新しいスキル
お馴染みの【人間ロケット】で上に打ち上げた。さすがに二回目ともなれば慣れるらしい。
「ワタシはアスティベラードと行きます…!」
しかしノクターンに強く拒絶されてしまった。
しかも結構大きめの声で。
そこまで嫌だったか。
みんな上がったのを見届けると【身体能力向上】【山羊】で崖を掛け上がった。
【山羊】を持っていると崖登りが楽で助かる。
「ただいまー」
登り終えるとみんな早速何を貰ったのか確認を始めた。
といってもギルドのような見て分かるものがないから、真剣に自分のスキルに集中していつもと違うのがないか確認するから無言。
クレイが唸り始めた。
「…【スタンプ】のスキルが出た。あと【アレフ】。どんなスキルか分からんな。【スタンプ】は想像できるが…」
クレイいわく、同じ性質の盾を複数枚生成できるものという。ただし枚数が増えると性能が劣化する。
「ドルチェットは?」
「【マグマ】だ。あと同じく【アレフ】。剣の自動修復らしいが、水の中や雨の中では使えないらしい」
「限定的」
でも武器が直るのはいいな。
刃こぼれを気にしなくて良いってのは嬉しい。
「【共鳴】ですかね。一定範囲内の味方との攻撃力を一撃だけ二倍にするそうです。条件がありますけど」
「ところでジルハくん。さっきの姿のことで質問があるんだけど?」
「…あとで言いますから…」
気まずそう。
あまり触れられたくないところだったのかな。
「【遠隔操作】が中級になりました…。【アレフ】もあります…」
どうやらプレゼントされる筈の【スキル】を先に獲得していた為、レベルアップしたらしい。
ただ、やっぱり落ち込んでいる気がする。
「【影落とし】か。む、条件があるな…」
多分アスティベラードも【アレフ】を獲得しているんだろう。
今必死に【影落とし】のスキルの特性を調べている。
「ディラは?」
クレイに訊ねられて意識を集中してみた。
「えーと、【風乗り】と【アレフ】」
「【風乗り】?」
なんだそれとドルチェット。
「矢に付けるスキル。暴風の中でも確率で当たるようになるらしい」
「へー、便利だな」
「この前これで苦心したからね。超嬉しい」
問題はこの【アレフ】だけど。
明らかに諸刃の剣だ。
出来る限り使わないでおこう。
【千里眼】も止めとけって警告出てるし。
俺はそっとその【アレフ】を記憶の底へと封印した。
それぞれ使えるようになったスキルを試してみた。
クレイの【スタンプ】は三枚が限度で、四枚目からは残像しか発現できなくなった。
ドルチェットの【マグマ】は発動するや刀身が黒くなり、物は試しと躊躇なく近くの岩へ思い切り叩き付けた。
すると本当に刃零れが消えた。
なんというか、欠けた場所に赤い溶岩が盛り上がり、修復した感じ。面白い。
ノクターンはロエテム(首紛失しました)を本物の人間のように動かせるようになっていた。
今までは操り人形みたいな動きだったが、今は体重を感じる動きになっている。
だけどやはり首が無くなったのが気になるので、どっかで兜とか買った方が良いかなとは思う。
ジルハは戦闘が始まらないとわからない。
そして俺も暴風じゃないとわからなかった。
アスティベラードは。
「ふむ、こうか」
半径10メートル範囲の影に爪先から何か光るモノを発射してマーキングすると、それを落とし穴にできるらしい。
深さはだいたいその影を作った物体の半分ほどの深さだった。
敵を転倒させるのにいいかも。
「あとは戦いながら感覚を掴んでいくしかないか」
「どうする?次にいく?」
鞄から地図を取り出して訊ねた。
全ての道を開けるならば時間がもう三週間くらいしかない。
移動にも時間がかかるし。
だけどクレイが首を横に振る。
「まて、もう近くにダンジョンはない。次のにいくのならお金を稼いで馬車を手に入れた方がいい」
「でも高いぜー、馬車。ただの荷車か、馬だけならまだ手に入りやすいが」
と、ドルチェット。
「そうなの?」
「その地域にもよりますけれど」
ジルハが問いに答えた、その時。
「うおお!?」
ヌンと、クロイノが後ろから現れて頭突きしてきた。
なになに!?ビックリした!
「馬よりもクロイノの方が力があると言っておる」
馬と張り合ってきた。
可愛いな。
ああ、そうか。クロイノは実体化できるし、それなら引いてもらった方が楽かもしれない。
「でもいいのか?クロイノ出しっぱなしで。それに他の人にどう見えるのか心配だぞ」
「そうか。俺は初めから見えてたからなぁ」
ジルハ達は俺を救出するために、アスティベラードがクロイノを使って爪でマーキングしたから見えていると聞いた。
ということは他の人には見えないわけで、とても変なことになりそう。
「………あの…、でしたら一つ提案があるのですが…」
「?」
相談の結果一度街に戻り、荷車を探すことになった。
といっても荷車を買うのにもお金がいるので、そこら辺にある薬草やキノコ、そして野生のモンスターを狩った。
「ケナガイノシシに出会えるとは、幸先がいいな」
クロイノの背中にのせたイノシシの毛は高価なブラシの材料になる。しかもクロイノが仕留めたから傷もない。
「このヤッカク鹿は?」
先ほど俺が仕留めた角が立派な鹿。
何とか担いでいるけど結構重い。
「そいつも良いぞ。角がいい薬になるから」
「ふーん」
そうなのか。
「安くて良いのがあればいいな。そうすれば余った金で別のも買える」
「そうないだろ?むしろ足りないかもしれん」
「だな」
そもそも馬車を買ったことないからどのくらいの値段なのかわかんないけど。
「町が見えてきた」
とにかくこれを高く売らないと。




