やることはやった
盗人は泡を吹いて倒れた。
「ぎゃーって、人を幽霊みたいに。まぁいいや、手間が省けたしっと」
盗人を転がして自分からスッたお金や村人の証を取り返した。
それにしてもこいつ財布いくつもってるんだろ。
これも盗んだものかな。
「ケーサツとかいないし…。お?」
盗人の腕に見覚えの刺青。
バルバロ盗賊団のマーク。俺も一週間後に彫るみたいな話だったけど、一週間以内に居なくなったから彫られなかったやつ。
あー、確かに近いもんな。
関係者とかいてもおかしくないか。
「……」
でもお金とられたのムカつくから仕返ししてやろう。
他人のものと思われる財布や金目の物を取り出して、耐久値低レベルの矢を生成すると、それを持っていた布を破いて財布と矢をくくりつけ、【千里眼/見通し】と【千里眼/見極め】で持ち主らしき人を見つけ出すと、その人の少し手前に向かって射った。
矢は地面に落ちれば砕け散るから、証拠は残らず、ちゃんと元の持ち主へと戻る。
いい人っぽくない?俺。
「…ぅぅ…」
やべ、そろそろ起きそうだ。
「とう!」
見つかる前にとんずらすることにした。
屋根を歩きながらクレイを探す。
「…迷子だなぁ…」
どこだここ。
【千里眼/見通し】を使ってクレイを見付けようとしているけど、さっきの同時複数使用で精度が落ちた。
多分五分もすれば元に戻る筈だけど。
思った以上に街が広い上に入り組んでる。
「…さっきの奴捕まえて道案内させればよかったかも」
といっても今さら戻ってもきっといないだろうし。
マーリンガンの魔法具は置いてきちゃったしなぁ。
「まー、いっか。あと三分ほどで元に戻るし。それまではブラブラっと…、お?」
店の中に素敵な作品を見付けた。
素敵なガラス細工。
ガラスの中には針金が入っていて、強固なものにしている。
「俺もガラスが作れればな。でも肝心の針金は手に入りそう」
屋根から降りて店に入り中を見回すと、針金があった。
「すいませーん!」
針金を購入して無事にクレイ達の居場所を見付けた。
「盗人を追いかけていたんじゃなかったか?」
追い付いて早々そんなことを言われた。
「ちゃんと取り戻したし、盗まれたのもみんなに返したし、針金も見付けたよ」
「こんな短時間でスゲーなお前」
「それほどでも」
これでも仕事は早いと自負してるんでね。
ははは。
「ところで馬車は見付かったの?」
「一応な。お前も見とけ」
「了解」
クレイに案内されて馬車屋に行くと、広場にさまざまな馬車が置かれている。といっても馬は別の場所だけど。
「みんなは?」
「ご飯食べに行ってる。あと馬車の装備品もな」
「別売りなんだ」
「当たり前。割りとこれで値段張るんだぜ」
「へー」
だからゴテゴテしたのが高いのか。納得。
脳裏に掠める俺を搬送した馬車。
いくらなんだろう、あれ。
「ほらいくぞ」
クレイに連れられて馬車の値段を見る。
「高」
もう一つ見る。
「………」
これ、農場用の荷車??
「ピンキリすげーだろ。おれ達が選んだのはこれ」
「ほーん」
ファンタジーアニメでありそうな一般的なやつ。
値段はなんとか買えるほど。
「アスティベラードは少し渋ったがな。このタイヤは絶対に酔うと」
車酔いするタイプか。
「タイヤも変えられるとなんとか言いくるめたがな。しかしどのくらいの酔いやすさなのか分からないから少し怖いが」
「確かに」
俺の友達も毎回死んでいる奴がいたからな。
バカにしたら鳩尾殴られた。
「なんとかなるんじゃない?」
「てかなんとかするしかないな」
「ね」
バネを何とかして嵌め込むか。そうすれば揺れは軽減できるかも。




