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『ドワーフのおとちゃんに拾われた転生児、魔力解析チートで成り上がります』  作者: 草野いずみ


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第6話 きれいとかわいいと、鍛冶の火花


レンが一歳半になったころ。


夜泣きもほぼなくなり、


親方はようやく“朝まで寝られる生活”に戻っていた。




「……人間の子って成長早ぇな……」




朝日の中、親方がぼくの頭を撫でながらしみじみ言った。




ぼくは親方の髭をつまんで


「ふわふわ〜」


と言った。




親方は胸を押さえて倒れかけた。




「ふっ……ふわ……!?


ふわふわって……ぐぉおおおお!!


可愛い!! しんどい!!」




ギルド員:


「親方、朝からダメージ入ってるぞ!」


「髭ほめられて崩れる210歳って何!?」




レン(内心):


——いや、事実を言っただけなのに……。







その日、親方は作業場で鉄を打っていた。




カン、カン、カン。




ぼくはその音に引き寄せられるように歩いた。




ギルド員A:


「お? レン坊が来たぞ」




ギルド員B:


「また火花ガン見だな……」




ぼくは火花の光をじっと見つめた。


揺れる光の線が、綺麗で、消えるのが惜しい。




「……きれー……」




親方はハンマーを落とした。




ガンッ!!




「き……きれぇぇぇ!?!?」


「レンが“綺麗”って言ったぁぁぁ!!」




ギルド員


「美的センスある!!」


「火花見て“綺麗”は天才だ!!」




レン(内心):


——いや光ってるのがいいなって思っただけ。




親方は涙目でぼくを抱きあげて言う。




「レン……お前……技術屋の目してるぞ……!


おとちゃん誇らしい……!!」







その日の午後。


近所のドワーフの少女(親方の知り合い)がギルドに遊びに来た。




ぽてぽて歩いてきて、ぼくの前にしゃがむ。




少女:


「レン坊〜、おはよ〜」




ぼくは彼女の顔を見て、


にこーっと笑った。




「かわいいねぇ」




少女:


「!?!?!?


か、かかかかわいい!? 私が!?!?」




ギルド員:


「何ィィィ!?


相手によって“かわいい”と“きれい”を使い分けてるだと!!?」


「天才じゃねぇか!!」


「審美眼が出来上がってる!!」




親方:


「おいレン!!


何でフローリアには“きれい”で


ドワーフ娘には“かわいい”なんだ!!


基準はなんだ!!」




レン(内心):


——あるよ?雰囲気。


フローリア先生は“きれい”、


この子は“かわいい”。


人間の感覚で言うとそれだけ。




フローリアはその場に居合わせていて、


静かにレンの瞳を覗き込んだ。




「……色彩と形状の差を見て分類している……?


一歳半で……?」




親方:


「やめろ!!分析すんな!!


レンはただの可愛い息子だ!!」




フローリア:


「可愛いのは否定しないわ。でも異常よ。


この月齢で、対象を“美しい/可愛い/綺麗”で分類するなんて」




ギルド員:


「異常って褒めてるのか……?」


「フローリアの“異常”は誉め言葉だ!!」


「レン坊の才能、やべぇ!!」




親方はレンを抱きしめて震えた。




「……レン……


お前、世界で一番かわいくて、世界で一番すげぇよ……」




レン(内心):


——おとちゃ、落ち着いて……。







その晩。


親方は酒のカップを傾けながら呟いた。




「……しかし、人間の子は成長が早いな……


気づけば歩いて、喋って、笑って……


どんどん大きくなっちまう……」




親方の横顔はちょっと寂しそうだった。




レンは親方の手に自分の手を重ねて言った。




「おとちゃ……すき」




親方は泣いた。




「……ずっと一緒にいような、レン……」




静かに火が揺れる夜。


ぼくは、


この腕の中がいちばん落ち着いた。




でも——


この時のぼくたちはまだ知らない。




レンの“見え方”はもうすでに、


ドワーフでもエルフでも理解できない領域に入っていたことを。

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