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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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仲間が増えた(?)

 馬車に戻るとノクターンがソワソワと鐵馬に近付いていった。


 なんだろうかと思ったけど、もしかしてギーメルに貰ったスキルを使うのかと感付いた。


「遂に、夢が叶います…!」


 目をキラキラさせて鐵馬の首に触れた。

 すると突然鐵馬の目の石に光が宿った。


「なんのスキル?」


 見たこともないスキルだったから訊ねた。


「【魂守り】というスキルです…。なんでも魂に似たものを私の魂から少しだけ入れたり…、相手の魂をこう…治したりできるものらしいです…」


 なんだそのスキル。


 アスティベラードがやって来た。


「自分の魂を入れるとは、そんなことして大丈夫なのか?」

「ええ…。もともと人間は魂を感情と共に切り離したり落としたりするものです…。勿論ごく少量で…影響のない量ですし…、回復できます…。シルート国でいう式神というのと似たようなものです…」

「そうなんだ」


 分かったような分からなかったような、という微妙な顔のアスティベラード。

 というか、俺も魂落とせるんだ。へえ。


「使いどころを間違えなきゃ大丈夫なんだろ?ならいいじゃねーか。それより自分はお前の炎にビックリしたけどな。大丈夫なのか?」


 馬車に乗り込みながらドルチェットにそう言われた。


「うん。とりわけなんも違和感も異常もないね」


 いまだにワケわかんないけど。

 そういえばアスティベラードは分かっている感じだったな。


 もしや。


「シャールフ関連です?」

「ふふふ、よく分かったな!」


 やっぱりかー。

 じゃあこれは移動中に詳しく訊いた方が良いな。


 いそいそとノクターンは馬車の操縦席から馬車に乗り込み、ウキウキとロエテムに魂を入れてた。

 楽しそうで何より。












 ゴトゴトゴトゴト。

 魂搭載された鐵馬が馬車を引っ張る。


 元々【遠隔操作】が中級だったうえに【自動操縦】で本物に近い動きをしていたのに更にこの【魂守り】スキルだ。


「動きがウキウキしてやがる」


 まるでスキップするように馬車を引いている。

 耳も尻尾も動いて、本物と大差無い。


 そして操縦席にいるのはロエテム。


 さすがに目立つからとマントを被せられているけど、フードから覗くきんきらの兜が目立つ目立つ。

 そちらも子供のようにしきりにあちこち見ながら馬車を操っていた。

 というか。何か見えてるのか。

 隣に座るノクターンが色々教えているが、理解できているのか疑問。


 どちらにしてもシュールな光景である。


「快適であるな」


 出発する前にホップバルーンの衝撃吸収材を取り付けたから揺れは驚くほど少ない。

 アスティベラードは嬉しそうにクッションに腰掛けながら馬車と並走しているクロイノを眺めていた。


 ちなみに気になっていたあの炎については詳しく聞けた。


 どうやらシャールフ伝でも、ダンジョンを守る者に力を授かったという記述があり、それが先程の炎と同じだという。


 なんだろうな、この敷かれたレールを無意識に走っている感。

 なんとなく反発したくなる衝動が沸き上がる。


「ところで、ギーメルんところで気になるのがあったんだが」


 悶々としているとクレイが切り出す。


「ベートの所と、ギーメルの所。お前の友達じゃないんだな」

「あー、うん」


 金髪は功太だけど、赤髪と灰髪は知らない。


「違う。功太が髪を染めたってなら話は別だけど、勇者業で忙しいのにそんなことする暇っていうか、必要性あるとはおもえないし」

「だよな。とするならやっぱり別人…。……でも、これって勇者の関係者じゃないと入れないんじゃなかったか?アスティベラード」


 考え込むアスティベラード。


「うむ。そう聞いておるし、そう書いておった。しかし、最近思うのだ」


 なんだろう。


「きっと、書いてない事実の方が多いのではないかと。確かにシャールフは英雄で、世界を救った勇者であるが、シャールフもまた人間である。ディラや私達のように」


 足を組ながらアスティベラードは意を決したように口を開いた。

 ファンとしては、きっと言いたくない、認めたくない事実。


「シャールフも人間。それを英雄に仕立て上げるためには、信仰が必要だ。次の勇者の為にも動きやすくするための。だから、きっと不都合な事実や必要のないと判断された事実は記されていない可能性もあるのだろう…、どこぞの王や神のように…」


 ノクターンが視線だけこちらに向けている。


 ドルチェットが「はっ!」と鼻で笑い飛ばした。


「ま!そうだろうな。だけど、そうしたのはだいたい周りの人間だ。きっとシャールフは良い奴なんだろう、じゃなきゃ自分の命を(なげう)つわきゃねーからな!」


 その言葉にアスティベラードが小さく口許に笑みを浮かべた。


「そうだと良いな」

「まー、あんな所にひとりぼっちで残って、なおかつ俺に警告するくらいだから悪い人とは思えないけどね」

「!」


 助け船を出した形になったのかアスティベラードの顔が明るくなった。


 言っていることはさっぱり分からなかったけど、俺も悪い人には見えなかったし。


「これからはシャールフ伝のページの間も見極める感じで行動しないとな」

「ですね」


 クレイとジルハの結論で話は纏まった。


 あとはこのまま何事もなく魔界への入り口のと言われている飛行造船所の国、アオゾアへと辿り着ければ良いんだけどね。

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