アオゾア散歩
門が小さくなっていく。
良かった何事もなくて。袋に入れてた関節取り外してたロエテムも見付からなかったし。
頃合いを見てアスティベラードが蓋を開けたのでクロイノと共に箱から出る。
プールからプールサイドに上がる感じで思わず濡れてないか確認してしまった。
「うまくいったね。というか箱開けられたときは心臓が出てくるかと思ったよ」
なんで見つからなかったのか不思議で仕方ない。
「簡単なこと。蓋を全開にすれば影は無くなるからな。それに繋げなければ絶対に見えない」
「よくわかんないけど凄いってのはわかった」
クロイノがようやく俺のフードを離してくれた。
「にしてもスゲーなこれ。もしおれ達もその【影潜り】を会得したらこの箱にめっちゃ食料とか詰め込めるな」
ウキウキと箱を撫でながらクレイがそう言うが。
「それは特殊スキルだ」
とのアスティベラードの一言で一同「ですよねー」ってなった。
でも確かにこれ会得したら色々便利そう。
「あとわりと使うと疲れる」
そうなんだ。
じゃあ四次元ポケット扱いはできないな。
雨が降ってきた。
「雨とか久しぶりすぎてこの世界雨が降らないのかと思ってた」
2ヶ月ちょっとくらいだ。
なのに川とかの水量が多いし、草木もみずみずしいからそういうもんなのかと思っていた。いわゆる地下水とか豊富な土地みたいな。
ノクターンと運転を交代していたクレイが呆れている。
「んなわけねーだろ。乾期に入ってただけだ。もうすぐ潤期に入るから少しずつ雨が降るようになる」
「ふーん。そうなのか」
雨季ではないんだ。
ドルチェットがお昼の小ぶりのリンゴとパンを手渡してきた。
「それだけじゃねーよ。アオゾアは魔界との境ってか、ガイエン山脈がある。あいつの近くでは雲が現れやすいから天気が不安定なんだ。特に雨季とかになると全く晴れないんだぞ」
「梅雨みたいなもんか」
「露?まぁ、朝露どころじゃないけど。土砂降りでぬかるみすぎて最悪になる」
「わかる。気持ち悪いよね」
靴のなかに入るとなおさらだ。
「何を言う、恵みの雨ではないか。のう、ノクターン」
「はい…!」
二人の目がキラキラしている。
そういえば二人の国は砂漠のど真ん中とか言ってたな。
そのまま二人は外に視線を向け、まるで宝物を眺めるかのように雨を見始めた。
あとそれを真似するようなロエテムも外を見ているフリ。
いやもしかしたら見えてるかもしれないけど。
頭にいるトクルがシュール。
「………」
視線を横に滑らすと横になっているジルハ。
何故か獣人化してる。
「あいつ、雨降るときに全身の毛がゾワゾワするし眠くなるから嫌なんだと」
ドルチェットが何でもないように言う。
「獣人化してるのはなんで?」
「さあ?楽なんじゃない?」
「へえ」
いったいどんな感覚なんだろうな。
その後、火口から青い煙を吐き出して空を作っていると言われているラグー山を眺めながらずっと南へ。
魚を釣ったり、獣やモンスターを狩ったり、行き掛けの旅人と物々交換したりしたりと平和な日々。
変わったことといえば空に飛行船や空挺が増えたことかな。
「…なんというか、この辺りの町って工場が多いね。造船所もだけど」
「川が多いからな。…しかし、予想外だったな」
「だね」
教会関係者がうようよ。
よりにもよって目的の町に集まってきているようにも見える。
「……おい、どーする?」
ドルチェットがクレイに訊ねる。
「…もしかしたら正規ルートでいけないかもな…。一旦近くの町で止まってから様子を探ろう」




