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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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パスダンジョン【アレフ】

「水の音がするな」


 上では気が付かなかったけど微かにそんな感じの音がする。でもくぐもってる。


「確かに水の臭いはしますね」

「そうなのか?」

「はい」


 クレイがジルハのように臭いを確かめているがよくわからないと首を傾けた。

 ところでジルハのこのスキルはなんなのだろう?

 【嗅覚】とかなのかな?


「でも川なんて見つからねーぞ」


 ドルチェットが水筒片手に探し始めた。


「此処にはない。地下だ」

「地下?」


 アスティベラードが下を見ながら言う。


「地下水ってやつ?」

「そうだ。今のクロイノなら一突きで掘り起こせると思うが」

「いや、止めたほうがいいんじゃないか?」


 クレイが両方向の聳え立つ壁を見る。


「多分、そんなことをしたらこの崖が崩れて生き埋めになる」

「それは困るなー」


 そんな幕引きはいくらなんでもカッコ悪すぎる。


「では止めよう」


 アスティベラードも嫌だったらしく大人しく引き下がった。


「あの…、もしお水が無いのでしたらお分けできますから…」

「本当か!助かるー!」


 ノクターンがドルチェットに水筒の水を分けている時に、ふと何かの視線を感じた。


「?」


 【千里眼】を発動してみたが何もない。

 なんだ?


「あれ?」


 クレイが立ち止まりすっとんきょうな声を上げた。


「どうした?」

「いや、おかしいな」


 そして何度も目の前の壁と地図を見比べた。


「ここが目的地なのか?」

「のはずだけど」

「ほんとだね」


 確かに地図にはダンジョンの印がある。

 なのに目の前には岩の壁。


「クロイノ」


 アスティベラードがクロイノを中に入れてみた。

 だが、何も見付からなかった。


「もしかして谷底じゃなくて上だったか?」

「でも確実に谷底の表記ですよ、これ」

「マーリンガンボケたんじゃねーのか?」

「お前恩人に対して…」


 また視線を感じる。

 さっきよりも強いし、近い。


「……うーん?」


 もしかしても思いながらエクスカリバーで目の前の壁を殴ってみた。


「なにして…うお!?」


 殴った瞬間に突然地面が揺れ始め、クレイが思わずふらついた。


「おおー、めっちゃ光ってる」


 殴った箇所から光が広がり、壁一面に水色の光が広がっていく。

 それが消えた瞬間、壁から扉が浮き上がり振動が止まった。


「なんだ今の現れ方」


 海のそこから鯨が水面に浮き上がってくるみたいに扉が現れたぞ。


「こんな、本当に隠しダンジョンがあったなんて」


 それぞれ驚きつつも扉の前に立つ。

 扉には『アレフ』の文字。

 アレフ?


「どうやって扉を開ける?」


 取手なんか無い。


「なんか、ここに文字が書いてあるんだけど」

「文字ですか?」

「どこにあるんだそんなもの」


 みんなには見えてない?


「ノクターン見えるか?」

「いいえ…。けれど…魔力は感じます…」

「ディラ、読み上げてくれるか?」

「オッケー。ええと…」



“愚か者よ。この扉を開き、中に立ち入るならば元には戻れないだろう。しかし、すべてを捨て去っても力を手に入れようとする愚か者ならば、振り返らずに突き進め。一度踏み出せば、行き着く先は──”



「…先は?」

「よく読めない」


 削り取られているみたいだ。


「変なダンジョンだな。上限のダンジョンはみんなこうなのか?」

「聞いたこと無いけどね」

「………」

「どうした?アスティベラード」


 口許に手を置き体を震わせている。


「パスダンジョンだ。ディラ、安心するがよい。これはお前のためのダンジョンだ」

「俺の?」


 よくわかんないけど。


「お前が手を触れればそれは開く」


 アスティベラードに言われるままに手を触れると、扉が開いていく。

 押してない。ただ触れただけなのに自動ドアのように開いていった。


「おおー」


 扉の先は階段になっていた。

 下へ下へと続いている。


「中は暗いな。ランタン出すか」

「んー、多分それ要らないかも」


 天井近くに意味深な出っ張りが等間隔に並んでいる。


「先に潜るよ」


 足を踏み出す。

 途端にその出っ張りに火が灯り、遥か下まで明るく照らしていった。


「ほらね。行こう」











 階段を下りる音が響く。


「珍しいダンジョンだな」

「そうなん?」

「初っぱなこんな階段を下りるダンジョンは始めてだ」


 ふーん。


 ブリテニアスオンラインでは結構あったけどな。


 上を見ると外の光が消えていた。

 閉じ込められたっぽい。


「あ、水の音」


 ドルチェットが先に階段を下りきり、横を見た。


「川が流れてるぞ!!」


 すぐに階段を下りてドルチェットの消えた方向に行ってみると、本当に川が流れていた。

 川底がシアン色に輝いている。


「飲めるの?」


 ちょっと疑心暗鬼。


 そんな俺の隣で川の水を掬って躊躇なく飲んでいた。


「問題ないですよ」

「怖いもの知らずめ」


 でもありがたく水筒に水を補充する。


「道は一本だな。このまま進めばいいのか?」

「多分ね。あの橋が気になるけど」

「橋?」


 薄暗くて見にくいけど、向こう側に橋が掛かっていた。

 その下は突然川が途切れて、大きな音をたてている。多分滝があるのだろう。


「目的地はあの奥だな。よし、ディラ」

「ん?」

「リーダーバトンタッチだ。よろしく頼むよ」

「了解!任されました!」

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