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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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人間ロケット

「人間ロケット???」

「ここにはない?」

「知らんなぁ」


 どうやらこの世界には人間ロケットのスキルがないらしい。

 何とかして説明しようとしたが、そもそもロケットすら分からなかったので断念した。


「まぁ、とにかくその【人間ロケット】が安全で手っ取り早いっていうんならそれをやろう。本当に大丈夫なんだろうな?」


 疑われてる。


「大丈夫だよ、前回も人間ロケットしてきたから」

「そうか…、なら信じるぞ」


 渋々ながら了承された。

 これは着地地点の情報をちゃんと把握して飛ばさないとな。【千里眼】フル活用だ。


 翌日、なんの効果もないアクセサリーを女主人が取り仕切る道具屋に持ち込んだら思いの外好評で飛ぶように売れ、十分なお金が手に入った。


 そのお金で薬や食料もろもろを買い揃えた。


 マーリンガンの洞窟ではないのだ。

 死に戻りはできない。


「よーし、行くぞー!」


 街から道なりに進んでいく。

 途中、教会関係者らしき馬車とすれ違ったが、【隠密】スキルとジルハの【隠す】スキルで見付からずに済んだ。


 それにしても立派な馬車だこと。


「馬とかに乗りたいな」


 いつも移動はバイクだから。


「金が貯まったらな。なにげに高いんだぞ馬」

「だよねー」

「魔獣飼い慣らすって手もありますけどね」

「一年かかるぞ」

「そこはほら」


 ジルハの視線がアスティベラードへ。


「やらぬぞ」


 ですよね。


 そうして何だかんだと順調に進み、地図にしたがって進んでいき、最終的に森の中へと突入。


「獣道かよ」


 整備されてないにもほどがある。

 だけどマーリンガンもこういう系のダンジョンは人が来ないから放置されているっていってたしな。

 それなのにジルハは何食わぬ顔でドンドン進んでいく。

 慣れてるのかな。


「着いた」


 森を抜けると、いきなり目の前に現れたのは大地の裂け目だった。

 谷っていうか、本当に地面が割れて広がったみたいな感じ。


「底が見えんな」


 アスティベラードが下を覗き込みながら言う。


「川とか流れてる?」


 こういう所は川がよくある。


「音はしませんね…」


 なら大丈夫か。


「じゃあ、やりますか。【人間ロケット】」












「お前嘘だろおおおおおおおおぉぉぉーー…!!!!???」






 高所恐怖症の人が居なかったので、先日提案した【人間ロケット】をすることにしました。

 しかしあまりにも俺の言うことが分からないと言われたので、まずはリーダーであるクレイで実践したら、先のような言葉を残してすさまじい速度で谷底へと落ちていった。


 墜落音が聞こえる。


「………なぁ…死んでないか?クレイ」


 こちらも同じく信じられないという顔で俺を見るドルチェット。

 顔面真っ青なジルハ。

 そして気絶しそうなノクターン。

 早々にクロイノを出しているアスティベラード。


「大丈夫、ちゃんと【千里眼/見極め】で着地地点の確認をしたから」

「「違うそっちの問題じゃない」」


 見事ドルチェットとジルハの言葉がハモった。


「大丈夫だって、なんなら俺の世界では通常の移動手段だったし」

 ※ブリテニアスオンラインでの話です。


「本当にお前の世界ぶっ飛んでるよな。そっちに生まれなくて良かったぜ」


 そう言いながらもドルチェットは大人しく矢のロープを腕に自ら巻き始めた。

 潔い。


 そしてそのままドルチェットを飛ばし、ジルハも怯えながらも飛ばし、意識飛ばしているノクターンをロエテムと一緒に飛ばした後、残りはアスティベラードと振り替えれば。


「よい。私は自力で降りる」


 と、クロイノに跨がっていた。

 そしてそのまま影潜り。


 羨ましい。


「さーて、俺もいこう」


 といっても実はこの【人間ロケット】、自分には適応外である。

 なので、【身体能力向上】で崖から飛び降りるしかない。


「せー、の!!」


 十分に助走して、崖から飛び降りた。




 重力にしたがってどんどん落ちていく。


 お腹がひゅんとする。

 あー、これこれ。これが楽しいんだよ。


 このジェットコースターみたいなの。



「っと、そろそろだな」


 頭が下になっているのでそのまま地面の方向を見れば、もうすぐ地面だった。


 【受け流し】【着地成功率上昇】を発動。


 あとはそのままいつものように、ってところで突然地面が輝いた。


「うおお!!?」


 ボインと地面から生えてきた何かに弾かれて、トランポリンのようになって着地。

 え、なにこれ。


「大丈夫か?」


 駆け寄ってきたクレイの盾が光っていた。

 もしかしてこれクレイの盾のスキル?


「すげー!そんなこともできるの!?」

「【アンカー】スキル出たからな。あとはマーリンガンさんの魔法具でちょいと」

「そうか、【アンカー】ってそういうことできるんだ」


 基本的に魔法使いとか罠師が使っているイメージしかなかった。

 武器使いでもできるんだそれ。


「少し遅かったか」


 岩影からアスティベラードがクロイノと共に現れた。

 それを見て。


「あっちのがよかったです……」


 とノクターンが悲しげに呟いたのを聞かなかったことにした。


「地図によるとそのまま道なりに行くみたいだな。急ごう」

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