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『ドワーフのおとちゃんに拾われた転生児、魔力解析チートで成り上がります』  作者: 草野いずみ


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第8話 ぼく、へんなゆめをみる



最近、へんなゆめをみる。




まっしろで、


ぴかぴかしてて、


なんか……ぴ、ぴ……って音がして。


だれかの声が聞こえるような気がするのに、


言ってることはぜんぜんわからない。




「……あれは……


 なんだったっけ……?」




目がさめたぼくは、


ぼんやり天井を見つめた。




ギルドの寝床はいつも通りで、


火のにおいと、金属の匂いが残っている。




(……ゆめ……だったよね?)




思い出そうとすると、


胸の奥がすこしズキッとする。




でも——


もう、うまく思い出せない。







「レン、おはようさん」




おとちゃがぼくの頭をわしゃわしゃ撫でてくれる。




その大きい手があったかくて、


ゆめのことを聞こうとしたのに、


口が動かなかった。




(……もう……いいや……)




ぼくはぎゅっとおとちゃにしがみつく。




「おとちゃー」




「おーよしよし。今日も鍛冶場行くか?」




「いくー!」




ゆめより、


こっちのほうがずっと楽しい。







ギルドでは、


いつものようにみんなが騒いでいた。




「親方ー!火加減強すぎッス!」


「お前が弱すぎなんだろ!!」


「レン坊、おはようー!」


「今日も可愛いなぁ!」




ぼく(心)


(声おっきい……いつも……)




鉄の音がカンカン響く。




その音を聞いた瞬間——


頭の奥で、またぴかっと白い線が走った。




——カン。


——ひかり。


——線が……


——どこかで……これ……見て……




ぼく


「……ん……?」




おとちゃ


「どうした、レン?」




ぼく


「……わかんない」




心の声:


(なんか……思い出しそうなのに……


ぜんぜん……つかめない……)




おとちゃが体を支えてくれると、


白い線はまた霧みたいに消えていった。




(……やっぱり……思い出せない……)







昼ごろになって、


ぼくは眠くなっておとちゃの膝に乗った。




「ほらほら、寝てもいいぞ」




「……ねむい……」




目を閉じると、


また、あの夢が始まった。




——まっしろ。


——まあるい光。


——ぴ、ぴ……ぴ…………


——だれかが、


“……あと……すこし……で……終わる……”


って言ってる声。




ぼく(心)


(……この声……しってる……


でも……だれ……?


なんで……しって……)




——光がだんだん暗くなる。


——声も聞こえなくなる。


——ぼくはそこに立ってる。


——なにかを持ってる……?




(……これ……なに……?


なんで……しって……)




——手の中の赤い布みたいなものが


すっと消えた瞬間、


夢も全部、溶けてしまった。







「レン。……おいレン?」




おとちゃの声で、ぼくは目を開けた。




ぼく


「……ん……?」




「なんかうなされてたぞ」




ぼく


「……ゆめ……」




「どんな夢だった?」




ぼくはしばらく考えて、


でもやっぱり言えなかった。




「……わすれた……」




おとちゃは何も聞かず、


ぎゅっとぼくを抱きしめた。




「夢なんてのはな……


忘れるからいいんだよ。


覚えてたら眠れねぇ。


忘れりゃ、また眠れる」




ぼく


「……そうなの……?」




「そうだ。お前は今ここで生きてりゃいい」




ぼくは胸に顔をうずめながら思った。




(……ほんとだ……


おとちゃのにおいすると……


ゆめ、どうでもよくなる……)




さっき見た白い光も、


赤いなにかも、


声も、


ぜんぶ消えてしまう。




ぼく


「おとちゃ……すき……」




おとちゃ


「おー、俺も好きだ」




ぼくは思った。




——ゆめ、なくてもいいや。


——だってぼくは、こっちで生きてるから。




ゆっくり消えていく記憶のかわりに、


いまの世界がしっかりぼくの中に広がっていった。

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