~天使の血~ー10
ローレンは次の日起きるとすぐに何も持たずに昨日教えてもらったミュルザルの森へ向かった。村を出る時、村の人達とすれ違うが挨拶を交わさないどころか目も合わせなかった。
村のみんなはローレンの様子を不振がり、何かおかしいと話していた。その話は村長にまで伝わった。
『あの裁判の日からなんだ。ローレンの目に光が無くなったのは…………』村長は集まった村人に裁判のこと、裁判の後のことを話していた。
一方、ローレンはミュルザルの森へたどり着いていた。村からはそれほど離れては無く、歩いて来れない距離ではない。人里に近い森だが死神が眠っていることを知っている者は少ない。
ローレンは森に入るとすぐに祠を見つけた。
『これか』そうつぶやくと、祠の扉を容赦なく開け、中にある石を取り出した。
そして、その石を思いっ切り地面に叩き付け粉々にした。すると、朝の澄み渡った空は一気に暗闇に包まれた。そして霧が出てきた。霧はどんどん濃くなっていく。ローレンは周りの変化に驚きもしなかった。
そしていきなり、大きな鎌がローレンの首元に突きあたる。
『ほぉ、驚かないとは勇敢だな。』その声とともに霧の中から死神が現れた。
『それとも、感情を失っているのか』笑いながら、死神はローレンの首元から鎌をずらし、鎌を肩に担いだ。
『なんの用だ』そう死神が言うとローレンはやっと口を開いた。
『俺は殺したい奴がいる。力を貸してくれ』死神は怒った顔をしローレンの顔に近づけると言った。
『俺がお前の手伝いをしてなんの得がある』
『ない。だが、私の命をやる』ローレンは言った。死神はまた鎌をローレンの首元に当てると
『お前の命など欲しくもない。欲しければいつでも手に入るわ』そして、高笑いこう続けた。
『だが、お前に覚悟があるのなら俺の力を分けてやろう。500年の束縛から解放してくれた礼だ』
『死神に情などあるのか』ローレンの質問に死神は笑みを浮かべてこう返した。
『俺だってもともとは人間だったのだ。お前と同じな』死神は意味深な笑みを浮かべたまま言った。
『どうする。やめておくか』
『それでいい。頼む』ローレンに躊躇はなかった。
『いいだろう』そう言うと死神は鎌で自身の腕を切った。
死神は出血した腕を出し言った。
『飲めっ。これを飲めば一時的にお前に死神の力が手に入る。しかし、死神の力を失う時、お前は先ほどまでの俺と同様に石になる。お前の場合は小石だろうな。そしてすべての人間からお前の記憶は消え、忘れ去られる』
『戻る方法はあるのか』そうローレンは聞いた。
『無くなはい。お前がやったようにお前も壊してもらえばいい。それだけだ』
『そうか』そういうとローレンは死神の血を1口飲んだ。
ローレンはが血を飲むと死神の傷はすぐに癒えた。
『これが死神の力だ。あとはお前の好きにすると良い。明日になればお前は小石になる。さぁ楽しんで来い』そう言うと死神は消えていた。




