45.ヒロインの罠
1週間ぶりの更新です。
「あの、私と2人で、話をさせてください。」
夏休みも終わり、通常どおりに学園が始まった昼休み。ピンク色の髪をもつ少女は体も声も震えさせながら、1人の少女に話かける。
ピンク色の少女の味方であろう周りの取り巻きは、少女を止めた。少女より身分が高いからではなく、何かされたら大変だ!という理由を、会話から察した。
首を横に振る少女に、「なら自分達もついて行く」というが、これにも少女は縦に振らなかった。
「これは、私が1人で解決しないといけないもの。お願いします。私に話をさせてください、パンドュース様。」
呼び出されている少女は、ノアはため息をつきながら「わかりました。」と答えた。いくら学園が平等を謳っても実質それは建前みたいなものなのだ。いや、まぁ王子はそれに習って、学園内では先生だけでなく生徒にも、対等に接して欲しいために、殿下とか王子と呼ばせないようにしている。けど、それでも身分は変わらないのだ。気分を不快にさせる言動には気をつけなければいけない。
しかも今の態度は、あまりにも私をバカにしていないだろうか。イジメをしているヒロインならまだしも、ヒロインの取り巻きにつべこべ言われたくない。
(これが原作のノアなら、ブチ切れていたでしょうね。)
もちろん、私は大人だから落ち着いて対応しているけど。
※※※
昼食を食べ終えた私達は、人気のないクラブ棟にいった。
「で、私に何か用かしら。」
「単刀直入に聞かせていただくわ。」
ヒロインは、さっきと打って変わったように鋭い視線を向けてくる。本当に演技力は相当なものだ。
「ドキラブ学園という言葉に聞き覚えはないかしら。」
自信はあったけど、確証までは至らなかった。しかし、これではっきりした。彼女もまた、記憶保持者だ。
返事が無いことに、ヒロインは否と判断したのか「そう。」と立ち去ろうとしていた。
「私は日本育ちなの。貴方もかしら?」
ヒロインは振り返り「やっぱり。」と答えた。
「可笑しいとおもってたのよね。だって貴方は、自分から手をだすことは無いくせに、自分がやったと受け入れてたもの。そうよ。私も日本育ちの大学生。ドキラブ学園もやってたから、展開は分かるの。」
ゲームの世界に3人も、前の記憶をもつ人が現れるなんて、なんという偶然だろうか。
「で、確かめるためにわざわざ呼び出したの?」
「私ね、グレン様が1番好きなの。夢にまでみたグレン様が目の前にいるのよ!グレン様と幸せになりたいの。なのに、貴方がゲーム通りやらないから!!」
ん?確かに少し変わっていると思うけど、基本的にはヒロインの策に乗っているはずだけど。この前の夏イベで王子の初恋の相手が誰か分かって、更に好感度は上がったんじゃないの?
「それに、私の策にのってくれたということは断罪されてもいいんでしょ!ならとっととグレン様のことは諦めて私に寄越しなさいよ!!」
「貴方のいっている意味がよく分からな…」
言い終わる前に彼女は自分から走り出して、階段を飛び降りた。
いくら、数段しかない階段でもあんな思いっきり飛び降りたら…
飛び降りる前、彼女は私の方を振り向き、ニィーと不敵の笑みを浮かべながら直ぐに見えなくなった。その後には、ドンという鈍い音と少女の叫びが廊下に響き渡る。




