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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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43/163

開始

 足元を流れていた川は途中で暗闇の中へと消えていった。

 大きな滝だ。

 四方向から流れてきた川は、すべてこの深い穴の中へと落ちていっていた。


 その景色を眺めながら俺達は橋を渡っていたのだが。


「ええ…!?」


 途中でその橋が消えていた。

 それはもう見事にぶつ切り。


「マジかよ、そんなことあるのか?」

「現にあるのだが」


 示す方には何もない。


「トクル」

「ケイケイ」


 アスティベラードがトクルを放った。

 しばらくして戻ってきたトクルの情報によると、なんと向こう側もここと同じようにぶつ切りの橋があるとのこと。

 真ん中が崩落したのかとも思ったけど、手すりの形状からしてそうではないっぽい。


「別の道探すか?」

「でも道は一本でしたよ?」

「魔力は感じません…。透明になっているようではないようです」

「ふーん」


 本当かよとドルチェットが剣先で確かめているとき、端の方に看板みたいなのを見つけた。




“ 崖の上に立ち、そこから飛び降りようとする無謀な旅人よ。一つ踏み出せば奈落へと落ちるわけだが、果たしてその先は本当に地獄なのだろうか?先があるのかもしれないし、無いのかもしれない。

答えはお前の心持ち次第だ”





「…なんか、ここ飛び降りるっぽいよ」


 そう伝えれば。


「はぁ!?」

「おいおい、そんなことあるのかよ。自殺行為だぞ」


 とクレイとドルチェットからのツッコミ。


「トクルを送るか?」

「何があるかわからない。罠かもしれないし」

「じゃあ試してみよう」


 橋の床にある光源を削り取って落としてみた。


 しばらくは光が確認できたが、何も音のしないまま光は小さくなり消えていった。


「底、なくないか?これ」

「うーん」


 だけどいつまでもここでウダウダしているわけにもいかないし。


「おい、本気かよディラ」


 荷物を落とさないように固定し始めた俺を見てクレイが信じられないと言わんばかりの顔をした。


「死ぬかもしれないんだぞ」

「そーだね。でももしかしたら死なないかもしれない」


 下に水があれば死なないと思う。

 何もなかったら【人間ロケット】で打ち上げればいい。


 それに、そういう系のダンジョンは経験がある。今回はそれに賭けたい。


「っあーー!分かったよ! みんな、荷物はしっかり固定、武器も紐で手とか背中に巻き付けて無くさないように」


 てきぱきと準備を済ませ、端に立って下を見下ろす。


 ひゅうと風の音が聞こえるような気がした。


「じゃ、言い出しっぺの俺から行きます」


 その場でひとっ跳びして潔く穴に身を踊らせた。












 落ちていく。

 落ちていく。


 上の光は小さくなって、多分誰かもすぐに跳んだらしいけど、暗くてよく見えない。


「お?」


 壁際のところが黄緑色に発光していた。

 水だ。

 それがキラキラとまるで蛍のように煌めきながら一緒に落ちていっていた。


 それが一つに集まり、水溜まりを作っていた。

 恐ろしく透明度の高い、それでいて柔らかく発光している泉。

 その中に見えたのは。


「空!?」




 ボオォンン!!!


 全身を打ち付ける衝撃。

 体を取り纏う白い泡を掻き分けながら水面目指して泳ごうとした瞬間。


「ん?」


 足が水底に着いた。


 思いきり蹴って水面から顔を出すと、そこは想像していなかった景色が広がっていた。


 平原だ。

 果てに見えるのは山脈で、頂上付近には雲が掛かっていた。


「?」


太陽か?あれ。異様に白い。


「ぶっは!!」

「うお!?」


 ドルチェットがすぐ隣から顔を出して来た。


「あー、くそっ!水飲んだ!」


 ザバザバと乱暴に水を掻き分けながら陸地へと上がっていく。


「おい、次々来るぞ。そんなところにいたら危ねぇ」

「そうだった」


 同じく陸地へ上がると、ジルハ、アスティベラードが顔をだし、ノクターンがぷっかり上がってきた。

 おいおいおい気絶してるじゃん!!


 救出しないとと中に入りかけると、最後のクレイが上がってきて、気絶したノクターンを運んできた。


「ケイピューッ!」


 アスティベラードの胸元からトクルが顔をだし盛大に水を吹き出した。


「みんないるね。怪我は?」

「ない。気絶者はいるが」

「おい、ノクターン。目覚めよ」


 アスティベラードがノクターンを揺すれば、はっと気が付いた。


「あ、あれ?ワタクシは??いったい何が??」


 一部記憶が飛んだらしい。ドンマイ。


「それにしてもなんだここ。なんで外に出てるんだ?」

「さぁ?」


 テレポートとか、またはエリア移動とかかな?

 でもここはゲームじゃないからどういう事なんだろう。


 後ろは泉だし。


「! 誰か来ます!」


 ジルハがそう言えば、茂みが揺れた。

 急いで武器を構えると、それは姿を表した。



『おーやおや。こんなところにお客さんだ』



 一匹の犬を連れたボロボロの男性の旅人。

 荷物は小さく、杖の先に結んでいる。


 背筋がゾワゾワと粟立った。なんだこの感じ。


「あなたは誰ですか?」


 そう訊ねると、旅人はニヤリと笑う。


『おいらはここの管理者だ。名前はアレフ。

ようこそ、愚かな者達よ』


 アレフは杖の底を地面に叩き付けて礼をした。


『君たちがここに何をしに来たのかは分かっているさ。力が欲しいんだろ?ならば早速ルールを伝えようじゃないか!』

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