表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

2.悪役令嬢

ブクマ付けてくださった方がいたみたいで、本当に嬉しいです!

この場を借りて感謝させて頂きます

「ん……」


雀の囀りと、少し眩しい日差しに目を覚ました。


夢に出てきたイケメン、どんな顔だっけ……。


寝起きの頭は朦朧としていて、布団が恋しいのか、洗面所への道のりが、やけに長く感じる。


だが、そうなのだ。

そうなのだ。

六畳一間の一室が、こんなに広い筈がないのである。


これはあれか、アリス症候群とかいうやつか?と横を振り向いてみても、そこにあるドレッサーの大きさは、異常とは言えなかった。

そもそもそんな所にドレッサーなどあるはずは無く、それ自体が異常であるということには気が付かなかった。



____なぜなら、それ以上の異常を目にしたからである。


「うそ……!?」


そこにいたのは、アラサー社畜OLではなくて、

鏡の中には、青みがかった白髪をした、絶世の美女が映っていた。



***



待って待って待って、どういうこと!?

昨日の婚約破棄だどうのという話は夢じゃなかったの!?


まるで夢のような出来事だった。

というか夢であってくれ。


私は昨日眠りにつくまで、確かにただのOLだったはずだ。

でも、記憶の中には、侯爵令嬢"フィリア・セレネリオン"としての人生が、当然のように存在している。


これはあれか?転生というやつか?

どこに、なんで私が、ていうか死んでるの?


疑問が絶え間なく頭に浮かんでいく。


「待って、この顔、どこかで見たことがあるような……。」


ドレッサーに手を付き、自分の顔を凝視してみる。


白い睫毛は長く上向きに揃っていて、瞳の金色は、まるで満月を閉じ込めたかのようだ。

どう考えたって、私では無い。



「あっ______!!」


「後輩が私に勧めてくれた本だ……!」



確かに私は見たじゃないか、この顔を。

やけに綺麗な表紙だなと思って、じっくりと眺めた記憶がある。

真ん中にはいかにも愛嬌のある可愛い女の子がいて、その後ろ、端の方に、その子を冷たい目で見つめる、白髪の女性。


それと同時に、蘇ってくるフィリアとしての、残酷な記憶。



"あら貴女、こんな紅茶を私に飲ませるつもりなの?クビよクビ。帰ってちょうだい"


"◼️◼️◼️◼️様、日曜の午後、私とお茶をしませんこと?勿論、婚約者には秘密で……♡"


"魔法の使えぬ者など、この世に存在する価値も無いわ。穢らわしいッ"


"私の欲しい物?愚問ね。全てに決まっているじゃない"



嫌でも悟ってしまう。

私はこの物語に於いて"悪役令嬢"なのだと。



終わった……。

美人に転生してワンチャン最高の人生!?とか思ってたのに、全然悪役じゃないか。

断罪とかされちゃうパターンか、知ってるぞ、私それ読んだことある。


あれ、でも本を読んでれば、未来が分かって回避出来るんじゃ……?


しかし、記憶をどれだけ探そうと、本の中身が出てこない。

なんなら本を開いた記憶さえない。

そうだ、昨夜は疲れていて、明日読もうとそのまま寝てしまったんだ。


瞬間、私の脳内に浮かんだ、絶望の二文字。


こういうのって大体読んでたり知ってる話なんじゃないの!?


嫌だ、今生は楽しく生きてやるんだ。

あんなつまらない人生送って来たんだから、ちょっとくらいご褒美があってもいいじゃないか。


幸い、婚約破棄されても私は今こうして家に帰されている。


つまり______

限りなくアウトに近いセーフだということだ。


究極的に穏便に、平和に、自然に、何も問題を起こさなければ、断罪は免れるはず!!


私は元社畜だ。波風を立てずに生き延びるスキルは誰にも負ける気はしない。


ぱんぱんと頬を叩いて、気合を入れる。


「やるぞーーー!!!」


この時の決心は本物だった。

だが、現実はそう上手くはいかないもので。



***



「お嬢様、おはようございます。本日はゆったりとしたお目覚めですね」


私の叫び声に気が付いたのか、侍女のジュリアが紅茶を持って入って来た。

恥ずかしい。忘れて欲しい。



「そういえば、先程までジュード様がこちらにおられましたよ」


「お兄様が?」


「ええ。昨日お倒れになったお嬢様を心配なされたようで、一晩中、付きっきりで。」


「一晩中!?」


昨夜私を連れ帰った時には義務だとか言ってたわよね。

義務なのか?果たしてそれは義務なのか?

でも、この世界じゃそれが普通かもしれないわ……。


フィリアとしての記憶はあるものの、感性は大分元のままのようで、この世界の常識に対応出来る自信がない。

今日はひたすら記憶を纏めることにしよう。



「ねぇ、ジュリア。お兄様はいつ帰ってくるのかしら?」


「ジュード様でしたら、夕方には公務を終えてお戻りになると思いますよ。珍しいですね、お嬢様からジュード様のお話をなさるなんて」


「へ?え、ええ、少し聞きたいことがあるだけよ」



兄妹だから、距離は近いものかと思っていたのだけれど、複雑なのかもしれないわ。


一通りの身支度を終えると、ジュリアは部屋を後にした。



***



ええと、まず……


私はフィリア・セレネリオン。

この国で2番目に地位の高い公爵家の長女だ。

我が家の時期当主であるのが、2つ上の兄、昨日私を連れ帰ってくれたジュード・セレネリオンである。


フィリアの記憶を探ってみても、お兄様に関する記憶がほとんど無い。

かといって仲が悪いようでも無いし、きっと複雑な事情でもあるのだろう。


そして、私に婚約破棄を突き付けてきたのが、この国の王太子、レナード・コンステリア、クズである。


私と言う存在がありながら、公爵家、伯爵家、その他諸々、沢山の女に手を出している。

その上悪びれもせず女の匂いを振り撒いて歩いてる。

まぁ、私も人のことは言えないのだが……。


こんなのが時期国王って、大丈夫かこの国。


ジュードとレナードは同い年の学友で、学園でトップを争っている魔法の実力者だ。


私たちの通う学園は、この国の上位貴族が集まる場所だ。


で、そこで私が色んな男に色目使って、色んな女子、だけじゃなくて男子からも毛嫌いされているのよね……。


レナードが国王、私が王妃の国なんて終わってたわね、国としては良かったんじゃないか?今の状況。


なんて考えてはみるものの、私の状況は全く良くない。


正真正銘、根っからクズの嫌われ者悪役令嬢。唯一の利点である王太子妃の称号も剥奪されて……。


ああ、頭が痛くなってきた。

男を利用し、侍女を見下し、気に入らなければ怒鳴り散らかす。

正直、擁護のしようが全くない。


ここで前世のスキルを活かせれば良いんだけど、残念ながら私にはなんの取り柄も無かった。


フィリアも、魔法はほとんど使えない。国母になる為だけに育てられてきたのだから。


具体的な解決策は今のところ見つからないけれど。




____とりあえず、男に絡むのやめよ……。



決心をした矢先、扉がノックされた。


「お嬢様、ジュード様がお呼びですよ。」


次回投稿直近の予定ですので、楽しみにお待ちください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ