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彼女はどういう子だったか。
どういう人だと思いますか?
まず、容姿はそれほどでもないです。俺以外の、普通の人が見れば「いや、ちょっと」というんじゃないかな。
そう。実はそれほどの美少女ではなかったわけだ。
はっきり言ってしまえば、不細工の枠に入るかもしれない。
でも、俺には彼女が誰にも負けない美少女に見えた。外見ではなく、内面は今まで接してきた女の子の誰よりもきれいだった。
そう。
俺は、こんないい子と今まで知り合うこともできなかった。このことなら、一生付き合っていける。
そう思えた。生まれて初めてのことだ。
人は外見ではない。それは真実であるはずなのに、いつからか見た目だけに重きを置く癖がついてしまったらしい。
俺は、その子と帰り道を一緒にした。しかし、余計なものが出てきたのだった。
親。そう、俺の親だ。
俺の帰りが遅いので見に来たらしい。ふざけるなよ、何考えてるんだよ。馬鹿じゃないか?
なんでくるんだ。そんなに俺が勝手に動くのがいやなのか?
すぐに俺は彼女とわかれ、車で追い立てられながら家に帰った。
その後、俺は彼女と電話での連絡を取り合ったが、それもすぐにできなくなった。
そりゃ、彼女が中学三年で、受験を控えているということもあるだろう。
実は俺は、いざ彼女ができても、何をしていいかわからなかった。
ドラマなんか全く見たことなかったんだ。恋愛小説も、一度も読んだことがない。
それに、言い訳かもしれないけど、相手は受験生だった。高校受験を控えているため、俺が邪魔するのもどうかなぁと遠慮してしまった。
たまに連絡取るぐらいで、日時を指定して会うということはなかった。
結果、その子は公立高校に合格。
俺は、合格発表の日に電話をかけてみた。本人が出た。
「はい、……です」
「Sですが」
「あっ、先輩。お久しぶりです」
電話の向こうで、明るい声が聞こえた。受験結果がわかり、ほっとしているところなのだな。
電話先で結果を聞き、俺もうれしくなった。
が、彼女は福岡地区の学校。俺は北九州地区の学校。時間的にもちょっとずれがある。
それからしばらく、俺たちは取り留めのない話をした。どんな話だったかはよく覚えていない。だが、俺は話した。今までろくに会話ができなかった分を取り戻していくみたいに。
このときだったと思う。
俺は野球ができなかったことを、初めて人に話した。彼女はうんうんと相槌を打ちながら、俺の話を聞いていた。話の途中で質問をはさむが、それ以外は何も言わなかった。
俺が一方的に話していた。
家族からは不審に思われたことだろう。話している時間もそれなりに長くなっていた。
俺が話し終えたとき、彼女はこう返事して来た。
「それじゃ、また別に好きなこと見つけたらいいじゃないですか。ひとつのことにいつまでもこだわってないで、もっと前向きに考えましょうよ」
今考えれば、よく世間で言われていることだよな。
でも、よく聞くからといって、それをよく理解しているとは限らないんだよな。
俺と違って彼女はとても前向きだった。
野球ができなかったのはつらいかもしれない、でも、そのときには戻れないし、それよりもこれからのことを考えればいいと思う。
こういう内容のことを言われた。
確かに、その通りだった。
そのとき、俺は何かに対して、もうすっかりあきらめていたようだった。
学校では雑魚扱いから、馬鹿にされるのまで、果ては希望していたことまで意外なまでに、あっさりと放棄していた。
これが俺の日常だと思っていた。
いや、それ以上に俺は誰かにこのことを話せたということに驚いていた。
今までまじめにこんなことを話すことはできなかった。話したとしても、何かあれば俺を馬鹿にしようとしているやつらばかりだった。
こっちが一生懸命でも、相手は面白半分に俺の話を聞いて笑う。こっちがいかに真剣でも、向こうは馬鹿にして、まじめに取り合わない。
「あっ、ごめんなさい。生意気なこと言っちゃって」
「いや、いいんだ」
「私、こうやってえらそうに説教する癖があって……」
それからも、俺たちは話し続けた。
絵を描くことが好きだった。
中学では放送部で色々な機材を扱っていたと話していたが、高校では美術部に入りたいらしい。
そして、保母さんになりたいといっていた。子供が好きだから。そのためには短大に行く必要があった。
だが、彼女の親は大学にやりたいらしい。彼女のほうも大変のようだったな。




