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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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阿吽の呼吸

『調子に乗るなよ人間風情が。勇者といえども結局は人間。最終戦争まで生き残る等と思い上がるな!』


 連続発射の攻撃が来る!!


「下がれ功太!!そのデカイのを後ろに退かしておけ!!」

「任せた!! ガンウッド。早くアリマの所に」

「…あんな盗賊に、任せるなど…」

「今はそんなことどうでもいいだろ!早く!!」


 後ろで功太に怒られた大男がヨロヨロと倒れた魔術師みたいな女の人の所へと向かう。その時に凄い睨み付けられたけど無視した。

 構ってられん。


 ブランバエノと呼ばれた司令塔が狙いを定め、腕についた機関銃のような器官から大量の弾が連続発射された。


 【雨状放射】【弓矢生成】【攻撃力倍増】【標的捕捉】【標的範囲拡張】【動作加速】【弾幕】【千里眼/見極め】


 矢を射ち出した瞬間、俺の周りに数え切れないほどの矢が発生し、放った矢と連動して一斉に射出された。


 ブランバエノの弾と俺の矢がぶつかり、相殺する。

 

「…きっつ…」


 ブリテニアスオンラインでは分からなかったスキル大量同時使用の時の負荷。体力ではない何かがゴリゴリ削られている感じ。


 鼻血出そう。


「いけるか!?功太!?」

「今【動作加速】と【攻撃力倍増】できた。もう少しで【広範囲攻撃判定】が溜まる…っ!」


 功太もスキルが使えるらしい。いいぞ、このブリテニアスオンラインのような雰囲気。段々楽しくなってきた。


『ちぃ、たかが弓兵がブランバエノの攻撃を止めるとは…』


 もう少しで連射が終わる。


「溜まった!!朝陽、スイッチ!!」

「オッケー!!任せた!!」


 連射が終わった瞬間に、横から功太が光の帯を引いて飛び出していく。


 功太の必殺技を貯めた剣が唸りを上げている。


「!」


 それに呼応するようにエクスカリバーがビリビリと振動していた。


 事前に【身体能力向上】を使っていたのだろう。

 地面を強く踏み締め、高く跳び上がった。


「ギギギギギギ」


 ブランバエノが空中の功太へと腕を伸ばす。

 攻撃妨害か、させないぞ!


 大量同時スキル発動の影響か頭がふらつくが、スキル無しでも止めることはできる。


 功太に迫る腕をエクスカリバーで放った矢が撃ち抜き、破壊していく。


「あああああああああーッッ!!!!」


 剣の光が伸び、攻撃有効範囲が確定される。

 いけ!功太!!


 振り抜いた剣から光が消え、次の瞬間ブランバエノが袈裟斬りになった。


 頭から爪先までまっぷたつになったブランバエノがバラけて砕けて、ボロボロと消えていく。


「っと!」


 溜めた必殺技を出した反動で動けなくなっている功太を地面にぶつかる前にギリギリ滑り込んでキャッチ。

 ブリテニアスオンラインではキャッチできずに体当たり判定になるけど(それでも落下ダメージは減らせる)、ここではそうならなくて良かった。


「うーわ、近くで見たら結構深手じゃないか。後で治癒してやる。あ、その前に説明頼むぞ」

「わかってるよ」


 功太を下ろすとブランバエノは完全に消え去り、ラフレシアの矢の方向でも赤黒い光が霧散していくのが見えた。


 コバエ達も消えていったらしい。


「勇者様…!!ご無事ですか!?」


 少し意識のあった魔術師に魔法を掛けて貰い動けるようになった大男のガンウッドがやって来た。相変わらず俺のこと凄い睨んでいるが。


「アリマやルカの様子は?」

「…先ほど、アリマに持っていた魔力薬、最後の一本を飲ませました。もう少しで回復して動けるようになるでしょう。ルカは気絶でした。アリマが何とかします」


 その報告を聞いて功太がホッと息を吐いた。


「しかしっ!」


 ギッ!!と凄い睨み付けてきたガンウッド。なんなら殺気も混ざっている。


「何でこいつがここに!!」


 知らねーよ。


「俺もそれを功太に聞こうとしていたんだ」

「盗賊風情が何を呼び捨てにしているんだ!!勇者様と呼べ!!」

「二人とも、まだ終わってないから!」


 功太が空中の女を示す。

 忘れてた。


『ふーん。人間が、なかやかやるようね。特にそこの勇者と、盗賊?とやら』


 やばい。俺もう盗賊じゃないのに盗賊認識になってる。


 女が扇子の下で笑う。

 楽しそうに。


『勝てた褒美に教えてあげる。私の名前はクリフォト・カバラ。勇者よ、聖戦は始まったばかりだ。しかも今回はほんのお遊びのレベル。この程度で苦戦していれば次の神蝕(シンショク)は防げないでしょう』

「なんだとこのアマ!!!降りてこい!!!」


 このガンウッドって奴。誰にでも喧嘩売るな。


『負け犬が何か吼えておるな。キャンキャンキャンキャン、やかましい』

「ウッ、ヌウウウウウウアア!!!!」


 図星突かれて凄い顔になってるぞガンウッド。


『では、また一月後、鐘の音にて合間見えましょう。次はこれの倍は強いのをつれてくるわ。ふふ、せいぜい怯えながら過ごすことね…』


 女の視線が功太と、俺に向いた。


『それでは』


 パチンと扇子が閉じられ、女が消えた。


「穴が閉じていく」


 空のポッカリ空いた穴が外側から元の空に戻っていっていた。


「おおわっ!!?」


 突然胸ぐらを掴まれ持ち上げられた。

 犯人はガンウッド。


「貴様!!」

「やめろガンウッド!!」


 功太がガンウッドの腕にぶら下がって止めようとしているが頭に血が上っているのか聞きやしない。


「なんだよ俺に八つ当たりかよ負け犬クン」


 あんまりムカついたから、つい口から滑り出ちゃった。


「ウオオオオオオオオオ!!!」


 拳が迫る。あー、絶対痛いこれ。








「…あれ?」


 景色が変わった。


「──うすんのか?正直自分はそっちのが楽なんだが」

「確かに。バランス良いもんね」


 元いた居酒屋だ。

 え?なんで??


「ディラはどうす…、うえええ!??お前その血どうした!!?」

「へ?」


 振り返り様、クレイが俺を見て驚きのあまり後ろに倒れかけた。


 血?


「!!!!?」


 クレイの言葉で俺を見た隣のノクターンも驚きすぎて軽く飛んだ。


「あ」


 服にベットリの血が付いているのに気が付いた。

 脳裏に過る功太受け止めたときの光景。血塗れだったしな、あいつ。

 あーあ、治療も出来なかったし、説明も聞けてないや。


「どどどどうした!!?何処か怪我でもしたのか??」


 狼狽えるクレイの側でアスティベラードが激しく動揺している。 


「ノクターン!何をしておる!早く治療を!!」

「大丈夫大丈夫。これ俺のじゃない。俺の友達のやつ」

「はぁ!!?」


 だめだ更に混乱させてしまった。


「本当だ。ディラの匂いじゃないね」

「ほんとかー?」


 そんな中ジルハがそう言ってくれ、ドルチェットが納得。

 二人の様子を見て周りも落ち着きを取り戻し始めた。


「……とりあえず事情を聞く前に、こいつ着替えさせよう」


 そう言うクレイの視線を追うと、店内の視線が俺に集中していた。


「そうだな…」

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