53.王宮にて
「どういうことですか!殿下。」
「僕も分からない…ただ、今言えることはノアが消えたということだけです。本当に申し訳ない。パンドュース侯爵。僕が最後まで傍についていれば。」
殿下の話によると、疲れたノアは殿下に控え室へと案内され、再び戻った時は誰もいなかったという。パーティも終了したということで、王宮の使用人全てノア捜索にあててみるが、今の所発見されたという報告はなし。もしかしたら王宮にはいないのかもしれない。でも、あの賢いノアが誰にもなにも告げず、勝手に帰ることは考えにくい。
あぁ、嫌な予感がする。
「殿下のせいではございません。ですが、最悪の自体を予想していたほうが良さそうですね。」
「今、パーティー中に帰ったものを調べています。帰宅される招待客の馬車の中の確認を行い、騎士団を動かし、街に不審な様子がないか当たってもらっています。王都を離れてもらうと、捜索がさらに困難になりますから、早急に王都と領の境目で検閲を行うよう指示をだしていますが、それで間に合うかどうか。」
「ノアは多少剣の腕があります。機転も回り、賢いです。私はノアを信じています。それに殿下のお話ですと、ココリアも一緒かもしれません。あの子は主人思いの冷静な子ですから。必ず2人で帰ってきてくれると、そう願います。」
「父上!!」
「リュート。」
「ノアが、ノアが連れ去られたってどういうことですか!!」
現れたリュートの息は荒く、顔色が悪い。それもそのはずだ。リュートはノアのことをとても大事に思っているから。
「まだ連れ去られたと決まった訳じゃない。」
「ですが!」
「今、殿下の采配で全力で捜索をしてもらっている。すぐ見つかるさ。」
「僕も!僕もその捜索に加えてください!」
「今回のこと、本当に申し訳ないとおもっております。ノアの事に関しては、全力で捜索し、必ず連れて帰ります。なのでリュートには騎士団の力を信じ、待っていただきたいと。」
「待っているだけなんて僕にはできません。お願いします、殿下。僕も協力させてください。」
「…分かりました。よろしくお願いします。」
「し、失礼します!」
若いメイドが入ってきた。
「見つかりましたか?!」
「い、いえ、まだその報告は…殿下へのお手紙をお持ち致しました。」
「手紙?一体誰からですか。いえ、今はこちらのほうが大事です。今後、今回の件に関すること以外の情報は持ちいないように。」
「で、ですが。」
「なにかあるのですか?」
「この手紙を持ってきた者の話によると、念を押して今殿下にお届けしろと。」
「殿下…」
「えぇ。」
殿下も察したようにメイドから手紙を受け取った。
宛先人は書いていない。殿下はその手紙を持ってきた者を重要参考人として連れてくるよう傍にいた者に命じ、封を開けた。




