38.悪役令嬢の困り事
夏休み中、ヒロインは元々母親と住んでいた街に遊びにいき、その最中悪役令嬢と会うイベントがある。
『あら、アルヘルド伯爵令嬢、これはこれは奇遇ですわね。もしよろしければ、一緒にお茶でもいかがかしら?』
もちろん自分より上の身分の令嬢の誘いに、ヒロインは断れるはずもなく、悪役令嬢につれられ、人通りのないところにいく。
『貴方ね、前々から目障りだったのよ。私の大切なーーーに近寄って。恥を知りなさい!』
とヒロインが持っていたぬいぐるみを奪い取り、地面に叩きつけ、踏みつける。
『あぁ!これ、せっかく私のために。』
『あら、ごめんなさい?でもゴミはゴミ箱に捨てないとね。』
汚れたぬいぐるみを近くにあったゴミ箱に捨て投げた。
涙を必死で我慢するヒロインの前に、攻略対象者の中で1番ヒロインへの好感度が高い人物が現れるのだ。
グレンの場合なら、上手い具合にノアを追い返し、ヒロインにハンカチを差し出す。そこでヒロインはそのハンカチが自分のものだと気づき、5年前の収穫祭であった人物が、お互いだということを知る。2人の関係がさらに深まるきっかけとなるのだった。
リュートの場合なら、可愛がっていた妹の間違いをようやく認め、この期を境に妹と距離を置きながら、夏休み明けてからはヒロインとノアの間に積極的に割って入るようになる。今まで兄であるリュートが自分と対立をすることは無かったので、さらにヒロインに悪意や敵意を向けることになるのだ。
マティスとリードのルートは、実際のところあんまり覚えてない。好きじゃなかったし。まぁ知らなくてもなんとかなるだろう。
(誰がくるかなー。歓迎パーティーでは王子が来たけど、今回も同じようかな?お兄様とヒロインはそこまで親しくないみたいだし。)
パンドュース家へ戻る馬車の中、お兄様と学園生活について話し合っていた。その時でも、私が行っているヒロインへの嫌がらせ?について、お兄様から止められることはなかった。
ということは、お兄様の中で私のしていることは王子の婚約者として当然の振る舞いとでも思われてるに違いない。なにせ婚約者がいる相手と知りながら、ベタベタ触っているのだから。
まだお兄様の気持ちがヒロインより悪役令嬢に向いていることが分かる。好感度としてはかなり低いだろう。
もし、マティスがきた場合、正論ばっかで話が進まないから面倒くさいけど、まぁでも王子と仲のよいマティスなら、私への嫌悪感が増してヒロイン側に立つだろうけど。王子はマティスをかなり信頼しているから。
「まぁなるようになるかぁー。誰がくるかは楽しみだなぁ。」
ちなみにそのイベントは、もちろん日付や曜日なんか書いてなかった。初イベントは10歳の収穫祭ときまっていたけれど、今回のイベントはいったい何時なのだろうか…
「はぁー、困ったわね。」
マリちゃんに要相談だ。




