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サポートキャラに悪役令嬢の魅了は効かない  作者: 宇和マチカ
本編2 スキル剥がし編

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22.女子力が悪魔的ってことかしら

お読み頂き有難うございます。

入り口付近で喚かれてるせいで、夜会会場に入れないご一行が更なるエンカウントです。

「フハハハ!焦らすつもりか?良い良い許してやろう!

ボクの言うことを聞けば可愛がってやるぞ!」

「け、結構です!!結構でした!!結構極まりないです!!」

「何ぃ!?声を掛けたのはそっちだろう!ボクに逆らうのか下衆な下郎め!!侮辱罪で放り込んでやるか!!縛れえい!」


何で声が変わったのかは分からない。

けど…ああ考えが纏まらない!!煩い!!

声デカイ!!

ロージアの声って可憐で可愛い筈なのに。

無茶振りを偉そうに大音量で叫ばれると、かなりキンキンして聞こえるわ。

喋り方って大事なんだな…。

いや、ロージアの喋り方がいいとかじゃなくて…まあ、一般的には可愛かったよね。私は今受け付けないけどさ。


でもなあ、仮にも悪役ならもっと重役らしく!!って感じじゃない?

……とても安物の三下っぽいわ。

曲がりなりにも主人公ロージアの声を以てしても三下感満載って…。

ある意味素材の丸ごと無駄遣いと言うか…凄いわね。



しかし…何故入口近くで繰り広げるのかしら…。邪魔だし入りづらいじゃないの。

ああ、私達の後ろに、似たような心境であろう人だかりが形成されつつある…。

入り口で立ち止まらないで下さいってアナウンスが必要じゃないかしら…。

場内アナウンス的なものが有るのかどうか分からないけれど。


私は喚いている人の背中を観察してみた。なるべく…声に意識を向けないようにして。

うん、何かやっぱり殿方っぽい格好ね…。

ただ…頭の色が黄緑と赤で、服が黄と黄緑なもんだから…

ド派手だけどまあ、その辺りの人に居ないカラーリングではない…か。

周りの人々も良く見れば凄い青とか緑とか、黒と赤と白が混じった人とか、派手な頭、いるもんな…。

寧ろ地味な色合いの人が目立つと言うか。

……街中は地味な頭の人が多かったんだけど……貴族と街の人でも違うのかしら。


「美しければ何でも構わんぞ!!一時で良いな愛でてやろう!!ハハハ捧げろ捧げるんだ!!」


…ああもう、聞きたくないのに聞こえてくるわ。そして科白が酷い。

あんなのがフォーナの…お姉さんなのか。血が繋がらないとは言え…。

流石に本人に寧ろ血が繋がらなくて良かった、と言っては駄目よねえ。

顔が服のせいも有るのかもしれないけど、フォーナの顔色が悪いわ。

そりゃそうよね…あんな身内が居たら、私倒れるわ。


「ウゼエ…」

「モメて…ますわねえ」


大いに不満は有るが、絡まれたくないので私達も小声だ……。

紫の柄の服の人(絡まれてる貴族っぽい)、助けに行かなくてすみません。

助けに行ける技量の有るヒーローじゃ無くてごめんなさい…。

どう頑張っても力及ばないわ。

本を読んでいて、何で人助けしないんだよモブ群衆!!とか思う事有るけど、実際のモブ群衆の立場だと本当に動けないんだなと思い知ったわ…。


「す、すみません…フィルル姉さまが…」

「………あれ、マジでお前のねーちゃんかよ」

「血は…繋がっていないんですが…正直私も遠くにしか声を聞いたことが無く……」


うわあ、姉妹間で話したことすらないのか。

結構闇が深そうだな、ソーレミタイナの皇族……。

いかん、考えてるだけなのに国名で吹きそうになる。

シリアス!!シリアスだから!!


「どう言う立場の方なの?」

「ええと…お父さんの三女なんですが、身分の高い方がお母さんでして…自分の思い通りにならないとお怒りになるって聞いてます。

小さい頃は、皇帝になりたいと何時も仰ってるのが、隣の建物からもよく聞こえました」


……我儘放題で育ったって事か。

て言うか、話したことも無い妹に内容が筒抜けって…常にあの大声って事か。


「…何つーか、お前も地味に大変だな…」

「す、すみませえん……」

「ええと、フォーナのせいじゃないから…他のお姉さんは?」


沢山お姉さん居るって言ってたもんな。

もしかしたら、他のお姉さんも来てるのかもしれない…。

そっちが宥めてくれるとか無いだろうか。


「照れておらずとも良いぞ!!我こそはと思う者参れ!!品定めてやろう!!」


ってホント煩いな!!ヒソヒソ話も考えこむ事も出来やしないのかよ?!

ロージアの声って強制的に耳に入るんだけど、コレもサポートキャラの特性のせい!?

……あれは酷かった。だがこれは更に酷い!!


「ええと…長女のファーレン姉さま以外は、時期は違いますが、亡くなってます。

理由とかは…私には知らされなかったんです。

でも何か、有ったのかもしれません」


え、まさかの……。

フォーナの紺色の伏せた睫毛が痛々しい。

どうしよう……掛ける言葉も見つからないわ。


「……お前の国どうなってんだ?」

「……ですから、その…アロンさんにお力をお借りしようかと……」

「いやだからどうして私が……」


そう言えばその件は聞いてなかったな…。義兄さまのせいで。

フォーナは…何を期待しているの?

この役目を終えたサポートキャラ、現引きこもりの世間知らずに一体何の力を借りたいんだろう。

私に力を借りに行けと吹き込んだのは…オルガニックさんよね。

……やだなあ、何か嫌な予感がするわ。


それにしても………手持無沙汰だし、こんな所で溜まってる場合じゃ無いわよね。

いい加減会場入りしないと、陛下がお成りになるんじゃないかしら…。

流石にこんなガラガラの会場(なのにやたら騒がしい)に陛下がいらしたら引かれるでしょうし。

賑やかし要員として…入らなきゃいけないけれど。

入りづらい。凄い入りづらい。困ったわー。

サッサと出て行くか、ひっ捕らえて連れて行くかしてくれないかしら、フォーナのお姉さん。

迷っていると、背中から首にかけて物凄くフニャッとしたボリューミーな物体が当たってきた。


……え!?

何だ!?何この感触……。

義姉さまに抱き付かれた感覚に似てるけど…今流石に寄っては来ないだろう。

じゃあまさかデカい水風船持った人かなんかが私に体当たりを!?

いやバカな、此処は夜会会場の王城よね!?

それとも何?知らん間に王城のオブジェでもぶち当たった?

え、どうしよう壊してない!?もしくは凹ませてない!?


慌てていると花のような香りが立ち上って…目の前が真っ暗に…いや、コレ、目を塞がれた?

柔らかいしなやかな……女性の手?よね?

何で?

フォーナって、さっき横でお姉さんの所業に可哀想な位凹んでたわよね?

それに、こんなおふざけしてくるような子でも無いけれど……。


「え、フォーナ!?」

「ぶぶぅー、ハァズレェ」


物凄く特徴ある喋り方と声だけど、全然知らない!!

フォーナかレルミッド様のお知り合いが、ちょっかい掛けて来たとか!?


「はわあ!アロンさんがあ!!知らない人に羽交い締めにぃ!!」

「ハァ!?何いきなり捕まってんだって…誰だよ!?」


え、二人も知らん人なの!?

何で知らん人が私に目隠しやってくんの!?

そんな事してきそうなの義兄さまくらいしか居ないのに!?


「だぁれだぁ」

「ミーリヤったらー、悪戯好きねー」


え!?本当に誰だよ!!

全然聞いたこと無いんですけど!?

て言うか、この声の主が私の視界奪ってんの!?

何で!?何の為に!?


「どなたでしょうか」

「わー本当にー、動じてなーいーのねー」


いやマジで心臓が口から飛び出そうですが!!

こんな場面でもばっちり発動するサポートキャラ補整怖いな!!

て言うか本当にいい加減誰!?


「ばぁぁ。ざんねぇん回れ右ぃ」


パッと手を離されたと思ったら、その衝撃でよろける。

と思ったら何故かくるっと方向転換させられていた。

何が起こってんの!?

何か腕とか腰とかを、パパッと押したり引かれたりはした感覚有るけど!?


そして、正面を見ると其処には…滅茶苦茶女子力の塊のような…童話から出てきたような雰囲気の巨乳のおねえさんが二人も居た。

一人は白に近い薄い薄い紫色の髪に夜みたいな真っ黒な目の…雪の女王みたいなおねえさん。

そしてもう一人は、真っ黒な肩までの緩い巻き髪に、綺麗な森みたいな緑色の白雪姫みたいなおねえさんだった。

背は私より拳一つくらい大きい?かな。

歳は……幾つくらいだ?三十路…位?アラサー?

いや、あくまで主観だけどな。確かめようとは思わないわよ。

前世の歳なら何となく雰囲気で聞けたかもしれんが、今の私は単なる小娘だからな。

それに女性に歳を聞くのは普通に失礼だしな…。


「!?!!?」

「おい義妹…このやたら素早い動きの…ド派手でエロいねーちゃん共、誰だ」

「はわあ…、綺麗な方々ですね…」

「ブギュ…」


ド派手でエロイねーちゃんが素早い動きって何?

私がボケっとしている間に一体何が?

フロプシーが私の腕をたしたし叩いてくれたので正気に戻れた。

有難いけれど…聞きそびれたわ。


「……存じ上げませんが、優雅な方々ですわね…」


私は横のレルミッド様と美女たちを改めて見た。

レルミッド様が思わずガン見されるのは分かる。

と言うか、知り合って間もないけれど…未だ嘗て見た事ないこのガン見っぷり。

……そうか、こういう方々がお好みなのか…。男の子だな。

でも女の私でも思わず見てしまう豊かな体つきだわ。

…何処に一番目が行くかっていうような胸だしね…。

ドレスも上品にお色気たっぷりと言うか…選び方がとても上手いのね。

まあ、体型が違いすぎるし、センスも無いし…全く真似できんな……。

女子力ゲットは滅茶苦茶険しく厳しいようね…。


「褒めてーくれて有り難うー」

「国ではぁ、聞かないぃ感じでぇ新鮮だわぁ」


お話しの仕方が間延びし過ぎて個性的過ぎな気はするんだけど…上品だな…。

背後のロージアボイスの喚き声が…かなり耳障りなのが和らぐほどに。

と言うか何時まで続くんだろう、あの迷惑な誰も得しないBGM…。オフにしたい。


レルミッド様はまだ美女たちから目を離していない…いやあ男の子だな。

二人共ちょっとタイプは違うけど、大人のお色気おねえさんって感じだわ。

そりゃ、義姉さまの方が美人だけど…世の中にはジャンル違いの美女っているのねえ。

っていや、ふざけてる場合じゃない。

こんなおねえさん方、全然知らんけど!?


「赤い方のぉ蝶々ちゃんのぉ、雨のぉお花ちゃんでしょぉ」

「本当にー、青いわねー。小さいわー。蝙蝠ウサギなんてー抱えてー雨の器の義妹姫ー」


ん?蝶々?赤い方?

……忘れてたけど、『燃えて落とす紅の蝶々』って義兄さま…

いや義姉さまのゲームの二つ名よね。

………あの厨二ネーム、現実でも知れ渡ってるの!?

ん?と言うことは、この方々、義兄さまを知ってるのかしら?


…いや、それもだけど『雨の器の義妹姫』って何その…負けず劣らず厨二な名前。

まさか、話の流れ的に私のこと!?

………何故だ。雨の器はロージアのスキルでは…。

いや、今居らんけど。

て言うか何で私がそんな呼び方されてんの!?

何で!?似合わねえ!!

モブの私の何処にそんな厨二加わる要素が有ったと言うの!?

滅茶苦茶恥ずかしいんだけど!!止めて!!もっと似合う人たちに付けてあげて!!


「決まったひとがーいるとはいえー、あんな不愉快なものはー害悪だからー、子供は近寄らないでおきなさいなー」

「だ、誰が子供だっつーんだよ」

「あらぁ?貴方はぁ……」

「な、何だよ」


……マイペースだな、この方々……。

ご忠告して下さるし友好的だから、悪い方々では無いようだけれど。

あ、黒い髪の白雪姫みたいな方の女性に近寄られて、レルミッド様の顔が赤くなっている。

この方、結構背が高いな……。レルミッド様より少し下、位の背丈だわ。


「お目々がぁ綺麗なぁ紫ねぇ。ドスケベなぁ赤フードちゃぁん?」

「ハッ……!?」

「ドスケベナァ?って何ですか?」


いや、其処はツッコまないであげてフォーナ!!レルミッド様の名誉の為に!!

しかし、そ、その呼び方は………最近言った人物を私たちは知っている!!

顔と声まで浮かんでくる!!


「おま…いや、あんたら、サジュの熊ねーちゃんの知り合いかよ!?」

「当ぁたぁりぃよぉ」

「小熊ちゃんとぉ、石板のー伯爵がーがお世話になってるわねー溢し屋さんもぉ」


この人…ドートリッシュの国の…ええとコレッデモンの人達なの!?

そして、溢し屋やさんって、誰!?新キャラ!?

この頃新キャラ増えすぎじゃないかしら!?

…って、いや、ゲームじゃ無いんだから、知り合い増えすぎって考えるべきね。


「溢し屋さんとはどなたですか」

「小熊ちゃんのー弟っ子よー」


……何か、若干微笑ましい渾名付けられてんだな、サジュ様…。

瞬時に、ヨダレかけにベタベタにミートソースへばりつかせてる幼児サジュ様の脳内映像が作られてしまったわ。実に生で見たい。

あら、レルミッド様も似たような考えに至られたみたいで…微妙なお顔をされてるわね。


「………サジュかよ、マジか…」

「マァジよぉ。わたしぃ、ミーリヤ」

「私はーマデル」


う、うおおしまった!!歳上の方々に先に名乗らせてしまった!!

ええと、カーテシーと、この間判明したばっかのミドルネームを忘れずにご挨拶!!


「失礼致しました。アローディエンヌ・マイア・ユールですわ」

「レルミッド…」

「はわわあ…ええとぉ、わわわわたし、レルミッドさん…さ、様の従者やってますフォー…です」


お姉さんが喚き散らしてる上に身バレが駄目となると……本名名乗る訳にはいかんわね。

機転は効いて良かったけど…凄くベトナム料理みたいだわ。

あれ?でも私さっきフォーナの名前って呼んだ?

ビックリし過ぎて呼んだ気がするわ………聞こえてるのかなぁ。

バレてないかしら。どうしよう、大丈夫かなぁ……。


「まーあー可愛いわー」

「お利口ぉさぁんねぇ―」

「まだぁ物慣れないぃ子羊ちゃんたちはぁ、やぁやこしいのにぃ絡まれないようにぃ気を付けてねぇ」

「怖ーい大人がいたらー、叫ぶのよー。大きな音をー立ててもいいわー」

「はう」

「ハァ!?」

「あ」

「ブギュ!?」


美女達…マデル様とミーリヤ様は…私たち三人とフロプシーまで、がっしがしと念入りに撫でて行ってしまった。

……あんなに嫋やかなのに、意外に握力強いな。

あ、フォーナがちょっと頭がモサッてなってる…。

もしかして私もだろうか。


「何だったんだ…」

「ブブグブウ」


レルミッド様もちょっと前髪が乱れておいでね。

でもお口許が緩んでいるわ…。

余程大人美女に撫でられて嬉しかったと見える。

いやあ、年頃の男の子だなぁ。ニマニマしてしまう。まあ、全く顔に出て無いだろうけどな。


「ブググギュ」


おお、フロプシーは迷惑そうだな。

顔の毛並みが若干乱れているのを直してやったら、ちょっと鼻を擦り付けて来た。

多少は慣れて来てくれているんだろうか。

ウサギ?の生態はよく分からないけれど。


「……凄かったですね……」


何が?と問うまでも無いか…。視線は雄弁だもの。

フォーナはレルミッド様と…何故か自分の胸元を見て凹んでいる。

………いや、さっきの方々とタメ張れる人はあまりいないよ。でも向上心は良いことだよ…まだ成長期だし。

……いかん、私まで今更自分の貧相さにめげそうだ。

詰め込んである詰め物の感触があばらに当たって…虚しいわね。

だから盛っても絞めても無駄なのよ……。現実は非情なのだから。



そうこうしている内に…何故か人の流れが復活していた。

……何時の間に。

誰か交通整理…いや、人を捌いてくださったのね。あの人を動かすの大変だったろうなあ。

率先して動かねばならんようなモブの癖に、楽して申し訳ないわ……。


「早速ややこしいのに絡まれているようだな。報告を受けたぞレルミッド」


あら、前世から聞き覚えのある爽やかな甘い声…。

私達は振り向いて、唖然とした。


「………ルディ、お前頭どうした」

「似合うか?」

「わあ、赤いチーズみたいなお色ですね……」


いや、言いたいことは分かるけどフォーナ……。チーズって…。

いかん、そう言われると赤いチーズの色にしか見えないじゃないか。

何と、あの眩いばかりの金髪は…赤めのチーズみたいなオレンジ頭になっていたのだった…。

うわ、別人……!?とはならないな。キラキラオーラは健在だし。


意外にもルディ様のお召し物は…黒かった。

騎士団みたいな格好で…っていうか、さっき忠告して下さった騎士様とおんなじじゃない。

ああ、帯剣までされて。まんま騎士様じゃないの。やだ黒も超お似合い!!

白魔法使いといい、騎士様といい…コスプレ要員なのルディ様!?素敵!!

髪の色も相俟って…2Pカラーみたいね!!


「ホントは父上やレルミッドみたいな色にしたかったんだが、父上が間違ってこの色を買って来てくれてな。勿体無いから染めてみたぞ」


おお、王子の口から勿体無いなんて聞くとは……。

意外に庶民派なのね、ルディ様って。

ん?父上が買って来た?

ルディ様のお父様……前王様って火事で亡くなってなかったっけ?誰?


「意外とおっちゃんドジだからな…」

「そうだな。そんな些細な事も面白い。家族で暮らすのは実に良いものだ」

「わあ、お父さんと仲良しさんなんですねえ、ルディさん」


和やかだなあ。此処では……突っ込める空気じゃ無いしね。

でも、ルディ様とお呼びしていい…みたい。


「ルディ様、ご機嫌麗しゅう。

この度のご招待は勿論の事、先日は我が家に御足労頂き、誠に有難うございます。身に余る光栄で御座いましたわ」

「おお、アローディエンヌか。何故アレキと同じ格好なんだ?騙されたのか?」

「…左様でございますわ」


其処突っ込んでくるのは流石ね…。

ルディ様も…義兄さまに容赦がないのはお互い様って事かしら……。


「それにしても……意外に、ルディ様に寄って来られる…いえ、ご挨拶に来られる方が少ないようで」

「ああ、目当ての『王子』を探しているんだろう」

「わあ、やっぱりショーン王子様が来てるんですね。何処でしょう?」


……そこだよフォーナ…目の前に居るんだけど……。

ルディ様と目が合うと、唇に指を当てて、しーっという動作をされた。

……実際やる人いるんだあ。萌えるから止めて欲しいな。


「所でややこしいと言うのは?」

「さっき悪魔の四騎士の内の二人に絡まれていたそうじゃないか。喚き蝙蝠にも遭遇したと聞いたぞ」


……私達はどっかのダンジョンにでも迷い込んでしまったの?

何だよ悪魔の四騎士に、喚き蝙蝠って……。RPGかよ!!

急にこのキラキラした王城がダンジョンに見えてきそうじゃないの……。

いや、最初からそんなに来たかった感無かったけどさ。

と言うかゲーム中ではイベントにときめきまくりだったのに、実際来ると全く感想が違うわね。

モブとして来たからだろうか。

それとも、思ってたのと違いすぎるからだろうか。


「……おい、まさか、さっきのエロイねーちゃん共が悪魔騎士の…ナントカの令嬢共かよ」

「すまんが、僕は関わりたくないから二階から遠目で見せてもらった。報告と照らし合わせても間違いなくあれだぞ」

「ルディてめえ……」


ルディ様が上を指し示すと大広間が吹き抜けになっていて、少しだけ二階が有った。

成程、あそこからご覧になってたのね。

でも何かレルミッド様はご機嫌が悪いわ。何が何なの?

ルディ様は何を危惧してらしたの?

ナントカの令嬢共って何?


「……ソーレミタイナの国章がですねえ、蝙蝠さんなんです」

「ブギュギュ」

「そ、そうなの……」

「……そうですか…フィルル姉さまはそんな呼ばれ方を…」

「げ、元気を出してフォーナ…」

「そうだぞ、ムカつく身内は墓に入れんと目の前から失せないからな。

年齢的に先にくたばるのを待つか、討ち掛かるか、もしくは確実な反撃を考えるかしておくといいぞ」


仮にも困り者の家族の事で凹んでいるフォーナに……何ちゅう助言なのかしら。爽やかな笑顔が眩しすぎるわ……。

ああ、コレ多分多分義兄さまとの諍いのことからのアドバイスでしょうね……。

本心から言っておいでなのがまた……。


「はうう…どう答えたらいいんですかあアロンさーん!?」

「……ルディ様、フォーナに変な助言はお止め下さい」

「そうか、もっと単純な方が良かったか?腹が立つなら殴ればいいと思うぞ」

「止めろやルディ」


その時、金管楽器の高い音が鳴り響いた。

やだーゲーム中でも聞いたことあるーコレ。ファンファーレって奴じゃーん……。

王様の、お成ーりー…じゃないか。

……王子様とこんな入り口で油を売っている間に、陛下がマジでお成りになったらしい。

遠目で何か仰っているのが見えるけれど…あんまり顔を出せない。バレるから。

……あ、あれだけごちゃごちゃに居た貴族が整列してるし。何時の間に?


うわーどうしよう、会場入り間に合わなかったって……。

招待されてるのに…折角時間通り来たのに…。

……遅刻したみたいにリアルガチでこっそり覗く羽目になるとは。


「オッサンだな。ああ良かったあの椅子はねえな……良かったぜマジ良かった」

「はわあ、国王陛下ですねえ」

「ああ間に合わなかったようだが仕方ないな。フィルルが悪い」

「……ご挨拶が終わってからこっそり入るしかないようですわね」

「ブギュウ」


……何でこの面子になってしまったのか不明だけど、本当にマイペースが多いな……。

と言うか遅刻してないのに遅刻しちゃったの、マジで居た堪れないわ…。

そしてレルミッド様の仰った『あの椅子』って何の事かしらね。

とても安堵しておいでだけど、此処の椅子に何か有ったのかしら。壊したとか?

噂の悪魔の四騎士の内が二人、マデルとミーリヤ。

どちらかが舌切り悪魔でどちらかが花咲か悪魔です。

仲良し四人+αなので、四天王の中で最弱なのは奴とかは言いません。



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登場人物紹介
矢鱈多くなって来たので、確認にどうぞ。とてもネタバレ気味です。
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