表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

25/163

休息

 そこから意識が行ったり来たりして、ようやく落ち着いたのが四日目からだった。


「あー酷い目に遭った」


 インフルエンザに罹った気分だった。


「起きて第一声がそれとか神経図太いなお前」


 ドルチェットだった。


「あれ?クレイ達は?」


 額から濡れタオルを取りつつ訊ねた。

 アスティベラードもいない。


「食料調達だ。急いで町を出てきたから携帯食料を補充する時間もなかったからな」

「申し訳ない」

「ほら、お前の荷物だ。なんかすごいアクセサリーばっかだが、お前の持ち物か?」


 マーリンガンのと俺の魔法具を確認する。

 全部揃ってた。


「そうそう。俺の、うーん、師匠?みたいな人のと俺の作ったヤツ」

「お前が作ったのか!?」

「そう。得意なんだよ、こういうの」

「へぇー、器用だな!自分にも教えてくれよ!」

「これ一歩間違えたら爆発するよ?」

「じゃあやらねぇ」


 切り替えが早い。

 てか不器用なんだな。


「ただのアクセサリーなら爆発しないから、それならどう?」

「じゃあ、やる。簡単なのからな」


 ガサガサと茂みが揺れる。


「おお!起きたか!」


 アスティベラードだった。

 後ろにはクロイノ。上からはトクルが降りてきた。


「交代だな。自分ちょっとジルハ達んところ行ってくるわ。アイツもけっこう抜けてるからな」


 そう言ってドルチェットがアスティベラードと入れ替わるように行ってしまった。


 なんだろうこの空気。気を使われた的な?


 アスティベラードがドルチェットの座ってたところへ座る。


「私が付いていながらすまなかったな」

「いや、大丈夫だよ?てか俺の自業自得だし」


 クロイノは止めようとしてくれていたんだ。


「ところで、本当に名前クロイノでいいのか?もっとカッコいい名前のが良いんじゃ?」

「何を言う。クロは愛しいの意。イノは鬼神の如く強さの意。まさにぴったりである。よく我が国の古語を知っておったな」


 いや知らなかったけど。


「なら良いのか」


 結果オーライって感じ。本来の意味は言わないでおこう。


「起きたか!体はどうだ?」


 茂みからクレイとジルハ、そしてドルチェットがやって来た。


「もう大丈夫ー!」

「そうか、良かった。でも最後まで油断はできないからそこの薬飲んどけ」


 クレイが指差すのは俺の横におかれた水筒。

 意識がグラグラな中何度も無理矢理飲まされた超苦い薬。


「えええ……。飲まなきゃダメ?」

「ダメだ。飲め」

「うえええ」


 飲みたくない。だってこれ青汁とゴーヤーとピーマンを磨り潰したみたいな味がする。


「ノクターンが果実を持ってくるから、それ飲んだら褒美としてお前にその七割あげよう」

「いただきます」


 呼吸を止めて一気飲み。ゲロるゲロる堪えろ俺!!


「よしよし、よくやった」


 誉められたけど苦味に耐えているので嬉しくない。


「あの薬、クレイが作っているときに摘まんだが恐ろしい味したぞ。やべーよな」

「僕も飲みたくないから毒に気を付けるよ。飲ませ方もヤバかったもん。プロだよね」


 コソコソとドルチェットとジルハが話している。

 これクレイが作ったんか。次があったら言わなくちゃ。せめてバナナかハチミツを入れろと。


 その後、ノクターンが持ってきた果実を本当に七割くれたので口直しにと貪った。甘い美味い。


「さて、ここからどうするか、だな。教会に目をつけられた以上、ひとつの町で長く居座るのは難しいだろう」

「もう、ほんと申し訳ない」

「うるせえ謝んなニンジン」

「で、だ。フリーランサーという手もある。あれをしているのは遺跡巡りの冒険者とかだが、別に規定とかはない。物資が手に入りにくくなるが、代わりに足を掴まれにくく、経験値を上げるのにはもってこいだ。なにせ、このカウンターは依頼でしかカウントしない訳じゃない」

「じゃあ、いく先々で倒していってもいいんですね」

「そうだ。どうせレベルを上げなきゃいけないんだ。むしろそっちの方が効率的だろ?」

「同意見だ」

「ワタシもです…」

「お前は?」


 最後に俺に振られた。


「異議なーし」


 あるわけない。


「しっ!じゃあ目的を決めないとな。いや、その前にっと」


 クレイがガチガチに固められた箱を取り出した。


「中にある弓を出してやらねえとな」


 手には針金やら謎の工具。


「本当に出来るのか?そんな道具で。自分の剣で切った方が早くないか?」

「この大きさの箱をドルチェットの大剣で切られたら確実に俺のエクスカリバーまっぷたつになっちゃうからダメ」

「ディラと同意見だ。まぁ、待っとけ。すぐに解錠するから」


 そういうや、クレイは本当にあっという間に鍵を開けていってしまった。


「…あの時もこんな風に鍵を開けられたのでは?」

「こいつに付けられていたのは特殊なもんだったから無理だ。それ、最後のひとつ」


 ガチャンと鍵が空いた。


「お久しぶりです。エクスカリバー」


 クレイに手渡されて箱を開けると、何故か水に漬かっていた。そして元の棒に戻っていた。


「…弓は何処だ?」

「まさか!取り違えた!!?」


 ドルチェットが焦り始めた。


「いや、これであってるよ」


 なんでもとに戻っているのか不思議だけど。


「いやいや、どうみても弓じゃないだろ?」


 クレイも慌てているが、何故かアスティベラードとノクターンだけが冷静だった。


 棒を手に取る。そして水から出した場所から変化していき、弓へと姿を変えていった。


 唖然とする一同、アスティベラードが小さく『これが例の無銘の神具か…』と感動した様子だった。もしやシャールフ伝にありました?これ。


「これ、他のにも変えられるのか?」


 次第にドルチェットが興奮していく。


「今んところ弓だけかな。あ、でも弓でも俺の知っているヤツに変えるのはできるっぽい。こんな風に」


 使い勝手の良いライトボウから攻撃力特化のクロスボウに変化させると『すげえ!すげえ!』と子供のように喜び、『私にも見せろ』とアスティベラードにアンコールをねだられた。


「おれも欲しい」

「分かる」


 静かに羨ましがるクレイとジルハ。


 そこで思い出した。


「あのさ、先に村の様子見てきて良いかな?」

「村?あ、もしかしてなんかなってたらーって言ってたやつか?」

「そう。おばあちゃんが心配なんだよ」


 あとマーリンガン。


「いいぜ。まずはそこにいこう。村の名前は?」



「ナッツ村」 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ