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~天使の血~ー1
『いや~。ここのパンは本当に美味しいよ。エミリーちゃん』
『いつもありがとうございます。レナおばあちゃん。あら、今日はいつもより多いですね。お孫さんですか?』
『そうなのよ。久しぶりに孫が遊びに来るもんだからね』
『あら、それは楽しみですね』
『ほんとにね』
何も変哲の無い平凡な日だった。
『エミリー、国王からの通告だよ。悪魔がこの街を攻めてくるんだったって、鐘が鳴ったら王城の裏の地下に避難しないといけないらしい』男の人が慌ててパン屋に入ってきた。
『悪魔なんて物騒だわ』おばあちゃんはそれを聞きことの重要性を理解できていないようだった。
『ほんとに……』エミリーはつぶらな瞳でつぶやいた。
その日の夜、エミリーは子供を寝かしつけた後、夫の待つ寝室に入ると扉の前で立ち止まった。
『あなたに話しておかなければいけないことがあるの……』
『私は天使の血を引く者なの。いきなり驚くわよね。なぜ私が天使の血を引いているか順を追って説明するわね。私がちょうどまだあの子ぐらいの年齢だった時、母から聞いた。私の曾祖母と曾祖父の話。そう、ローレンとベラの愛の物語…………』
始まりは、一つの命が失われた夜のこと……。




