序章 その4
クロード様は一瞬きょとんとした顔をした。
くっ、間の抜けた顔も麗しいとは…。恐るべし!
「わかったなら、状況を確認させてください。」
私は軽く息を整えた。
頭にきて、声を荒げてしまった。
ちょっとだけ反省。
本当にほんのちょっとだけ!
私は気をとりなおして、診察台の横に座る。
クロード様は起き上がった状態で寝台の背もたれに背中を預けている。
気だるげな感じで色気が駄々洩れだ。
なんてけしからん!
そんなことを思いながら、私は口を開いた。
「では、お尋ねしますがこれはかなり強力な呪いです。どういった経緯でこんなことに?」
私が訪ねると、クロード様はため息をついて思い出すように目を細めた。
だが、しばらく考えた後にゆるく首を振る。
「いや、これといった経緯はわからない。」
「特に高位の魔物を狩ったということもないのですね?」
そんなクロード様に私はそう尋ねた。
呪いには主に2種類ある。
魔物を狩る時に呪われてしまうもの。
魔物狩りをしたときに一定の確率で呪われることがある。
魔物がこの世から去る時に自分を屠った相手に対して呪いをかけるのだ。
これは守りの護符(もちろんうちでも売っている)などで防ぐことが可能。
もう1つは、呪術師などの人から呪われるもの。
これは少々厄介だ。
対策が難しい。
もちろん守りの護符である程度防げるが…。
それでも護符は万能ではない。
例えば、護符を作った人の力量が不十分だったり粗雑なものだったりすると効き目がない。
「では、守りの護符はお持ちですか?」
騎士様ほどの人がそんな粗雑なものを持っているとは思い難いが、一応確認することにした。
クロード様は懐から自身の守りの護符を気だるげに取り出す。
私はその護符を受け取った。
護符は美しい装飾が施され、見るからに高そうだ。
護符は木片に守りの魔法陣が書かれている。
魔法陣は作成者によって変わるが、簡易的なものから緻密に書かれているものまで色々な種類が存在している。
その魔方陣の構図でその製作者の力量がだいたいわかるのだが…。
この護符は装飾のわりに不自然な点が多い。
「この護符はどこで手に入れましたか?」
私は不審に思ってクロード様に聞いてみた。
私の言葉にクロード様も怪訝な表情になる。
「これは家令が用意したものだが…。」
家令!
家令ってあれですか?執事とか従者とかそんな感じの人ですか?
さすがいいところの騎士様!!!
心でそんなことを思いながら私は澄ました顔で護符をよくよく見た。
「これを用意した方は何と言って持たせてくれたんですか?」
クロード様はあからさまに眉を寄せる。
「何か問題が?」
まぁ、私の言葉で何となく察することはできるのだろう。
私は息を小さく吐くと改めてクロード様を見た。
少しずつのUPですみません…。




