村が炎上事件
10時投稿にしよう
ナッツ村はこの川を下れば辿り着けるらしい。
「足が操り人形みたいになってる」
ガクガクしてる。
「ドルチェット落ちないか見ててくれないか?」
「うぃーす」
「大丈夫大丈夫そこまでではない」
もう介護いらない。自立できる。
「トクル、ご苦労だった」
「ケイケイ」
アスティベラードとジルハが周辺を探知してくれている。
「俺も手伝いたい。そろそろスキル使って良い?」
【千里眼/見通し】らへんを。
「体のふらつきがなくなるまでは禁止だ」
しかしクレイに却下された。
「過保護よな」
「リーダーとしてメンバーの体調管理はしないとだろ?」
「好きだなぁ、そのリーダーとしてっての。やめろその顔、ドヤらなくて良い」
アスティベラードに嫌みたらく言われたが、クレイは全てリーダーとして。で終わらせた。
すげえなリーダーって言葉。
ドルチェットは軽く流しているが、リーダーという言葉を気に入っているのか乱用しているクレイ。
確かにそのドヤは視覚的に煩い。
「ん?」
「どうした?」
村があるらしき場所の空が微妙に赤い気がする。
「ちょっとスキル使いまーす」
えいや、と【千里眼】発動。
「は?」
するととんでもないものを視てしまった。
「急ごう。なんかとんでもないことになっている。村が」
皆の返事を聞く前に走り出した。
待って待って、これ二度見どころの風景じゃないよ?ガン見だよ??
「…………えええ!!?」
村が燃えていた。
普通に燃えているんじゃない。大炎上。なんならドーム状に燃えている。
ええ?なにこれ。こんな燃え方ある??
「どどどど、どうしよう…、水?水掛ければいい??」
「一旦落ち着け。どうみてもこの炎は自然ではなく魔法だろう。多分」
不確定の多分ヤメー!
「自分が館燃やしたのと燃え方違うな」
「比較対象」
ドルチェット達がなにやら不吉なこと言っているが、その後ろでノクターンが冷静に分析していた。
「これは…、魔力の形態変化ですね…」
「そのようだな」
形態変化って、あの、つまり魔法的なヤツですよね。
これもブリテニアスオンラインとかにあったかな。
魔法職と縁が無かったから分かんないや。
「じゃあ、村は無事ってこと?」
「おそらく…」
良かった。
良かったのか?
どっちにしてもまず無事を確認したいけど。
「なにしてんだ?」
エクスカリバーを取出し、矢をつがえる。
矢尻がないやつ。
それに氷属性付与してみた。
「せや」
矢を飛ばすと、飛んでいる途中で炎に襲われて消滅した。
氷属性付与してたら少しは持つはずなんだけど。
「アレは結界か?ノクターン」
「そうですね…」
「フム。ディラ、少し下がっとれ」
アスティベラードが前に出た。
「ちょっと見て参れ」
そしてクロイノが炎の中に入っていった。
「大丈夫なの?クロイノ。熱くない?」
「あやつにそのような概念は通じん。全てすり抜ける」
「無敵じゃん」
少しするとクロイノが戻ってきた。
「村があった。燃えておらんかったぞ。あと変な魔力の流れになっておった」
「へえ」
じゃあ犯人はマーリンガンかな。
「どうしようか。近付いて炎に襲われてもどうすることもできねーし。…ディラ?なにしてる?」
鞄からとあるアクセサリーを取り出した。
「物は試しってね」
それを首から下げて炎に近付いてみた。
襲われない。
「おい!それ以上は!!」
クレイが止めたけど、そのまま前進した。
熱くない。
そう思った瞬間に炎が晴れて青空が広がった。
「お?」
見慣れた村が現れた。
後ろを見ても特に何も無かったかのような風景が広がっている。
違う点はクレイ達が居ない点。
「おお!?ディラじゃないか!!」
「あ、おっちゃん。おひさー」
農家のおっちゃんが駆け足でやって来た。
転ぶからゆっくりゆっくり。
「大丈夫だった?なんか外から見たら村が燃えていたけど」
「ああ、マーリンガンが魔法をね。ほら、あの柵だよ」
後ろを見ると、見知らぬ柵。
あのデザインは確かにマーリンガン。
「今マーリンガンとマドカさん(おばあちゃん)を呼んでくるよ」
「わかった。俺も外に仲間を待たせてるからすぐに行って戻ってくるよ」
【千里眼】で見通してみた。
特に何も以上は無さそう。
それだけ確認して皆のところへと戻ると、すぐ目の前にいてビックリした。
近くない?しかも顔強ばってない?
「あれ?ディラじゃないかい?」
「マーリンガン。あれ?なんで?呼びに行きましたよトントさん」
何故か呼びに行ったはずのマーリンガンが外で俺の仲間と睨み合いになっていた。
「ディラ、知り合いか?」
と、クレイ。なんで盾出してるの。
「んん?お仲間?」
「そうです。良いご縁がありましてー」
「そうか。じゃあ悪かったね」
?
「いえ、大丈夫です」
?? なにかあったの?
「すまないが、そこのエンジュウを入れることができないんだ。長く中に入れておくと演算式が崩れていくからね」
エンジュウ?
マーリンガンの視線を追うとクロイノだった。
種族名かな。
「じゃあ、どっか休めるところとかない?俺がお願いして連れてきて貰ったからさ。あと話したいこともあるし」
「そうなのか。じゃあ、造っておくから少しだけ待っててくれないかな。あと、ディラくん?僕もお話あるから待っててね」
「はーい」
マーリンガンが炎の中に消えた。
「……ふぅ…」
珍しくアスティベラードが強張った顔で安堵の息を吐いた。
「おい、なんだアイツ」
クレイが盾を畳みつつ肩に腕を置いてきた。
「なにが??」
「……おい、クレイ。多分こいつに訊ねても無駄だぞ。わかってない」
「え?」
「僕もドルチェットと同意見です」
「え??」
視線を向けるとノクターンも小さく頷いていた。
ええ??なに??




