レベル差を実感した
ビグ・マネーバは目の前の敵の記憶から相手が想像する仮想敵を生み出す厄介なモンスターだ。
事前に俺の脳内にはこの前の敵と戦うという思考が植え付けられていたため、ビグ・マネーバは俺の思考を読み取って変身。
数秒の後、目の前にグランバエノが登場した。
大きなハエと痩せこけた赤子が混じった生物が王冠被ってて肩には銃器、腕には鎌みたいなの装備している容姿。
餓鬼もいるけど数は15匹くらいか。
「咆哮来るぞー!耳塞げー!」
叫んですぐに両手で耳を塞ぐと、グランバエノが壊れた機械のようなイカれた音を吐き出した。
麻痺の咆哮だ。
だいたい初見がこれでやられるが、まぁ俺が警告したし大丈夫だろう。
「ジルハアアアアーーー!!!!」
耳塞ぎ間に合わなかったらしいジルハが倒れていた。
あーあ。まぁ、一分後くらいに戻るから大丈夫だろう。
「その前に耳栓があれば良いんだけど無いから後方へ下がらせて。っていうかノクターン防音の魔法とかって使えたり?」
「残念ながら…」
「だよねぇー」
持ってたら良いな、って感じだったけど。
「クレイは?」
「盾にあるわけないだろ」
ブリテニアスオンラインではあったけど、ここには無いのかな。
「お腹の辺りが膨らんだらアレをやるから。よーし、行くぞー!」
弓を引き、額に向かって解き放った。
──ガイン。
「え?」
弾かれた。なんで?
「君一人で制圧なんて楽しくないでしょ?だから君の奴だけ条件攻撃デバフ掛けてるから気を付けてねー!」
と、何処からともなくマーリンガンの声が降ってきた。
「マーリンガン聞いてないよ!!」
初耳過ぎる!!
「うおお!!?」
グランバエノの殴る攻撃で地面が揺らされる。
「桃の花。梅の花。桜の花。藤の花。四つ角に添えて陣を成し、更に桔梗を添えてかごめと成し、彼の者を守護せよ…。《ネイテ》
一つ折りて、二つ。二つ折りて、四つ。三つ折りて、八つ。重なる度に厚みを増し、いずれは月に届く塔の如く…。《ウレナサーク》」
切羽詰まった様子で慌ててノクターンが援護魔法を唱えた。
顔が青い。うわあ。
「せやっ!!」
ドルチェットの大剣がグランバエノの足を切断したが。
「危ない!!」
「!!」
クレイが上からの鎌の攻撃からドルチェットを盾で庇ったが。
「うわああ!!」
一撃は耐えたが、横からの攻撃の反応に遅れてドルチェットと一緒に吹っ飛ばされた。
「ひいいいい」
腰を抜かしているノクターン。
ジルハを守ってはいるがその場から動けないらしい。
「失せろ!!」
アスティベラードがクロイノに命令するが。
クロイノの尾で撫でられたグランバエノが一瞬力が抜けたような感じになったが、すぐに立て直した。
「なっ!効かぬだと!? ならば!」
クロイノが影に潜り、次の瞬間アスティベラードの周辺に穴が開いたと思ったら、そこから光線が飛び出した。
なにそれかっこいい!!
だが、効き目は薄く、直撃した場所から煙が出たくらい。
全くの予想外で狼狽えるアスティベラード。
「あ、ヤバい」
グググとグランバエノが肩を寄せてきた。
連続発射だ。
矢を後方に打ち出し、俺はスキルを多数発動した。
「走れ!!俺の矢の外まで!!」
ジルハとノクターンを全力で矢の外へとぶん投げ、相殺の為に【弓矢生成】で向き合った瞬間、グランバエノから弾が大量に飛んできた。
大量に発射した矢が弾を打ち砕いていく。
何とかなるほどの量しか相殺できなかったけど、クレイの盾もあるし大丈夫だろう。
「デバフきつーッ!!………あれ?」
だけど、周りを見ると光の塊が霧散していった。
「え?死んだ!!?」
なんで!!?
まさかの衝撃波でやられた!!?
「あ、デバフが切れた」
本当に俺以外全滅してしまった。
「まぁ、そうか。よくよく考えたら10以上の差があるもんな。仕方ない仕方ない」
復活できるから安心だなとか思っていたら、マネーバがウゴウゴ動いて形を変えた。
出来上がったのは、俺が大嫌いな奴でした。
「バロロローーイ!!」
ゆるキャラみたいな容姿の癖に攻撃方法が嫌いな鞭と槍が合体したもので、倒すのに苦戦を強いられた奴になった。
「…………………」
無意識にポケットに手を伸ばしたけどポケットの中にポーション類は一切無かった。
ええ。待ってよ。こんな物資不足の状態でやらないといけないの?
「ムチウチニナレーーーーイイイ!!!」
「もうこいつとはやりあいたくなかったのにいいいいい!!!!」
ギリギリ競り勝ちました。
なんで87に上がるときに倒した相手ともう一度やりあわないといけないんだよ。
ただ、スキル乱用しすぎて頭超いたいです。
「…ただいま……」
「本当に倒しちゃったね。見てたけど君んところのモンスターえげつなくない?」
「俺的にはあなたがえげつなくない?です」
見回すとみんな揃ってガタガタしてた。
「嘘だろ、防いだのに衝撃が貫通してきたぞ…」
「……」
「…………折れてない」
「………」
「……死んでしまいます…」
クレイは未だに信じられないって顔しているし、ジルハは初手で使い物にならなくてショックでしゃがみこんで蹲り、ドルチェットは大剣で防ごうとしたときに折られたらしく、今は元に戻っている剣を入念にチェックし、アスティベラードは無言でうつむき、ノクターンは顔から色が消えている。
「これがレベル30だけど、どう?」
むりむりむりと手を振るクレイ達。
「ねぇ、普通に個別にレベル上げした方が良いと思うんだよ俺」
「そう?仕方ないなぁ。じゃあメニュー変更しようか」




