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爺さんは2周目を好きに生きる~日に一回の未来視と風魔法で人生は楽勝⁈  作者: だい


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第3話:職員室の大掃除と教室での死刑宣告「バレなきゃいいねぇ」悪魔は嗤った

フンフンフーン。

 俺はとても機嫌よく、学校までの道のりを歩いていた。

 なんせ、35年ぶりの「登校」をしてる訳で、歩く道のりに咲いてる花も美しく、爽やかで気持ちのいい風も吹いている。


 高校生だったころは、学校なんて面倒で、モーニング喰いに行ったり、パチンコ屋いったりさぼってばかりだったのにな。


 でもね、社会に出るとわかるのよ。

 金に心配もなく学校に行かせてもらい、知らない知識を教えてもらったり、部活やったり友達と遊んだり。

 それがいかに贅沢で自由で素敵な時間だったか……ってさ。


 大人と子供の境界線にいて、どこか何者でもないような、不思議で自由な「モラトリアム」そのものの時間。

 それが俺にとっての高校時代なんだよね。


 でも、それをやり直せる。しかも二周目のニューゲームで。

 これが、楽しくないわけがないのだよ。


 しかし、今日はとりあえず「害虫駆除」に来てるんだが、なんというか視線が凄い。

 どこからも俺のことを見てるなあ。


 きっとみんな、俺は死んだと思ってんだろうな。事件について報道もそこそこされてたらしいし。

 でも、木元たちが絡んでるんじゃないかと思ってた奴等も、この中にはいたんだろうね。

 まあ、思ってても、人殺しなんてことを証拠も無いのに、言い出すのは出来ないのはわかる。


 ただね、玲央が虐められてるのを、動画とったり共有したり、笑ってた奴等は俺は許さん。


 軽い気持ちで人の人生を壊すのがこういう事だって、玲央に代わって俺がキッチリと、()()()()と躾けてやるわ。


 俺はまず職員室に向かう。

「おはようございまーす。本条玲央、今日から復帰です!」


 俺は担任を見つけて満面の笑みで声をかける。

「先生、……まてよ、貴方の事を全然敬ってませんから先生はないなあ。今後は佐々木教諭って呼びますねw」


 突然の、玲央の教師を軽んじた発言に静まる職員室。

 さらに俺は佐々木教諭に絡んでいく。

 そして、職員室を見渡して笑って言う。


「なんか、教諭たちみんな元気ないと思いません? 教員たるものいつでもファイトですよ! たとえ虐めを隠蔽してようが、強盗や傷害もみ消してようが、全然問題ないんですよね⁈ その挙句に『強盗殺人未遂犯』を学校から4人も出してもいいじゃないですか! あ、そうそう僕ね、警察とお話ししたんですけど、ハッキリした怪我や金銭的な被害のある傷害を、故意に見逃してるのもヤバいんですけど、ちょっとこれ聞いて下さいね」


 前に、佐々木に相談した時の録音データを、大音量で流す。


『傷害や強盗なんて大げさだろ。ちょっとあざ出来て、お金だって借りただけ貸してくれたって言ってるぞ? お金出さなかったら殴られた? そりゃ遊びで冗談だろ。あんまり大事にして警察とかが絡んだら、アイツじゃなくお前を停学にするぞ?』


「これって脅迫ですよね? 警察には話して弁護士とも相談予定で、教育委員会はアンタの親がいるから、『自治体と文科省』に、後はマスコミにも聞いてもらおうかと」


 顔面が蒼白になり、倒れそうな担任の佐々木。

 職員室はシーンと静まり返っている。


「……この中にも俺のことを見て見ぬ振りした奴、他の虐められてるのを見過ごしたやつが、他にいる」

「待ってろよ、まずはクラスの大掃除したら、ここの掃除だ」

 そういって俺は職員室を出たのだ。




 ……うーん、やっちまったなあ。

 軽く煽るだけのつもりだったんだけど、俺って自分で言ってる言葉でヒートアップしちゃうんだよな。


 もう、キラキラした学校生活は難しいし、いっそこうなったら、とことんまでやっちゃうか。

 そもそも、あんな奴らがどうなっても良いしな。


 うん、そうしよう。

 俺は悪くないんだよ……きっと。


 教室のドアを開ける。

 おお、バカ4人が揃ってるじゃないの。

 まあ、学校来なきゃ警察に来いって言われるもんな。

 睨んでるよ!視線で人を殺せたら、俺は死んでるな。


「やあやあ、これはクラスメイト……いや、『強盗殺人未遂犯』の木元君と、その手下たちじゃないか? 元気がないなあ」


 俺は舞台俳優のように胸と声を張り、薄ら笑いを浮かべる。

「うん、君たちはもうすぐ逮捕されて、貴重な時間を塀の中で過ごすんだ。この景色を焼き付けるといいよ」


 俺は教室の窓からの景色を眺めながら言った。

「未成年だからとか思ってるかもしれないけど、『強盗殺人未遂』だ。お前らは『死ね』『殺せ』と言ってたしな。俺は心肺停止で意識不明だ。最低でも10年、主犯は無期もあるなぁw」


 クククっと笑い、玲央は教室の中を見回す。

 今までと違った雰囲気の玲央を見て何かを予感してるのか、どことなく不安そう奴がいる一方、自分たちは何も関係ないと思っているのか、どことなくワクワクしてるバカ達。


 玲央はそんなクラスの連中で、なんとなく面白そうなこと起こるんじゃないかって顔をしてる連中のひとつに向けて言った。


「そういえば、俺が殴られて金や時計取られたときに、腕とか抑えたり、木元に財布渡した連中が居たよな?」

「おまえらは強盗の共犯だけど、分かってるか?橋本、田中に櫛引と……お前もだよな藤井」


 玲央は橋本たちに近づいて、楽しそうに嗤いながら言う。

「もう警察には伝えてるんだけど、普通に強盗の共犯が成立するってさ。近いうちにお前らの所にも警察が行くよ」


 まだ理解できてないのか、「え?」と言う顔の橋本たちに、クラスの連中も「警察とか大げさ」と言う空気だった。

 だがそれは、次の俺の言葉を聞くまでだった。


「知ってるか、強盗致傷の共犯だと示談しないとほぼ100%で長期で少年院だ。もし逆送ってのになったら、刑務所で6年以上は確定で執行猶予もないってことを。成人式は塀の中だな」

 震えだす橋本に、泣きだす田中に櫛引、藤井は座りこんでる。


 ザマア見ろ。こんなこと位でと思ったか?

 ()()()()()これが、強盗の共犯に当たってしまうかもって位のことは理解できるんだけどねえ。

 普通は社会に出たらキチンと教えられるが、こいつらはそれを知る前に前科者だよ、残念。

 若いから?更生?こんなガキどもの人生なんて興味ないわ。


 そして言葉もなく静まり返る教室で、俺は言う。

「あと動画とったり、笑ったり、それを共有してた奴も俺は許さない。警察にも告発するし、民事で裁判も起こすし、SNSでもやった事晒していって罰を与えるよ」


 ざわつく教室。手を出してないのに罪になるとは、こいつらは思ってないのだ、だから自分達に罰は無いと思っている。


 今の日本では、罰は罪がないと与えられないと思い込んで「だって法律で決まってないじゃない」とモラルや人としての過ちを笑い飛ばすバカな奴等が多い。


 でもな、違うんだよ?

 法律に書いてない、書くまでも無い罪は有るんだよ。

 人が殴られたり、尊厳が傷付けられている時に、笑ったり動画撮ったり共有するのは、俺にとっては罪なんだ。


 一人の女子生徒が俺に向ってきて言う。

「何の罪もないのに、そんなの通るわけないわ!」


 玲央は心底不思議そうに聞く。

「へー、君は殺人現場で笑いながら動画とって、共有して犯人と笑ってたら、犯行を助長したと思わないの?」

「さ、殺人と違うじゃない!」

「……俺の心は殺されてたよ?見てないとは言わせない」


 俺は周りを見回しながら笑って言う。

「まあ、正直なところ、告発しても難しいとは思うんだよ」


「そんなの当り前よ!」

「でもね、『告発された事実』は残るんだよ? そう、君が推薦狙ってる大学や、好きな人や家族……、ひょっとすると家族の友人知人にも知られるかもしれないね? あとは君が結婚するとき、子供が生まれた時、そうだ、自分の子供に『いじめはダメよ』と教えてる時……。フフッ、バレなきゃいいねぇ」


 この玲央の宣言を聞いて、最初は「何言ってんの?」ときいていたクラスメイトたちが、自分の将来が詰んだかもしれないと気づいて、サーッと血の気が引いていった。


 あるグループは静まり返り、どうしようと女が泣き出す。

 泣いた女の彼氏から、やめてくれないかとお願いされたが。

「俺も撮るのやめてって、何回も言ったよね?」

 そういうと何も言わなくなった。


 ……玲央が脱がされたときに、周りが撮ってるからと動画なんか撮らなきゃ良かったんだよ。

 とりあえずこいつらには、弁護士から民事裁判前提に、動画を撮影した事実関係確認の書類出そう。普通の家では、高校生相手に弁護士から封筒来たら騒ぎになるだろうからな。

 費用も未来視でいくらでも稼げるし、弁護士さんにお任せだな。


 そしてお前らは今後も、友人や彼氏ができた時、結婚した時、子供が生まれた時、そしてその子供学校に入学した時、この事実が、周りに流れることに怯え生きて行くだろう。

 何もかも忘れて調子乗ってたら本当にバラせばいいし。


 残りの人間達は、木元たちを恨むような目で見ている。

 だが、一番多いのは、自分たちは『何もしていない』被害者であり、責める玲央を憎む目で見る人間達だった。


「さーて、ここは空気も悪いし、売店にでもいこうかな」

 俺はそう言って教室を出ようとした。


 目配せしてる木元たちの悪意ある目が、最高に嗤えた。

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