アホなのかな?
ということで早速アスティベラードのいう方向へとやって来た。
酒屋の前にはいない。けれど…。
「足を引きずってる」
足跡が不自然だ。
破壊した弓か、もしくは壁の破片が足にでも直撃したらしい。
おかげで何処に向かったのかよく分かるわけだけど。
【千里眼/見極め】で足音を追い掛けていく。
はぁー、【千里眼/追跡】でも持っていれば、即座に足跡が光って追い掛けるの楽なんだけどなぁ。
「欲をいってもなぁ、っと…」
裏路地に行ったか。
酒の臭い。さてはやけ酒してるな。
………、ラッキー。
すかさず屋根に飛び乗り、ババッと二人の男の前に、真上から飛び降りてやった。
「ハァーイ!!君達が探し求める本人からやって来ましたよー!!」
「「ぎゃああああああああーーッッッ!!!!!」」
逃げ惑う二人を矢で取っ捕まえた。
今の反応おかしくない?
求めていた獲物が自分からやって来たんだよ?鴨鍋だよ?ふつう喜ばない??
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!あんたがそんな強いなんて思わなかったんだ!!」
「俺達はただ報復に来ただけなんだ!!もう懲りたから許してくれ!!あ!なんなら金も渡す!!」
報復?
「なんの?俺のこと懸賞金狙いじゃないの?」
フードを外してスキルも解除し顔を見せた。
そうすると二人はポカンとした顔。
見覚えはなさそうだ。だれ?って顔している。
恥ずかしいな。勘違いか。
「…あいつが言うには…昨日金すられた腹いせにボコられたからって…、まさか覚えてない?」
ボコった?しかも昨日?
「昨日ぉー?」
そんなことあったかな。
金をすられたといえば……もしかしてあれか?
「ボコってないよ。さんざん追い掛けて追い詰めたけど、人の顔見るなり悲鳴をあげて気絶したんだっつーの」
だから話が違うみたいな顔やめてくれません?
「おい!失敗したってのはどうゆうこと──、あ」
「あ」
考えている途中で昨日の気絶男が現れた。
顔面蒼白で逃げ出そうとしているのを確保。
すかさず腕を捻りあげる。
「いだだだだだだ!!!!」
「ボコられたにしては傷が無くないですかー??しかも自分でやらずに人任せですかー??」
「うぐおおおおおお!!!」
腕にはやはりバルバロ盗賊団の印。
「さんざん先輩方がいかにバルバロ盗賊団が小汚ないやり方で商売をしてない、俺達はやられたらやり返す。ただし自分の手でなと耳にタコができるほど言い聞かされたのに、やっぱり末端になるとそういう誇りはないんですかねー??」
酒を飲むとずーーーーーーっと耳元でバルバロ盗賊団について語られまくって耳にこびりついてる。
「おまえ、なんでそんな事を知って…」
「まぁー、俺もちょっとばかしお世話になったんで。あとその印、隠すなら隠すでちゃんとした方がいいですよ。狙われますよ、他の組織に」
例えばブラックボーンとかに。
※バルバロと敵対している盗賊団らしい。
「今回は先輩とバルバロさんに恩があるので見逃しますけど、つぎちょっかい出してきたら」
弓を棒状にして空の酒瓶を粉砕。
「これを足に繰り出します。いいですか?」
顔を真っ青にして三人は勢いよく首を縦に振り去っていった。
これでもうこの辺で変なやつらに絡まれることもないだろう。
「………」
さっきから覗いていた変な視線も消えてるし。
「おやつ買ってから帰ろーっと」
おやつその他もろもろを買って宿に荷物を取りに向かうとクレイがいた。
「よし、お前で最後だな」
「なんでいるの?」
「手続きしないといけないだろ?おれリーダーだし」
「ああ、そうか」
チェックアウトは大事だ。
自分の荷物と馬車番のアスティベラードとノクターンの荷物をもって共にチェックアウト。
「そういえば次の目的地って決まったの?」
「ああ、一週間ほどいったところにある。その近くにダンジョンがもう一つ。教会がありはするが、大きな街だから隠れるのは簡単だろう」
「ほぉー」
「しかも飯がうまい」
「そりゃ楽しみだな」
何が食べられるんだろう。
パンか米か、麺でも良いな。
馬車に戻ると、何故か少し豪華になっていた。
「????」
こんな高そうな腰掛けあったかな。
クレイが挙動不審のノクターンを見る。
「ノクターン?」
「私の所持品から換金して買った。文句はなかろう」
「………」
ノクターンに訊ねたのにアスティベラードが答えた。
というか、何を売ったらこんなものが人数分買えるんだろうか。
頭を押さえるクレイ。
「……次は一応報告してくれ」
そうは言ったが守るだろうか。
しばらくしてドルチェット達が戻ってきた。
まて、なんだその拳の血。
「クレーイ!臨時収入だぜー!」
そして反対側の手にはお金の入った小袋。
クレイが訊ねる。
「何がどうした?」
「道歩いていたらよ、突然三人組にいちゃもんつけられて路地裏連れてかれてさ、ボコボコに返り討ちにしたら許してくださいってこれ貰ったんだよ。なかなかの金額だぞ」
思わずジルハを見た。
顔を背けている。
「その場にいなかったのでどうすることもできませんでした」
ならしかたない。
「怪我は?」
「かすり傷もしてねーよ。つか足引きずっている癖に喧嘩ふってくるなんざアホ過ぎるだろ」
「へー、足を」
あいつらかな。
アホなことしたもんだ。
もー、せっかく腕捻りだけで済ませてあげたのに。
呆れ返ったクレイは遠い目をしたまま、思考を放棄した。
「いいや、もう。さっさと出発しよう。ノクターン頼めるか?」
「はい…」
「お前らも早く乗れ」
「へいへーい」
みんな馬車に乗り込み、ノクターンの操る鐵馬が歩き出した。
軽く揺れながら、馬車が進む。
このまま門をくぐればこの町ともおさらばだ。




