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旧・脇役無双~この弓はエクスカリバーである~  作者: 古嶺こいし
この弓はエクスカリバーである

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それぞれの戦闘スタイル

 腕をおおう形に変化したガントレットシールドで襲い掛かってきたポイズンヴォルフを受け止めた。


「重い…っ!」


 レベルリセットで能力が半減したとはいえ、少しはいけると思ったが。ちょっとシールダーの仕事を舐めていたか。


「失礼します!!」


 そう思った瞬間、ジルハがポイズンヴォルフの死角から現れてクナイを外側にいる個体の首に突き刺した。


──ガアア!!


 すぐさま飛び退き、入れ替わる様にドルチェットが飛び出した。


「喰らえ!!」


 掬い上げるような軌跡。

 大剣がポイズンヴォルフの腹を捉えて宙へと切り上げる。


 地面に転がったヴォルフにジルハが止めを刺す傍ら、ドルチェットは次の獲物へと斬りかかっていた。


 ドルチェットの攻撃に怯んだヴォルフが逃げようとするが、そこを封じるのがおれの役目。


 先回りして逃げようとしている個体を盾で殴り付けて意識を集め、その隙にドルチェットの大剣が唸る。


「!? しまった!」


 一頭、動きの素早い個体が盾を踏み台にして飛び越えてしまった。


 遠吠えで仲間を集めてノクターンの方へと駆けていく。


 ひいいい…!!と顔を青ざめているノクターンの前へとアスティベラードが立ち塞がった。


 腕を組んだまま、物凄い勢いで迫ってくるヴォルフを見詰めている。


 桃色の唇が、開き、言葉を紡いだ。


「下がれ」


 たったその言葉だけでノクターン達に迫っていた三頭のヴォルフは泡を吹いて地面へと転がった。


 なんだ?何をしたんだ?


 傍らのノクターンが頭を抱えて「死にたくない死にたくない…」とブルブル震えている。

 あの人、もしやポイズンヴォルフではなくアスティベラードに脅えているのか…。


「あ?そういえばディラは?」


 姿が見えない。

 まさか!?


 何処かで殺られていないかと焦って探したその瞬間、背後で轟音と共に岩場の一部が吹き飛んだ。


「なんで岩場にもダメージが!!?」


 そんなことを叫びながら、レベル1とは思えない身のこなしで空中で狙いを定めるディラを発見した。














 クレイがシールドを駆使してポイズンヴォルフを受け止めた瞬間に、ジルハとドルチェットが襲い掛かった。


「ジルハは急所狙いのヒットアンドアウェイか。で、ドルチェットは…、ジルハとのスイッチを駆使して混乱した敵を行動不能まで追い詰める感じ…。てか、大剣をあんなバットみたいに振り回すの初めて見たぞ。筋力どうなってんだ?」


 もしかしたら筋力増加のなにかを身に付けている可能性もあるけど、もし素だとしたら恐ろしい子である。


──グルルルル!!


「っと、俺も呑気に観察している場合じゃなかった」


 弓を振り、棒状に変形させると、迫ってきた五匹のポイズンヴォルフに擦れ違い様に脛椎狙いで首に叩き付ける。

 ゴキンという音が手に響く。

 よし、コレも良い感じ。ここらで一回引き返して合流を。


「しまった!」


 クレイの焦った声。

 盾で動きを封じていたポイズンヴォルフの内の一頭が、クレイの盾を乗り越えてノクターンの方へ行ってしまったらしい。


 弓に戻し、走っていく三頭へと弓を構えたが。


「!」


 突然の悪寒に手を止めた。

 なんだこの冷水を背中に掛けられたかのような感覚。


 アスティベラードがノクターンの前へと立ちはだかり、次の瞬間。


「…なんだあれ……」


 泥水のようなものがアスティベラードの影から這い出し、ブクブクと膨れて動物の形を造り上げた。

 猫のような、馬のような、鳥のような…。

 蛇の尾がゆらゆらと揺れ、アスティベラードの「下がれ」の一言で迫っていたポイズンヴォルフ達がその尻尾に撫でられた瞬間に泡吹いて倒れた。


 こっわ!!


──ウオオオオオオオオオン!!!

──ガルルアアア!!!


「おお!?」


 突然背後からたくさんの音が迫ってきて、振り替える。

 ポイズンヴォルフの群れが一斉に、一番距離が近かった俺に襲い掛かってきていた。


 奥の方に赤っぽい物が見えた。

 あれ、もしやボスか?


「ほっ!」


 一番手前のポイズンヴォルフを足場にして高くジャンプした。


 あ、やっぱりボスっぽい。


 矢をつがえ、放つ。

 途端、ボスを貫いて突き刺さった矢によって地面が破裂した。


「なんで岩場にもダメージが!!?」


 ああ、そうだこれゲームじゃなくて現実だ。

 何を当たり前なことを驚いているんだと少し恥ずかしい気持ちになった。


「まだ息あるし、ついでに一掃しとこう」


 脳内に【雨状放射】【弓矢生成】の文字が浮かび上がる。


「しっ!!」


 矢を放った瞬間、解き放たれた矢が広範囲に同じような矢が現れ、ポイズンヴォルフの群れに降り注いだ。












「お前ほんとにレベル1か?」


 戻るなりクレイに言われた。


「そうですけど」

「帰ったら更新してこい。たぶん一気に5くらいは上がっているはずだから」

 

 そんなすぐにレベルなんて上がるわけ無いじゃないか。

 いや、そうかこのレベルは総合的なやつではなく職業レベルか。なら上がるか?


「よくレベルと実力は比例しないとかいうけどよ、こいつの場合まさにそれだな」


 とドルチェット。

 俺の背中を遠慮なしにバシバシしている。痛い。


「つか、なんか変な能力使ってただろ。スキルも使えるなら言えよな」

「スキルあるんだ」

「お前のさっきやったのがスキルじゃなかったらなんなんだよ」

「ドルチェットの言う通りだ」


 クレイが何やら隣でメモりながら同意する。

 ああ、俺の情報書いてるのか。


「つーか、自分的にはアイツが一番気になるけど」


 ドルチェットが親指で指し示す方には未だに震えの止まらないノクターンと。


「?」


 何故か俺をずっと見ているアスティベラード。

 なんか、子供のように目がキラキラしてない?


「アスティベラードは、スペルマスターか?にしては威力やべーけど」


 クレイが訊ねるとまた不機嫌顔。


「あほう。違うわ」


 スペルマスターではないだろう。

 あれは言葉の意味をそのまま相手に強要させる類いので、魔法とは違い、催眠みたいな分類だったはず。

 例えば、『眠れ』と言えば睡眠による行動不能対抗ロールが発生したり、『外れろ』と言えば、高確率で攻撃の命中率が下がる。


 ただし今回の『下がれ』なんて曖昧なもので発動は出来ない。


 俺はそれよりもまだアスティベラードの後ろにいる黒いのが気になって仕方がない。


 なんだこのデイダラボッチのなり損ないみたいなの。

 さっきの様子を見るに死神の類いか?


「………」


 もしかしてノクターンはアスティベラードではなくこっちに脅えているのか。


 ていうか。


「ディラの倒した奴にボスが混じってたんだけど。上の岩が邪魔だな。仕方ない。証拠品で毛を刈り取るか。うわっ、真っ二つになってる…」

「僕アーチャーに戦闘スタイルチェンジしようかな」

「やめとけやめとけ。ぜってーにあってない」


 皆、これ見て驚かないの?

 凄いな。


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