番外編そのろくの20 玉座の主
お読みいただき有難うございます。
長くなったので切りました…。
おかしいな、番外編の筈なのにどうしてこう長いの…。長引いてすみません。
そして致命的なミスを直しました、申し訳ありません…。自分にがっかりです。
「何の冗談だオッサン!!早く剥がせよ!?」
「何で俺がやった事になってんだ。とんでもねえ濡れ衣着せる奴だな、そんな暇な芸当が出来るか!俺は忙しい身なんだぞ」
「暇だったらやれんのかよ!?」
「無理だな、絵は下手だ!」
何で偉そうなんだ、オッサン…其処は威張れねえだろ。
俺も絵は下手くそだけどよ。
「だ、だって…何で椅子の柄が俺の首に張り付いてんだよ!?」
「……それがな、レルミッド。言いにくいんだが」
「何だよ!?」
「その椅子、玉座なんだとよ」
「ハァ!?」
……え?玉座?
……一回見ただけだし微妙にしか覚えてねえぞ。
何かごちゃごちゃ付いた派手な椅子だよな、確か…。滅茶苦茶顔打ったの覚えてるような…?
……玉座って、あの…徴解く為に座った椅子の事かよ!?
「お前は、スキルとして『玉座の主』を得てしまったんだってよ」
「……ハアアアアア!?」
玉座…アルジィ!?スキル!?
何だその意味分からねえ…スキル!?
「何で俺がそんなもん勝手に得てんだよ!?後名前がダセエ!」
「別名としては『玉座に愛された者』とか『王者の椅子の保持者』とかいろいろ有るが、それが一番マシな部類だ。気遣った俺に感謝しろ」
ハァ!?何だよ椅子からの愛ってキモッ!!
いや確かにそんなので呼ばれたら嫌だけどよ!?
気遣いの方向が違わねえか!?
「ハアアアアア!?」
「……まあ、取り合えず王弟殿下…今は陛下だが、聞いたとこによるとお前、玉座に気に入られちまったみたいなんだってよ」
「椅子に!?」
何で椅子に!?て言うか椅子!?
椅子に好かれるとか生まれて初めて聞くんだけどよ!?
「アレは普通の椅子じゃないんだ…。
普通椅子は光らねえだろ。
座る奴が気に入らねえとかで勝手に消えねえし」
「そ、そりゃそうだが…」
確かに光って座る奴を選んだ挙げ句、気に入らなきゃ勝手に消える椅子なんておかしいな。
あの時はルディを助けたい一心だったが…よく考えると光る椅子とか恐怖だぜ。
…………まさか!?
「まさか…オバケでも潜んでたのか!?」
「そこは知らんが」
「何だよ使えねえオッサンだな!!」
「あぁん?」
ロンのオッサンのくすんだ緑の目が俺を睨む。
怖かねーが、決して怖くねーが…迫力がまーまーあるオッサンにちょっとだけ体がビクッとした。
「お前な、今から王城に行って玉座に奉って王様業させてもいいんだぞ」
「だから何でだよ!!」
何で王様業!?
どういう発想だよ!?
俺は断ったんだろうが!!覚えてねーけど!
「『玉座の主』の徴を捺されてスキルを得るなんて、ここ数代は出てねえ希少価値だからだそーだぜ」
「ハアアアアア!?」
勝手に押し付けといて希少価値!?
知らねえよボケ!!
「今までの王はそれなりに玉座に好かれてる程度しか居なかったらしいからな」
それなりに椅子に好かれるとか何なんだよ。
好き嫌いあんのかよ!?
選り好みすんなよ!!
「ちょっと待て、大体何で椅子が王様決めるんだよ!」
「裁定すんのが椅子なんだよ」
「ハアアアアア!?」
「しかも王位を蹴るとか流石ルカリウム…。
地味にジャド殿が褒めてたぞ」
地味にって…褒めてんのかよおっちゃん…。
あんまり嬉しくねーな。
「いや意味分からねえ。そんなモンに好かれる謂れがねえ」
「椅子の好みは俺は知らんが、権力を好まない血の気の多い王が『玉座の主』を授かった件が多いらしいぞ」
……椅子の好みとか把握してる奴いんのかよ。
考えたこともねえ。
て言うか…従順なる囀りが取れたかと思ったら、椅子!?
何で椅子!?
確かに散々王家に迷惑掛けられた身としては、権力とか間違っても欲しくねえが…。
えっ、何でそんな事で授け…押し付けられる理由になるんだ?
血の気が多いのは否定しねえけど…。
「……いや、それ…そんなの腐るほどいるだろ」
「王家に生まれたらそんなのは殆ど居ねえんだとよ」
居ねえのかよ。
熱血で清廉潔白とか居ろよ。
と言うかそういう教育をしろよボケ。
どうなってんだよこの国。
「そ、そうだ…隷属の徴は」
「だーからー『玉座の主』で上書きされてんだってよ」
「それが意味分からねえんだよ!!何で上書きになるんだよ!!」
「お前が玉座に座って、ショーン殿下の徴の解放を願ったのに、『従順なる囀り』の縛り無しで普通に喋れてる時点でおかしいだろ」
そんなジトッとした目で睨むなよ…。
俺が寝コケてる間、多分色々有ったんだろうし…疲れさせたのは悪いとは思うけどよ…。
いや、普通に喋れんのは有難いけど、それでもなあ…。
何だまたややこしいモン張り付かせなきゃなんねーんだよ。
鳥以外にも椅子!?
……駄目だ、全く俺に利益が無い気がする。
「……そ、それでも…要らねえ…。風呂で擦ってたら取れねえかな」
「多分実際の王位に就こうが就くまいが一生付き纏うだろうな…。皮膚削っても浮き上がってくるらしいから考えてるんなら止めとけよ。
痛いだけだぞ」
皮膚削るとか言うな!!
グロいことサラッと言う辺り、ロンのオッサンも騎士だよな…。
……スキルじゃねえしそれ、呪いじゃねえか。
……あ、隷属の徴も呪いか。
……俺は呪いから離れらんねえのかよ!?
駄目だ、普通にがなる気もしねえ。腹も減ったし。
「……なあ、この椅子の効果って何なんだ」
「分かる奴が見れば王位持ちだって分かるらしい」
「……ショボッ!!役に立たねえ!!」
「役に立たねえ事ってこたあねえだろ。お前、『王』なんだから」
「いや、王弟のオッサンに譲ったんだろ?覚えてねえけど」
「滅茶苦茶嫌がっておられたぜ」
「大人が嫌がるなよ…」
と言うか一般庶民の俺がいきなり王様になる方がおかしいだろうが。
他所の国とか…対外的とかあんだろ?知らねーけどよ。
元々王族のオッサンなんだから諦めろや……。
椅子柄もどうせなら引き取って貰いたいぜ……。
「後は魔力の底上げらしいがな……」
「底上げ……」
って事は、もし王都で何かに絡まれたら普通に反撃出来るって事か。
それは普通に有難いけどよ…。
だけどよ、オッサン共をビビらせるほどの魔力……どう使えってんだ。
俺は普通に軍関係者でも無いただの草原生まれの一般人なんだが。
喧嘩売って回る趣味もねーし。
……特に魔力が上がったとか何にも感じねえな。
寝違えたのか、若干首が痛いくらいだ。
……普通、こういうのって体が超軽いとか何かいい感じの事が起こるんじゃねえの?
せめてそれ位ねえのかよ。
「それと、言い辛いんだが」
「何だよ」
首に椅子の柄が張り付いて気分的に絶不調な俺にこれ以上一体何が言い辛いんだよ…。
厄介な事しか無くて気分がダダ下がりだぜ。
「お前、ちょっと廊下に出てみろ」
「えっ、何だよ」
俺病み上がりなんだけど。
ぐいぐい引っ張られて、寝台から出される。
オッサンに出された廊下には……。
俺の目の前には
どっかで見た椅子が有った
「……」
椅子だ。
ド派手な。
固まる俺に、ロンのオッサンは重々しく言った。
「玉座だ。何時の間にか置いてあった」
「玉座ァ!?ハァ!?誰の悪戯だよ!?」
一体誰の嫌がらせだよ!?
何でこんなモン持ってこれたんだよ!?
軽々しく持ち歩けるモンじゃねんだろーが!!
ぶっ飛ばすぞボケ!!
「因みに俺も何かの嫌がらせかと思って、王城に連絡してな。ついさっき返しに行った」
「ハァ!?」
冗談だろ!?
そう言おうと思って見上げたオッサンの顔色はよく見たら…良くない。
「だがついさっき、また此処にある。俺はそんなに怖いものは無いが、普通に怖い」
「……ハギャアアアアアア!?」
次ルディ君が出てきます。
次で終わりです、本当に。
その次は本編2の予定。




