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年下男子はお断りです!  作者: 篠宮かおる
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23.悪役令嬢と噂のご令嬢

「クロノワール様、私と手合せお願い致します。」


「あぁ、望むところだ。」


マティス=クロノワール。王国騎士団長の息子である彼も、攻略対象の1人である。王子と一緒に入学するため1年待った彼は、16歳ながら剣の腕は王国騎士団員に劣らず、将来有望。グレン様と共に過ごすために、1年入学を控える友情深いところがあり、まっすぐな性格。空気を読めないところがあり、少しウザイと思うときがあるが、それが良いとある層には一定の人気があった。もちろん顔はいい。

メガネを付けていることも加え、黙っていればクールな秀才っぽいのだが、話すと台無しである。ちなみに頭も普通より少し上くらいだという。


あまり関わることはなかったが、同じ剣術クラブに入ったことで言葉を交わすようになった。


「ふぅー、負けましたわ。」


「なかなかいい動きだったぞ。」


「負けた相手に褒められても、素直に喜べませんわ。」


「本当にいい動きだったんだけどな。」


彼の言葉には嘘がない。そこだけは信頼できる。

やはり、女性が剣術をやることのほうが珍しいなか、剣術クラブの先輩や同級生は、侯爵令嬢に怪我を負わせるわけにも、機嫌を損ねるわけにもいかないという理由で、避けられることが多かったのだが、マティスはそんなこと関係なく話しかけてきてくれた。


恋人としては絶対無理だが、良き友人になれるのではないかと思う。


「ところで、クロノワール様。」


「なんだ?」


「クロノワール様は王子と仲が宜しかったですよね。」


「そんなことは知っているだろう?」


「ええ、だからお聞きしたいのですが。王子のご様子になにか変わりありませんか?」


「グレン様の?特になにもないようにみえるが。」


「例えばため息の回数が増えたり、誰か他の方を話題にすることが多いだとか、クラブのことについてとか。」


「やけに具体的だな。うーんなにもないと思うが。


「そ、うですか。」


「大体同じクラスなのだから、俺よりノア嬢のほうが詳しいのでは?」


「男性同士でしか話さないこともありますでしょう。」


「そういえば、王子はツンデレキャラが好きらしい。」


「は、い?」


(今、なんて言った?ツンデレキャラ?ツンデレキャラってあのツンデレのこと?そんな言葉がこっちの世界であるの??)


「なんのお話ですか?」


「最近市井で流行っている小説をオススメしたら、ハマってしまったようで、次作が出版されることを楽しみにしていらっしゃるんだ。」


「小説?」


「ぜひ、ノア嬢も読んでみてくれ。恋愛小説なんだが、男でも女でも楽しめる作品だぞ。」


「は、はぁ。」


(とくにこれが好きだとかがない、あの王子が市井で流行している、しかも恋愛小説にハマった?なんか想像出来ないんだけど。いやあのマティスの言うことなんだから、自分にいいように解釈してるかもしれないわ。)


結局マティスからは情報を得ることができなかった。王子が誰々に恋をしているとか相談してくれたら手っ取り早くて良かったんだけど。まぁ、相談してても婚約者にそのまま伝えることはないか。

いや、あのマティスに相談することがないか。馬鹿正直なマティスは口を滑らしそうだし。


※※※


「おかえりなさいませ。ノア様。」


「えぇ、ところでユラン。」


「はい、情報は集めて参りました。」


さすがユランだ。元々暗殺者としての自分を隠し、ヒロインに近づいたユランなら学園に潜入し、情報を集めてくるのが上手いとは思っていた。


「カティー=アルヘルド。アルヘルド伯爵のご令嬢であり、タリスミア様と同じピアノクラブに参加されています。ノア様と同じ年齢でございます。」


「ということは新入生ね。」


「はい、元々平民として暮らしていたようなのですが、一緒に暮らしていた母親と死別。その後、実の父親であるアルヘルド伯爵に引き取られたようです。」


(ん?)


「アルヘルド伯爵令嬢の髪色は淡いピンク色かしら。」


「はい。タリスミア様もその令嬢の経緯を知り、力になってあげたいと、貴族としての振る舞いや勉強など活動後に教えているようです。」



(きたーーーーーー!ヒロイン!)



名前は自分で設定してたから、知らなかったけどやっぱり入学していたのだ。しかし、いつの間にそんな急接近があったのか。私としたことが。

「クラブ以外で関わりは?」


「クロノワール様と3人で、食堂にてお話していることが目撃されています。」


「そう、ありがとうね、ユラン。」


「ノア様を傷つけるようであれば俺が必ずタリスミア様を1発殴って差し上げますから。」


「不敬罪になるから絶対やめなさいよ!私は平気だから。返事は?」


「わ、かりました。」


「そんなあからさまに不服そうな顔しないの。貴方、潜入した時はもっとちゃんとやってたんでしょうね。」


「当たり前です。それはもう完璧といってもいいほど、違和感なく溶け込むことに成功しました。」


出来るやつということは知っている。

お兄様やお父様に対しては、表情を一切変えず、言葉遣いにも気をつけ、爆弾発言がないことも知っているのだが、どうして私の前だとこう…問題児みたいになるのだろうか。いや、信頼してくれているのは嬉しいし、子供っぽいユランも可愛いんだけどね。




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