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年下男子はお断りです!  作者: 篠宮かおる
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60.悪役令嬢は受け入れる

「本当に良ろしかったのでしょうか。ノア様。」


「私はいいのよ。それよりユランこそ行ったら良かったのに。」


今日はココリアが解放される日だった。けれど私は屋敷に残ったまま、お父様だけが向かわれた。いくら私に害をなそうとしたとしても、長年私の為に仕えてきてくれた使用人なのだ。それに非はこちらにある。詫びと退職金の受け渡しを含め、会いにいったのだ。

私は…行けなかった。謝ることはできる。けど謝られた位じゃココリアの大事な人は戻らない。それに顔だって見たくないかもしれない。


いや結局は自分本位の理由なのだ。ココリアの視線に耐えられないだけ。前世の私は、嫌悪や笑いの目で見られることが多かった。(同情も含まれていたけど)自分に向けられている視線が怖くて怖くてまともに顔を上げられなかった覚えもある。もし今、ココリアにあんな目で見られると思うと、そう思うだけで足がすくむのだ。


(なんでノアはこんなことしでかしちゃったのよー。こんなこと無ければココリアとだってもうちょっと…)


今世の自分だとしても、記憶に全くないのだ。だからこそ、私は記憶にない昔のノアと現在のノア、つまり私は別人だと思っている。


(いやでもあの事件がなければココリアはきっと私の傍にいなかったでしょうね。)


ココリア=アルセンという人物はゲーム内では登場しなかったはずだ。だから、この事件がゲーム通りなのかオリジナルかが分からない。


「俺はノア様の執事ですから、傍にいるのは当たり前です。」


「ユラン。」


「それに俺が離れると、ノア様が何をやらかすのか心配で心配で集中できません。」


「ユラン、喧嘩売ってるの!?」


「まさか!」


「本当に無意識なの?」


ゲームのユランは、こんな天然というかなんというか…とにかくこんな残念なキャラじゃなかったのに。いや、ゲームでは描かれてなかっただけで作者はこんな性格を想像していたのだろうか。そう思うとギャップがあってちょっと可愛いかもしれない。


「先に言っておくけど、私が貴方を使用人としたのはただの気まぐれなんだから、1人前になった今ここから巣立ってもいいのよ。私についてたっていいことないんだから。」


「俺にとってノア様の傍に居させてもらうことが1番のいい事ですから。」


「…ありがとう、ユラン。そうだ!いい事思いついたわ。」


「なんですか?」


「ユラン、貴方は今からココリアの後を追い、ココリアの手助けをしてきなさい!」


「はい?」


「だって、最初は生活の目処が立たず不安がっているかもしれないから。いい感じに調整して、生活が軌道に乗ったら帰ってきなさい。もちろん経費は全額負担するし、特別手当も出すわ!」


「俺が居なくなったらノア様どうするんですか。」


「心配性ね。ちゃんと大人しくしているから大丈夫よ。」


「嫌です。」


「命令に背くつもり?」


「ノア様が、誘拐されて、俺がどんな思いで…もうあんな思いはしたくないんです。我儘だとは分かっています。主人の命令に背くなんて。いやでも雇い主は旦那様なのでノア様の命令に従わなくてもいいのかも。ノア様の世話をするよう旦那様に言いつけられていますし。」


「しん、ぱい、掛けたわね。ユラン。ごめんなさい。」


「執事に謝らないでください。ただ、ノア様から離れるといった命令はして欲しくないと。」


「うーん、それならどうしようかしら。冒険者を雇うとか?」


「そんな方法を取らなくてもいい方法がございます、お嬢様。」


聞いた事のある声だった。でも有り得えないはずなのだ。


「ココリア…」


だってココリアはここのメイドを辞めたのだから。


「お嬢様の目の届く範囲に置いたらいかがですか?」


「なんでここにいるの?」


「旦那様が、詫びとして、可能なことならどんな願いも叶えてくれると。私は願いました。」


「私に、恨み言のひとつでも言いたいと?」


「お嬢様の傍にいさせていただきたいと。勿論お嬢様の許可が得られないとこの願いは効きませんからご安心ください。もし、もしお嬢様が私のことをお嫌いに、なっていないのなら私を傍に置いてくださいませ。」


「バカね。折角復讐から解放されて、本当の自由を得たのだからどこへでも行けばいいのに。」


「お嬢様にお仕えしてこの何年、私は自由でしたよ。復讐の気持ちを忘れる位には。だから今でもお嬢様の傍に居させていただきたいと思っております。」


「…ユラン。貴方はどう思うかしら?」


「冒険者を雇うくらいなら、目の届く範囲に置いていた方が効率が良いのでは?」


「そうよね。貴方が本当にそれでいいのなら、もう1度私の傍にいてくれないかしら。ココリア。」


「ありがとう、ございます、お嬢様。」


中々表情を変えないココリアが涙をこぼしている姿をみるのは初めてだった。私はハンカチを取り出し、そっとココリアに寄り添った。




「これで1件落着ですね。侯爵。」


「色々とご配慮ありがとうございます、殿下。」


「当然です、僕の婚約者のことなんですから。」


「ありがとう、ございます。」


「では今日は帰ります。なにか解れば報告するので。」


「ノアのこと、よろしくお願いします。」


「勿論。」

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