第10話 ぼく、なんかギルドで有名になる
ギルドに着いたら、
なんか……みんな、いつもよりざわざわしてた。
「おい、来たぞ来たぞレン坊だ!」
「昨日のアレ、本当に見えてたのか?」
「親方、あの子やべぇよ!?」
「天才とかじゃなくて“何か”だよあれは!」
ぼく(心):
(なんか……今日みんな目がこわいんだが……?)
おとちゃは腕を組んで、
どやぁ……みたいな顔してた。
「まぁな。うちの息子はちょっとすげぇんだ」
ギルド員
「ちょっと……? いや“ちょっと”ではなく……」
ギルド員2
「昨日の図面一瞬見ただけで強度の弱点指摘した五歳児だぞ!?」
ぼく
「ん……?」
ぼく(心):
(え? ぼくそんなこと言ったっけ?
昨日……おとちゃに抱っこされてあったかかったことしか覚えてない……)
フローリアがすっと姿を現した。
「騒がしいわね。朝から何をしてるの?」
ギルド員
「フローリア様! ほら、昨日の! レン坊が!」
フローリアはぼくを見て、ほんの少し微笑んだ。
「レン、昨日の本……覚えてる?」
ぼく
「うーん……ちょっと……わすれた……」
フローリア
「そう……でも“見える”のは変わらないのね」
ぼく
「ひかるとこ……みえる……」
ギルド員一同
「出たぁぁぁ!!」
ギルド員3
「やっぱ見えてるんじゃねぇか!!」
ギルド員4
「どんなふうに!?教えてくれ!!」
ぼく
「うーん……ながれて……て……
こっちは……つまって……」
ギルド員5(泣き)
「つまってるって何!?なぁそれ何!!?」
ぼく(心):
(いや、説明できないよ!? ぼくまだ“ぼく”だよ!?)
フローリアが静かに言った。
「魔力の流れを“状態”で感じてるのよ。
言語化できるわけないでしょ。五歳児なんだから」
ギルド員
「五歳児なのが逆に怖い!!」
ぼく(心):
(ぼくもこわい……なんなのこれ……?)
◆
そのあともギルドは大騒ぎだった。
鉄を叩くと
「レン坊、今のどう見えた!?」
魔道具を見せると
「ここ、壊れそうって言ってみて!!」
図面を見せると
「昨日みたいに“どーん”ってなる場所教えて!!」
ぼく
「……どーんは……いや……」
ギルド員
「いやじゃなくて!!」
ぼく(心):
(いやだよ!?どーんする場所とか教えたくないよ!?)
おとちゃがぼくをひょいっと抱き上げた。
「おい!レンをおもちゃにすんな!!
こいつはまだ子どもだ!!」
ギルド員
「す、すまん親方!!」
「でもすげぇんだよ!!」
「国家レベルの逸材なんじゃ……」
「フローリア様、弟子にしません??」
フローリア
「この子はまだ私の講義についてこられる年齢じゃないわ。
……でも、いずれは必要になるでしょうね」
ぼく
「ふろーりあ、きれい」
フローリア
「ありがとう。でも今は落ち着きなさい」
ギルド員全員
「落ち着いてるのフローリア様だけだよ!!!!」
◆
その日の帰り道、
ぼくはおとちゃの背中におぶられながら聞いてみた。
「おとちゃ……ぼく……へんなの?」
バルカンは笑って、ぼくの背中をぽんと叩いた。
「変じゃねぇよ。すげぇんだよ」
「すげぇ……?」
「ああ。俺のじまんの息子だ」
ぼく(心):
(……うう……なんか泣きそう……
おとちゃ……やっぱりすき……)
ぼく
「……おとちゃ……ちゅき……」
バルカン
「おーよしよし。帰ったら飯食うぞ」
ぼくはぎゅっと背中にしがみついた。
今日、ギルドのひとたちは大騒ぎだったけど、
ぼくの中ではなんかふわっとしてて、
ぜんぶ夢みたいだった。
けれど——
「ひかるの……もっとみたい……」
ぼくがつぶやいたその言葉を、
おとちゃは聞き逃さなかった。
「……見たいのか?」
「うん……あれ……きれい……」
おとちゃは少しだけ怖い顔になったけど、
すぐに笑ってくれた。
「そうか。ならいい。
見たいなら見ろ。
レンの道は……レンが決めるんだ」
ぼく
「……みち……?」
「そうだ。お前の未来の話だ」
ぼくにはまだよく分からなかったけど、
その“みち”は、
ひかる線の向こうにある気がした。




