無礼者!!!!」


 ドゴンという効果音が発生したようにアスティベラートの声がまるで衝撃波と同じになって接近してきたゴースト達を蹴散らした。


 キーンと耳鳴りがする。


 いやもうほんとアスティ様凄いっすわ。


 凍った泉からゴーストが這い出てくるけど、新規ゴーストもアスティベラートが睨み付けると硬直していた。

 何のスキルなんだろう、とても気になる。


「うわあああ!!」

「ひいいっ!」


 橋に群がるゴーストのせいで取り残されていた怪我を負った冒険者二人が、アスティベラートによって無理やり抉じ開けられたゴーストの海の裂け目に向かって駆け出した。


「これ持っててください!!ないよりかはマシです!」


 急いで火の属性付加の矢を生成すると二人に放り投げた。


「ああ、ありがとう!」


 それを受け取り颯爽と逃げていく。

 怪我してるのに元気だな。


 さて、今回のボスもなかなかに手強そうな見た目をしている。

 ベースは女性だけど、足の生え際からは蛇に変わっている。もっともその半分ほどが緑と白いリボンでぐるぐる巻きにされているから違うかもしれないけれど。

 目元を全て覆い隠した白銀の前髪と、長い後ろ髪。内部は外側の色に反して漆黒で、夜空を切り取ったかのような色彩をしていた。

 頭部からは山羊の角が緩く曲線を描き、すぐ側からは狼の耳が生えている。

 首もとも狼のようなファーのような毛に覆われている。

 肘から先は大きな翼。ただの翼ではない。

 一見羽根かと思うが目を凝らすと羽根一つ一つが小さな翼であり、その翼から落ちる羽根が翼を生やした蛇へと変わっていた。


 そして、頭上に浮かぶ三日月と丸い小さな球体。

 なんだろうアレ。


「………」


 やな予感がする。


『ほう、やっときたか』


 クリフォトがニヤニヤとしながらこっちを見ていた。

 甦る串刺しの記憶。

 一発殴りたい。


『この前ので懲りて今回は震えて隠れているとばかり思っておったが…』

「残念でしたー!屁でもありませんー!」

『まぁ下品な…』


 お前がいうか。

 毎度毎度気持ち悪いモンスター引き連れているくせに。


 そのやり取りで功太が俺に気が付いたらしい。


「……朝陽…」


 と俺の本来の名前を口にした。 

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