襲来
少し時間を遡り、祥太の上を影が通り過ぎた時
フィーリア視点
「風の刃!!」
目の前の魔物の集団に横向きに飛んでいき、通り過ぎたら魔物の上半身が前にずれ落ちた。
「ふ~本当にキリがないわね。祥太は奥に行ったみたいだし、何か見つけたのね。ノートっ!祥太が何とかするまで耐えるわよ!!」
「はいっ!」
ノートも危なげなく魔物を仕留めていた。
「重力圧潰れなさい」
指定された範囲の魔物が潰れて、地面のシミとなった。
「この調子なら何とかなりそうね」
その時
「っ!?」
(なに?何かこっちに向かってる。嫌な感じがする)
「ノート!何か向かってきてる。気を付けて!」
「はい!感じ取りました!魔物の奥の方から」
二人が感じ取った瞬間
「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
そこには、赤い鱗に覆われたドラゴンが現れた。
「こいつは・・・っ!ノート!」
「あ・・ぁ・・そ・んな・・」
(こいつがノートを襲った、ドラゴンなの!?マズいっ!」
ドラゴンがノートに向かって、鋭利な爪で切り裂こうとした。
「ノートっ!」
自分の重力を軽くして、ノートの方に向かって何とか躱すことができた。
「っいつ!」
完全には避けれず、腕に爪がかすり血が出てしまった。
「フィーリアさんっ!!!」
ノートは青ざめた顔で私の名前を読んだ。
「落ち着きなさい。ただの、かすり傷よ。もしかして、あのドラゴン」
ノートに聞こうとした時、ドラゴンがまた襲ってきて
「邪魔よ!重力縛り」
ドラゴンは動けなくなったが、徐々に抜け出そうとしていた。
「こいつ、ただのドラゴンじゃないわね。でも、これで少し時間が稼げた」
ノートの方に向き直り
「ノート、こいつ」
ノートは体がガタガタ震えながら
「は・・い・・・あい・・つです。胸・・に傷が」
「傷?」
「は・・い。あの時・・みたドラゴンは・・胸に傷があったんです」
そう言われて見てみると、胸に傷があった。
「あるわね。ノート、戦える?」
「手が・・・震えて・・剣が、足に力が入りません」
(トラウマがフラッシュバックしてるのね。これを予想して彼は私にあの剣を渡したのかしら。いや、考えすぎね)
「ノート、この剣を」
アイテムボックスから剣を出して、ノートの前に出した。
「フィーリアさん。この剣は」
「祥太と私のもう一つの合作。あなた専用の剣よ。祥太にタイミングを見て、渡してくれって頼まれていたの。今がその時だと思ったから渡しとくわね」
「・・・私は」
ノートは受け取ったが、未だに体の震えが止まっていなかった。
「無理をしなくてもいいわ。私があれの相手をするから。あなたは今まで通り他の魔物を倒してくれれば」
そう言って、ドラゴンの方に向かって歩いた。
ノート視点
「・・・・っ」
(あのドラゴンの姿をみた瞬間、体の震えが止まらなくなった。結局、力は強くなっても心までは強くなっていなかった。あの頃の弱いままの私だ)
フィーリアさんはドラゴンの方に向かって歩いて行ってる。手に持っている剣に視線を向けて
(フィーリアさんは今渡すときと言ったけど、私にこの剣を使う資格なんて)
剣を眺めて、裏を向けると
「っ!」
特訓中の出来事が思い出された。
≪「ノートはさ、剣に名前を付けるとしたらなんて名前を付ける?」
「はぁはぁ、急にどうしたんですか?」
「いや、なんとなく聞いておこうと思って」
「そうですね~・・・何も思いつかないですね」
「なんだそれ」
「祥太さんの世界に何かいい名前ないんですか?」
「そうだな~やっぱりノートには定番の 」≫
「フィーリアさん!!!」
大きな声で呼び止め、近づいて行った。
「どうしたの?」
フィーリアさんがにやけた顔で聞いてきた。
(分かっているのに、私の口から言わせたいんだ)
「・・・・・・」
フィーリアさんは無言で私が言うのを待っている。
(この人達の期待に、私は答えたい!)
しっかりと目を見て
「私がやります!!!」
「ふふっそう。じゃあ、任せるわね。私は他の魔物の処理に行くから」
「はいっ!もう大丈夫です」
フィーリアさんが抱擁してくれて
「頑張りなさい」
耳元で優しい声で応援してくれた
「はぃ゛!」
頭をポンっと叩いて別の場所に向かった。
(本当に、このパーティーに入れてよかった。期待に応えるために)
「お前には、過去を乗り越える踏み台になってもらう!!!」
宣言した瞬間、ドラゴンは拘束から抜けて襲い掛かってきた。身体強化で突進を避けて剣の名前を叫んだ。
(使わせてもらいます!)
「いくよ!クラウ・ソラス!!!」
剣の名前を呼んだ瞬間、ノートの思いに応えるように光りが強くなって、魔力を注ぐと剣の周りに光の刃が形成された。
ドラゴンは異様なプレッシャーを発する目の前の剣に、一瞬臆したが生物の頂点にいるというプライドを守るために襲い掛かった。
ドラゴンは尻尾で薙ぎ払ってきたところを、本来なら避けるところをノートは目の前に来た尻尾を斬った。
ドラゴンは尻尾が斬られると思っていなかったのか一瞬時が止まり。痛みがきて、叫んだ
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「あまり、なめない方がいいよ。この剣に斬れないものなんてないんだから」
叫んでいるドラゴンに近づきなが、そう言うとこっちを向き
「グルルルル」
威嚇をするかのように鳴いた。警戒して、突っ込んでこなくなったドラゴンに
「あなたで試させてもらうね」
そう言って更に、魔力を送るとクラウ・ソラスは光を強くし形成されていた刃から二倍の大きさになり、ノートの体も光に包まれた
「これで終わらせる」
一言だけつぶやき
地面を踏み込み、光の残像を作りながら、一瞬でドラゴンの目の間に立ち、剣を振り下ろした。ドラゴンは縦に二つに割れた。
クラウ・ソラスは役目を終えて、光は霧散していき元の剣に戻った。
「やっと過去を乗り越えたよ。みっ・・んなの仇・・をとれた・・・よ」
涙で目の前が滲んでよく見えなかったけど、ケイン、ナーバラ、カリヤ、ダズルがいるように見えて
私は涙を流しながら
「ごめん・・・なさ・・い。私の・・せいで・・・みん・・・なが」
頭を下げて、言うと
頭をポンポンと叩かれて上を向くと、ナーバラがいて微笑みかけてきた。
「えっ」
自分の妄想だと思っていたのに実際に頭を叩かれた感触がして、思考が停止しているとナーバラの横に他の三人も近づいてきて、それぞれ頭を撫でたり、肩を叩いたりした。そこで、ケインたちは恨んでいるどころかずっとそばで心配してくれていたんだと分かり、涙が止まらなかった。
「あ・・り・・がとう」
涙でぐしゃぐしゃの顔でお礼を言うとケインが口を開き
「 」
何かを言った。声は聞こえなかったが思いは伝わり涙を袖で拭い、笑顔で
「頑張っていくから、見ててね!!」
そう返事をすると、光の粒子になり空に昇っていった。
ケインが何を言ったのかは皆さんの想像にお任せします!
少しでも興味を持った方、続きが気になった方。
お手数ですが、ブックマークと下の方にある☆を押して頂けたら幸いです^ー^
次回更新4月9日です!




