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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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万華鏡の中の戦い

『違いますー!ベートですー!ま、元になった人間はもしかしたらそのマーリンガン?とか言うやつの親族かもしれないけどねー!』


 気になる言葉があったけど、しゃべる度に動き回るので頭からあっさり通過していった。

 うん、マーリンガンではないな。

 マーリンガンはもう少しじっとしてたから。


 そんなベートをガチな顔で凝視しているジルハ。

 もう姿がしっかり見えるようになっていたが、目が怖い。


「なんだか叩きたくなる動きしますね、あの人」

「気持ちはわかる」


 そう言えばドルチェットも頷いていた。


「と、ま!自己紹介はこれくらいにしておきまして…」


 玉座から勢い良くジャンプした。

 だがベートは地面に降り立つことなく宙に浮かんだ。


 いいな、あれ。


『さてさて、ここに辿り着いたということは、みんな望んだスキルを手に入れたってことだよね?もし姿が見えない仲間がいたら、その人はあの試験すらギブアップした軟弱ものだから気にしなくていいよ!

 でも僕の見た感じ今回はみんないるみたいだね』


 今回は?


「で、次は何をすればいいんだ?」


 クレイが訊ねるとベートはニヤリと笑って右手を掲げた。

 そこには手のひら大の水晶が乗っかっていた。


『もちろん、今度はその獲得したスキルを使って、僕のもつこの水晶を破壊するんだ!ああ、ちゃんと抵抗するし、攻撃もするから、なんとかして僕に接近して来ないとね』


 ベートの後ろの風景がドロリと溶けて黒い巨人と、その周りにたくさんの魔法陣が展開されていく。

 それはベートの周りにも、まんべんなくだ。


『よっし!それじゃあ始めようか!』


 一斉に魔法陣が光り輝き始めた。





『よーい、スタート』





 虹色の光が埋め尽くす。

 迫ってくる。


 きれいな光景だと眺めている間に終わると確信したその光は、淡い青色を纏った大量の盾で受け止められた。


「重っっ!!」


 クレイが踏ん張るが、攻撃は勢いを緩めることなく盾ごとクレイを後ろへと押していく。

 ここが砂地なら、溝が出来ていただろう。

 ノクターンから圧が漏れだし、詠唱を始める。


「綿毛や綿毛…。風に吹かれてふわりと揺蕩う…。柔らかく静かに大空へと飛んでいけ…、新たな地へと歩を進めよう…」


 軽量化の魔法、トフゲイウェ・グニヴァスだ。だけど、いつもならそこで終わるはずの詠唱が終わらなかった。


「その背を押す二つの手が…、大きな翼となって手助けをする…。風よ吹け…、帆を張れ…翼を広げよ…、大空へと進め…。エスナトシーサ・ドニウォ」


 クレイの体に魔法が発動し、盾で受ける圧が軽くなったのか、少しずつ前へと押していく。


『ひゅう!いきなり魔力消費してきたねー!いいよいいよ!どんどん使いこなしていきな!』


 ベートが言う。

 とするなら、これはノクターンの何らかのスキル。


 ジルハが動いた。

 俺も行くか!


 エクスカリバーを手に、盾の隙間からジルハと共にベートの元へと向かう。


 魔法陣からは絶えず魔法が放たれていて、どんどん積み重なっていっていた。

 あのままでは、ノクターンの補助魔法を受けたクレイでもまた押されるな。


「ジルハ、先に!」

「はい!」


 方向転換し、スキルを発動した。


 【千里眼/点穴】【千里眼/見通し】【雨状放射】【弓矢生成】【攻撃力増加】【身体能力向上】


 通常、魔法を属性付加ではない通常の矢で掻き消すなんて神業はレベル100近い狂人(しかも縛りプレイしている奴)くらいしか見たことがない。


 だけど。


 俺の目にはハッキリと、魔法の弱点である核が見える。


「見えればこっちのもんだ!!!」


 容赦なくクレイの盾にのし掛かっている魔法を全て弾き飛ばした。


 にしても良くこんな多種多様な属性の魔法弾を複製したとはいえ対応できたものだ。

 スキルかな?


「でかしたディラ!!」


 消えた盾の後ろからクロイノに乗ったアスティベラードと、珍しく乗っているドルチェットも飛び出してきた。


 影が差す。


 見上げれば巨人が動きだし、こちらへと足を持ち上げ踏み潰そうとしていた。


「行くがいい!!」

「おう!!」


 クロイノからドルチェットが跳び出し、足場として出現した盾を踏みつつ巨人へと接近。


「ぜりゃあああああ!!!」


 大剣を鞘から引き抜いた瞬間、形が歪んで大きく膨れ上がった。


 伸びる、赤。


 まだ距離もあるはずなのに、ドルチェットが振った大剣の切っ先が巨人の足を捉え、さらに到底届くはずもないもう一方の足の方まで干渉して真横に赤い筋を付けた。


 ドロリと溶けて爛れた足が、巨人の巨体を支えきれなくて傾いていく。


「あっつつつつ!!?」


 溶けた足はマグマとなって降ってきた。

 それをクレイの盾が防御する。


「灼け!!」


 アスティベラードの指示でクロイノの前方に水晶体のものが出現し、そこから直径二メートルはあるビームが発射。

 巨人の頭に大穴が開いた。


 こっわ!!


 クレイの盾を踏み台に跳躍しながらベートへと接近したとき、ベートが楽しげに笑いつつ俺に魔法陣の照準を合わせた。

 だけど、それは発射されることはなかった。


「どうわ!!!?」


 全く予想外の所からジルハが突然現れてベートへと切りかかっていた。


「ちっ!」


 服だけが裂かれた。だが、さらにそのジルハの背中を踏んで、もう一人ジルハが現れた。


 そのジルハへといつの間に投げられていたのかロエテムの剣が辿り着き、手に収まった。

 身を翻して再び切りかかったやいばの切っ先がベートの胴に届いた。


 飛び散る血液。

 だけどベートは表情を崩すことなくジルハへと照準を切り替えた。


 四方八方から降り注ぐ魔法弾がクレイの盾にぶつかって方向を変える。


 さっきのものよりも威力が強いのかクレイの盾にヒビが入っていく。


「あ!」


 気付いた。


 魔法陣にも点穴が見えた。

 そうか、あれも壊せるんだ。


 すぐさまジルハに近い魔法陣から射ち砕いていけば、ヤバイと感じたベートが巨人に向かって手をかざした。

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