~悪魔との闘い~ー15
住人は城の真後ろにある地下に避難していた。地上では悪魔が暴れており、その振動が地下にも来る。
『ママ、怖いよ』まだ小さい女の子がお母さんに抱きつく。
女の子の母親”エミリー・ベル”は夫婦でパン屋を営んでおり、王国一のパン屋と言われるほどの人気を誇っていた。エミリーは何かを感じていた。抱き着いた娘をはがし目線を合わせ言った。
『パパの言うことをしっかり聞くのよ』
『あなた、許してね』そう夫に言うと消えた。
そして空中にエミリーが現れると悪魔のこぶしを手で止めた。
エミリーは先ほどまでとは明らかに違う見た目をしていた。背中からは大きな白い翼が2本と小さな白い翼が2本生えていた。
悪魔の拳を止めた彼女の手から光が出ると、触れていた悪魔の腕を消滅させた。
悪魔は表情一つ変えず、残った左手でエミリーを殴り飛ばした。もろにパンチを食らったエミリーはいくつも山を破壊しながら1万Kmほど飛ばされた。ようやくパンチの力を感じ無くなった頃すぐにエミリーは転移魔法で再び悪魔の前に舞い戻った。
『その翼はお前天使だな。天使と戦うのは初めてだ』
悪魔がそう言うがエミリーは何も答えなかった。いや答えられなかった。悪魔の打撃の衝撃で一時的に声が出なかった。
(久しぶりの力でまだ上手く扱えてないわ。それにしてもなんて力なの。ここで戦っては街が持たない。場所を変えなきゃ)
エミリーは悪魔の腹に高速で突進し、悪魔を大気圏ぎりぎりのところまで連れて行った。
『なっ…、何をしたんだ』悪魔は驚きか隠せなかった。
悪魔がエミリーに殴りかかるが、すべて避けられてしまう。
『さっきは油断して拳を貰いましたが、次からはそうはいきませんよ』
『ほざけっ』
そう言うと悪魔の拳はどんどん早くなっていった。
(くッ、拳が早くなった。これは少し不味いわね)
『どうした。避けるばかりでは俺は倒せんぞ』悪魔は高笑いをした。
悪魔の拳はさらに速くなり、ついにまたエミリーに一発当たってしまった。そしてまた飛ばられた。だがとっさに起死回生のアイデアを思いつく。
(このまま転移魔法を使えば……)
エミリーはパンチの圧力に耐えながらなんとか転移魔法を使うと、悪魔の前に現れた。勢いをそのままにして悪魔に突撃した。さすがの悪魔もこれは効いたようで少しよろける。だが、すぐに体制を直すとまたエミリーを殴った。
3発目を食らいエミリーの意識が飛びかけた時、彼女は昔母に聞いたことを思い出した。
“もし天使の力を使っても大切なものが守れない時、自分の力が到底及ばない時、これを思い出して……”
そして、エミリーは飛びかけた意識をハッキリ持ち直した。
『今がその時だよね。お母さん』そう言うと、首にかけえていたネックレスを外し壊した。
『な、なんなんだ。この圧力は』悪魔は今までの彼女とは違う力を感じていた。
『これは祖母が誕生日に母からもらったものよ。これを破壊した時、破壊した者は一時的に大天使の力を借りられるのよ!だけど、その代わりに役目を終えると消えてしまう……』
エミリーは悪魔の前に立つと悪魔の腹に手を当てた。すると悪魔の腹には大きな風穴があいた。
『グハッ……』悪魔は口から血を吐く。
『それが大天使の力か』悪魔はそう言うとエミリーに殴りかかった。
エミリーはそれをギリギリのところで避けると、悪魔の顔を1発殴打した。悪魔の顔は吹き飛んだ。悪魔は顔を無くしたがまだ攻撃してくる。
『すごい生命力ね』そうエミリーはつぶやいた。
そしてエミリーは悪魔の後ろに回り込み、背中に手を置いた。悪魔が触られたことに気がついた時。それと同時に、エミリーの手から白い光が出て悪魔を包んだ。一瞬で悪魔を包み込むと光は消え、そこには悪魔は跡形もなく消えていた。
『これで終わりね』そうエミリーがつぶやく。
すると、エミリー身体はパズルのピースの様に徐々に崩れ始めた。
『あの子なら大丈夫ね。きっと強い子に育つ・・・・』
そう言うと彼女は消えていた。
こうして王国に、いや地上に平和は戻ってきた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!!
ブクマ、評価など頂けると嬉しいです。
章ごとに違うお話なので気になった章だけでも、どうぞ見て言ってください。
同じ世界戦の話なので繋がりはあったりなかったりしますが……。
個人的に好きなのは5章です。
よろしくお願いします。




