61.悪役令嬢は華麗に消えることにします
一部変更しています!
私が誘拐されてから1ヶ月後。ようやく父の許可もおり、再び学園に通うことができた。
久しぶりだからなのか、全然知らない生徒からも見られているような…
「トルカ!」
「え、あの、はい。」
「久しぶりね。色々とお手紙ありがとう、嬉しかったわ。」
「あの、えっと、し、失礼します!」
「あ、ちょっと!」
トルカの様子が明らかにおかしいのは分かった。いやきのせいで、ただ単に用事があって急いでいただけなのかもしれないが。
1ヶ月ぶりに教室に入ると、クラスのみんなの視線が一瞬私に集まったものの、あとは授業中かと思うくらい皆黙り込んだ。
一体なんだというのか。
そうこうしているうちに王子が登校してきた。
「おはようございます。王子。」
いつもなら自然な笑みを返してくれる王子が、作り笑顔を向けて挨拶をしてくる。私との会話はそれで終わりだ。いつもなら軽い世間話が続くのだが。
チャイムがなるほんの少し前に、ようやくトルカが挙動不審な様子で教室に入ってきた。そして授業が終わるとすぐ教室を飛び出すのだ。これじゃ会話がまともにできない。
「トルカ!」
「は、はい!」
お昼休憩を示すチャイムがなると、すぐ教室を飛び出すトルカを遂に追いかけた。
「なぜ逃げるのよ。」
「い、いえ逃げたわけでは…」
「なら用事があったの?」
「えっと、その…お、お願い致します!もう私に関わらないでください!」
「トルカ?何を。」
「私は鈍臭いし頭も悪くその、パンドュース様を満足させるどころかイラつかさせてしまいます。ですので…」
「おかしいわよ、トルカ。一体何をいってるの。私がいない間になにかあったの?ねぇ、教えて。」
「し、失礼します!」
「トルカ…」
「見た?遂に1番の取り巻きにも逃げられて可哀想ですわね。」
クスクス笑う女子生徒の声が聞こえる。
「あなた達ハッキリ言いたいことがあるなら言いなさい!」
「も、申し訳ございませんでした。」
走って逃げていく女子生徒2人を見つめる私をまた、どこかの誰かがコソコソ喋るのだった。
なんだか凄く居心地が悪い。
「やめてください、パンドュース様!」
「ごきげんようアルヘルド様、で私は何をやめるというのですか?」
「他の生徒達を虐めるのはやめて欲しいのです!」
「私がいじめを?いつ行いましたか。」
「今女子生徒を詰めあげていたではありませんか。しらばっくれても無駄です。ここには多くの証人がいるのですから。」
何を馬鹿なと思っていたけれど、周りの生徒たちは私を冷たい目で見ている。
「何をしてるんですか、こんな所で。」
「王子…」
「聞いてください!グレン様。私は、私は元平民だからパンドュース様のお怒りを受けても仕方がないと思っていたました。ですが、パンドュース様は私だけでは事足りず私の友人にまで手を上げてきたのです。私は友人のことを大切に思っております。なのでもうこのようなことはやめて欲しいとパンドュース様に。」
「ノア、貴方は非常に優秀で次期王妃に相応しいと思っていました。ですが、それは見当違いだったのですね。民を守るべく王妃が虐めなんて…」
ちょっと流れは変わってしまったけれど、この展開は正しく。
「貴方との婚約を破棄させていただきます。」
ふと周りをみると、みんなが笑っていた。まるで待ち望んでいたかのように。
「お、兄様。」
そこには唯一無二の兄であるリュートの姿も。
「殿下、この度は妹が失礼致しました。…ノア、君には失望したよ。」
「…もう、しわけありませんでした。」
お兄様の冷たい目。今まで向けられていた優しさが嘘みたいだ。
「…申し訳ございませんが、体調が優れないので失礼させていただきます。王子のお気持ちは分かりました。私は甘んじて婚約の破棄を受け入れますが、パンドュース侯爵には王家の方からお伝えくださいませ。では。」
望んでいた事だった。予想していた事だった。心構えはしているはずだった。でもいざ婚約破棄をされると、
「凄く寂しいわ。」
※※※
「何!婚約破棄をしただと!」
「パンドュース侯爵令嬢は自分の権力を振りかざしいじめを行っておりました。そんなご令嬢が次期王妃に相応しいとでも?」
「一体どうしたというのだ、グレン。あんなにノアのことを好いとったではないか。」
「失礼させていただきます。陛下。」
「影か。一体どういうことか報告しろ!」
「グレン殿下はどうやら洗脳されてしまったようです。」
「なに?!」
「何を馬鹿な。僕は洗脳なんてされていません。」
「陛下、今すぐ神父を派遣してください。」
「わかった、今すぐ手配する。」
その影の言う通り、派遣された神父の祓いが終わると夢現から覚めたように、何も覚えていないというグレンだった。国王陛下が婚約破棄を宣言したと伝えると驚いた顔をし、すぐさま飛び出していったのだが学園寮にもパンドュース家にもノアは居らず行方不明だそうだ。
学園寮の机には、一通の手紙が置いてあった。今までの謝罪と、罪を犯した自分への罰へ国外を出るといった内容だったそうだ。




