~呪わせた幸運の聖杯~ー1
ここはエトワル王国城下町カインの酒場。2人組の男が今日も飲んだくれながら世間話をしていた。
『俺聞いちまったんだよ。やべぇ話をよ』ビールを片手にそう語るのは売れない情報屋のダニエル。
『またどうせしょうもない話なんだろ。前だって森に魔女の家を見つけたって騒いでたのに、兵隊たちが森に確認に行ったら結局何も無かったじゃないか』そうダニエルの話を胡散臭そうに聞くのは、町一番の実直な男ビル。
『あれは……。本当に見たんだよ』そうダニエルは言うとビールを一気に飲み干し、追加のビールを頼むと続けてこう言った。
『この話はもっとやべぇぞ。ビル、この国にある聖杯の話は知ってるか?』
『聖杯?なんだ?聞いたことも無いな』ビルはそう言うと豚バラステーキを切り始めた。ビルは全くダニエルの話には興味が無いようだった。
それを見ながらダニエルはお構いなしに話を続けた。
『その聖杯を持っている国はどんな戦いでも絶対に負けないらしい』
『へぇ~~ぇ』ステーキを食べながらビルが相槌を打つ。
『その聖杯があるのが我らが故郷エトワル王国なんだよ』
『そんなのただの噂だろ?』
ビルの興味ない態度を見ると、ダニエルは立ち上がり大きく身振りをつけてこう言った。
『それがそうでもないらしいんだ。俺らが若いころに起きた第9次エトラン大戦は覚えてるだろ?10万の兵を率いる大国ランエルを相手に、俺らはなんと1000人の兵で勝利を収めた』
ビルはステーキを置き、食い気味に反論した。『あれは運が良かっただけで、敵国内部でクーデターが起きたから。和平を結んで実質は相打ちだろ』
『だが、負けてないだろ?』ダニエルはどうだ!と言わんばかりの顔でビルのことを見ると、椅子に座り話しを続けた。
『その聖杯は大昔に大賢者アレナによって呪いがかけられたんだ。幸運の呪いをな……』
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