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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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アレフ、獲得

「………」


 え、なに?みんなの顔怖い。


『地雷だった?でもごめんねー、これおいらの性質だからさ!あっはっは!…は?』


 アレフの足元にクレイのアンカーが発動した。

 すぐに足元から鉄の大盾が飛び出し、アレフを上へと弾き飛ばした。


 なにするんだと思ったら、クレイはアレフの進行方向へと盾のガントレットを構え、狙いを定めた。


「ジルハ!!」


 見たことのない盾を発動させると、そこにジルハが飛び乗った。のだが。


「…??」


 おかしいな。なんだかジルハの体に見たことのない部品がくっついている。なんで獣の耳と尻尾が生えているんです?


「オルァアアアア!!!!」


 クレイが姿が変化したジルハを盾で弾き飛ばした。

 なんだあの威力。【反発】スキルとかか??


 空中へと飛ばされたジルハはアレフへと襲い掛かった。

 右手の短剣が風切り音を立ててアレフの服を切り裂いた。

 いつもよりも凄まじい攻撃に、アレフはややびっくりという顔をした。


『ふーん、ウェアウルフ族だったのか。っとと』


 ジルハの攻撃が掠り、アレフがわずかに怯んだ。

 攻撃が効いてる?


 地面に着地し、アレフがジルハへと杖を奮う。だが、それはアンカーで出現したクレイの盾によって阻まれた。

 攻撃を一度だけ防ぐ使い切りの仮初めの盾であるが、目眩ましには丁度良い。


 盾が割れて向こうから飛び出してきたのはジルハではなくロエテムだ。


『おわ!?』


 剣が横薙ぎに振られ、それと同時に足を狙う者がいた。

 ドルチェットだ。いつもの雄叫びはなく、静かに接近し、ロエテムの攻撃に合わせて大剣を横薙ぎに振るったのだ。


 剣先がズボンを裂いたが、ギリギリで逃げられた。


『おっほー!あぶないあぶない。君本当はそっちのが得意なんじゃ──』


 ズズンと、突然真上から現れたクロイノが両前肢でアレフを押し潰した。


 地面に入ったヒビが、その威力を感じさせる。


『うっふぉー…、背骨折れたかと思った…』


 ダメージ入っとる。


「ディラ!!やれ!!」


 アスティベラードの声に押されて、本気で、それこそ全スキルで攻撃力を底上げした矢を生成し、アレフへと向ける。


 そうね、ゲーム感覚って言うのがダメって言われたからさ。


「大嫌いなゴキブリを仕留める気持ちで」

「待って待って待って!!君ゴキブリに対しての本気ヤバくない!!?そんな矢を打たれたらここらの地形が変わっちゃ──「地獄に落ちろ」













 もうもうとした地面に複数のクレーターが出来上がっていた。その真ん中で、上半身が地面に埋まったアレフがボロボロの白旗を頑張って振っていた。

 

『ごうかくー、はいごうかくー。もう白旗あげます勘弁してください』

「念には念を」


 あの人のように。


『止めてよ!さっきの君の攻撃で二回死亡判定出ているんだから!』


 がばりと起き上がったアレフ。

 見た目ピンピンしているんだけど。


 とりあえずまだ矢は向けてる。

 念のために。


残心(ざんしん)もしなくていいから!』

※最後まで気を抜かないこと。


「ディラ、さすがに俺達も死にそうになったから矢を下ろしてくれ頼む」

「クロイノが吹っ飛んだ…。始めて見たわ…」


 クレイがボロボロの状態で戻ってきて、なんとか俺の弓を下ろそうとしてきた。

 その後ろでアスティベラードが信じられないものを見たと空を仰ぎ、ノクターンは俺の攻撃の衝撃で吹っ飛んでいったロエテムの首を探しに行き、ジルハが懸命に地面を掘って埋まってしまったドルチェットを救出していた。


 そう、先の攻撃でみんな吹っ飛んだのだ。

 

 それでも攻撃の手を止めなかったのは、ゴキブリの生命力を、しぶとさを思い知っていたから。

 どんなに地形が変わろうと止めを刺し続けたのだ。


『おいらはゴキブリじゃないってー!』


 避難していたアレフの犬がやって来て飛んでいった杖を回収してきた。


「でもほら、ゲーム感覚だとダメっていうから」

『だからこれとか。おかしいな、思ってたのと違うぞ』


 なにやらぶつくさいっているが、一旦クレイの言う通りに弓を下ろした。


『はーあ、なんか違ったけど、条件クリアしちゃったし。いいよもう合格で』

「その攻撃通る条件が未だに分かんないんだけど」

『え?分かんなかった?』


 ちっともわからん。


『みんなさ、おいらの事ちゃんと殺す気で来なかったから効かなかったんだよ。倒すつもりだとダメダメ。殺す気で来ないとね』


 意味がわからん。


『わかんないならいいよもう。いずれ分かるからさ』


 パタパタを服の汚れを叩き落としたアレフが、犬が持ってきた杖を手にする。


 丁度よくみんなも戻ってきた。


 ジルハの姿が戻り、ノクターンが泣きそうな顔してるけど。


『そんじゃ、おいらを倒したご褒美をあげないとね。“上限常時突破”状態と、体の全回復。そんで、それぞれに合った『スキル』をプレゼントしてあげよう』


 杖の鈴が鳴り、体の傷がたちまち塞がっていった。


「おお」


 マーリンガンの魔法具いらず。


「上限常時突破状態ってなに?」

『これがつくと、レベルリセットができなくなる代わりに、全てのダンジョンで通常か、それとも上限突破かを選べるようになるんだ。といっても常に上限ついてるから、ダンジョン選びたい放題だしたくさん戦えるよ!やったね!うごっ!!?』


 アレフの脳天にドルチェットの大剣の柄が叩き込まれた。


 頭押さえてしゃがみこんじゃった。

 ちゃんとダメージ効いているっぽい。

 そのまま柄を脳天に宛がいながらグリングリン回し始めた。


「じゃーまたお前と戦えるってことか。そりゃ~楽しみだ」

『いたたたた痛い痛い。次はおいらは出ないから!別の人!』

「他の人居るんだ」


 ドルチェットの大剣が退けられ、アレフが座り直した。


『おいらの知っている限り22柱居るよ。でも最後まで会ったことある人居ないかなぁ。時間も限られているしね』

「時間?」

『聖戦と次の聖戦の間、決まった数と種類のダンジョンしか開かないんだよ。今のタイミングだと、三本の道が開かれるかな。別においらからスタートしたからそのまま次の聖戦まで待って、続きを通ってもいいし、今後のために三つ開いておいてもいい』


 さっぱりわかんない。


『今んとこそんな全部開く欲張りな勇者は居なかったけどね』


 ん?ということは。


「功太もここやったの?」

『ああ、あのソードの金髪君?そうだねー、詳しく言えないけど、なんか大変そうよ色々』

「そっか」


 いまどこにいるのかな。

 ちゃんと話し合って誤解を解きたいんだけどな。


『さて、そろそろみんな帰る時間だ。ここを出たらどんな技能がプレゼントされたかわかるはずだから確かめてみるといい』


 ずずず、地面が浮き上がっていく。


「なんでか知らないけど、またここに来る気がする」


 そんな予感。

 そう言うとアレフはフードを被りつつニヤニヤと笑った。


『【千里眼】で視えたりしたのかい?』

「いんや、そんな気がしただけ」


 ほんとうに、なんでか分からないけど。


『では、その時が来るのを楽しみに待ってるよ!』





 その言葉と共に、視界が白く塗り潰された。









 気がつけば、谷底の扉の前にいた。


「転移?」


 便利だな。転移。

 転移なのか知らないけど。


「扉が消えてる」


 アスティベラードが扉があったところを撫でている。

 扉は跡形もなく、元の崖へと戻り、視線も無くなっている。


 太陽の位置は特に動いていなかった。

 もしからしたら聖戦と同じように時間の流れが違うのかもしれない。


「一旦上に戻ろう。ディラ頼めるか?」

「りょーかーい」

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