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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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国境

挿絵(By みてみん)

メインメンバーの全体図

「お?」


 前方に壁が現れていた。あれが国境か。


「俺んところでは、国から出るときには海を渡らないといけなかったから、こんなにはっきりと壁があるなんて思わなかった」


 といっても海外旅行なんて行ったことないし、なんならオンラインなら世界は繋がっているしね。

 しかしそれを聞いていたクレイ。


「お前んところは変な世界だな。国境が海なんて、海っていうのは一ヶ所にとどまっているもんだろ?まるでシュリダーの中にあるビナー国みたいだ」


 シュリダーが世界の真ん中ら辺にある地方なのは分かる。

 てか、黒く塗りつぶされているのは海だったのか。

 てっきり湖だと思ってた。


「……島あったっけあそこ」


 一面青だった気がする。

 もしかして海の中にある竜宮城みたいな感じ?

 まってワクワクする!


「アトランティスかよ」

「アト?」

「おーい!もうそろそろ箱の中に入っとけよ、慌てて隠れたら不審がられるだろ?」


 ドルチェットに言われていそいそと隠れた。


「用意は良いか?」

「うん、お願い」


 アスティベラードがクロイノを喚ぶ。

 ん?サイズが少し小さい?


 馬車の上に乗ってきて俺に頭を擦り付けてくる。

 めっちゃかわいい。


 頭を撫でる。

 ゴロゴロの音が聞こえてきそうだ。


「乗せてくれる?」


 頷く素振りをしたクロイノが俺のフードを食む。


「お?」


 足が浮いた。

 え?これ乗せてくれるって意味?

 それともお前はこれで充分って意味?


 困惑しながらアスティベラードを見ると驚いた顔をしている。

 隣のノクターンは口許を手で押さえて「あら…」と意外そうな顔で見ていた。


 そのままクロイノは箱の方へ。

 ええ、まさかのこのまま??


 アスティベラードが【影落とし】のスキルを箱に発動し、クロイノが到底入りそうにない箱の中に前肢を置いた。

 その瞬間。


──ヴオオ…ォ  ドプン。


「!!?」


 まるで夏の海に落とされたような感覚で影の中に落ちた。


 上の方には箱の入り口の長方形の穴。

 その他はラメをちりばめたような暗い空間で、時折目に見えないなにかが体を撫でる。


 周りの景色は下から見上げる感じでうっすら見える。


 まるで波一つないプールのそこから見上げているような。

 いや、違うな。

 目だけ箱の中に置いてきて、そこから透けて見えるような。

 もうなんだか分からない。

 今すごく眠いし。


「 どうだ?影の中は?寒くはないか? 」


 アスティベラードの声がする。少しくぐもっているけど。

 喋れるのかな?これ。


「寒くないよ。むしろ暖かくて眠りそう…」


 真冬のコタツ的な温かさ。


「 クロイノが胎内に入れたのか。その方が見付からないしな。そのまま頑張って起きておかねば取り込まれるぞ 」

「え」


 頑張って起きた。

 そんな副作用あるなんて聞いてない!


 馬車は国境へと向かって進んでいく。


「 …やっぱりいたか… 」


 クレイの視線の先。やっぱりというか、兵士と教会関係者がいた。


 服は兵士に近いけどすぐに分かる。

 教会のシンボルが付いているからな。


「 止まりなさい 」


 長槍を構えた兵士に馬車が止められた。


「 …変な馬だな。馬か?これ 」


 真っ先に鐵馬が不審がられた。

 そりゃそうだろう。

 でも魂搭載済の鐵馬があまりにも本物の馬のようで兵士の一人の興味が鐵馬に引っ張られて馬車への意識が薄くなっている。

 とんだ誤算。やった。


「 自動人形みたいなものです…。あまり近付くと怪我しますよ…。全部固いので… 」

「 あ、ああ。気を付けよう 」

「 馬は良いから馬車を見ろ 」

「 すんません 」


 もう一人の兵士に怒られた。


 不審者がいないかの確認をしている間、教会関係者がやって来た。


 胡散臭い笑みを張り付けながら、それでも威圧的に。


「 失礼。こういう者を探してまして… 」


 俺の顔写真の付いた紙を見せられた。

 ん?いつ撮ったやつだ?

 第二聖戦時のか?


 見るからに怖い顔しているところを見ると、おそらく戦闘中のだろう。てか、あんな顔しながら戦ってるのか。


 それにクレイが対応する。


「 何かしたんですか?この人 」

「 ええ、勇者様の仲間に危害を加え、何の罪もない一般人を殺害し、教会の者に呪いを掛けた大罪人です。見た感じは盗賊ですが── 」


 脳裏にここ最近遭遇したやつらや先輩、バルバロの姿を思い起こすが服なんて千差万別で見た目で分かるはずないだろと脳内でツッコミ。


「 実はとんでもない能力を隠し持っていた悪魔です。どうか協力していただけませんか? 」


 目が笑っていない。

 それに教会関係者のうしろには、お前こそ盗賊だろ?と訊ねたくなる程の大男がいた。

 後ろから嘘は許さないとの圧を感じる。


「 さぁ?知らないですね。なぁ、見たことあるか? 」


 クレイが紙を取ってドルチェット達に見せる。


「 いや?てか、いちいち人の顔覚えねーよ 」

「 ですよね 」


 いつの間にか布で頭を覆い口許まで隠していたアスティベラードも首を横に振っていた。


 ノクターンも同様に。


「 ふむ、そうですか。では、少しだけ馬車を見させてもらっても? 」

「 良いけど、高いものもあるんだから壊したら弁償させますよ?特にそこの袋とか 」

「 商いを? 」

「 少しだけですけどね 」

「 わかりました 」


 大男は待機させて教会の男だけが馬車に入ってきた。

 といっても人が隠れられるようなスペースはない。


「 そこの箱は? 」

「 空です。 」

「 開けても良いですか? 」


 男がこちらにやって来る。


 心臓が煩いくらい鳴っている。

 クレイの頬に汗が見える。


 アスティベラードに視線をやると頷いた。


「 待て、今鍵を開ける。 」


 アスティベラードが箱に近付いて鍵を開けた。

 その時、唇が音を出さずに動いた。「大丈夫だ」と。


「 確かに。これは何を入れるのですか? 」


 箱の底を触ってもなにも変わった様子のないことを確かめた男が立ち上がる。


「 そこの馬の馬具を入れる用です 」

「 なるほど。ご協力ありがとうございました 」


 男が馬車から降りていく。


 ほっと息を吐いた。


「 もういいですか? 」

「 ええ、どうぞ 」


 馬車が動いた。


 門を潜り、違う兵士が馬車を横目で見ながらも見送る。

 アオゾア国へと着いた。

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