番外編そのろくの19 合わせ鏡が証明する
お読みいただき有難うございます。ブクマ、ご評価誠に有難うございます。
知らない間に随分増えていて、感謝感激です。有難うございます。
地味に知ってる家での目覚めのレルミッドの話です。
語り手が叔父上様からレルミッドに戻りますね。
「……それ、俺が言ったのかよ?」
「おうそうだ」
「マジで?」
「マジだ」
……信じらんねえな。
全然記憶にねえよ…そんなの。
……俺は若干見た事あるような家の寝台に寝転がされて居た。
窓の外に枯れたっぽい蔓草が見える。
何か花もくっ付いてる。
庭は大して世話をされてねえでボサボサの枯れた草が多いな。
随分手抜きされた庭だ。
……分かった、じいちゃんちだな、此処。
窓の桟の感じが見た事ある気がする。
暫く来てねえから…でも何となく覚えてるモンだな。
それにしても地味にデコが痛えな。
触ってみたら包帯が巻いてある…。
どっかでぶつけた気がするけどな。
ガサガサ動いてたら、ロンのオッサンが様子見に来てくれて、
そんでこの話を聞かされたって訳だ。
「マジかよ嘘だろロンのオッサン」
「お前の世話を心づくしにして下さった偉大なるロン叔父上様と呼べ」
何だよ言えねえよ。
それにこの前より増えてねえか。
長えよ。早口言葉かよ。
「……世話は有難えけど、長えだろ」
「お前1日半も眠ってたんだぞ」
「……ハァ!?」
マジかよ!!
長っ!!!
あの火事から地味に時間経ってるじゃねえか、
通りで腹減る筈だ。
胃がグルグル音鳴らしてるしよ。何か食いてえな。
…あ!そうだ、ルディ!!
……ルディは、どうしてんだ?
姿は見えねえが。
「……ルディは!?」
「ご静養中だな」
「マジで静養なのかよ!?
どっかに幽閉とか新たに変な徴の追加とかじゃなくてか!?」
反射的にオッサンの服を掴んだら呆れたツラをされた。
何だよ!!
聞かねえととんでもねえ事になってるかもしれねえだろうが!
「……分からなくもねえが、マジだよ。
あの時のお前滅茶苦茶怖かったんだからな」
嘘だろ…?
扉蹴破れるオッサンと其処ら凍らせられるオッサンを俺がビビらせた?
しかも王弟と近衛騎士団の隊長が居て?
そんな物騒なオッサン共を俺が?
絶対話盛ってんだろ…。
「オッサン共の方が化けモン並みに強えのに?」
「……褒め言葉だよな?
後、オーフェンは兎も角俺をいい加減ロン叔父上様と呼べ」
何時までオジウエサマ呼びに拘ってんだこのオッサン…。
オーフェンのオッサンの度量の広さを見習えや。
呼ぶまで言いそうだな…地味に根負けしたくねえぜ。
「それより、ルディは何処に居るんだよ!?」
「お前んち」
「ハァ!?」
「まだ具合は悪いみたいだが、ジャド殿と一緒に居るよ」
おっちゃんと!?ルディが一緒に居る!?
頭に言葉が染み渡るまで、地味に時間が掛かって…
急に目が覚めた。
そんな重大情報は早く言えよ!!
「……おっちゃんとか!!マジか!!会えたのか!!」
「お前より先に目を覚まされたよ。
具合は宜しくないみたいだが」
……具合が悪いのは気に入らねえが、生きてるんだな!?
そうか!!
おっちゃんと…実の親父と会えたんだな!!
「だからお前の寝床はショーン様のモノになっちまったから、
ウチでお前を引き取ったの」
「……そっか!!」
「寝床取られたのに嬉しそうだなあ、レルミッド」
「嬉しいに決まってんだろ!!幾らでもくれてやらあ」
あの俺の部屋は別に気に入らねえ事はねーけど、特別だ。
ルディになら貸してやる。
まあ、あのクソボケな王城よりは100倍マシだろうからな!
ヤベエな、何かニヤケが止まらねえわ。
ロンのオッサンに和むなーみたいな目を向けられたが、
今回は流しといてやる。
嬉しいからな!!
「そうかそうか、嬉しいか。
お前がマシになったら一緒に会いに行こうな」
「おお、頼むぜ!!それで、ルディの具合は?」
「近所の医者と一緒にジャド殿が診てるよ。
薬草にも詳しいしな」
え、おっちゃんが?マジかよ意外だな。
いや、そう言えば家にやたら草が有ったな。
あの薬関係だろうが…他のも有ったのかもな。
興味無かったから全然知らねえけど。
いや、薬……?
そうだ、薬だ。処刑の為の、鳥の……。
アレキちゃんは結局あのクソボケブスをどうしたんだ…?
マジで処刑しちまったのか!?
「……もひとつ聞きてーんだけど」
「ん?」
「ルディを刺した犯人…クソボケブスは見つかったのか?」
万が一クソボケブスが彷徨いてたら…
ルディにまた毒を盛られかねねえからな…。
あのブス、マジで油断ならねえし。
2人共欲しいだなんだってほざいてたんだろ?
……幾ら綺麗どころっつっても
女もイケるとか強欲なブスだよな…。
しかも両方王族……。
身の程知らずにも程が有んだろ。
あのブスの階級は知らねえけど、そんな上役の子供とかじゃなさそーだし。
まあ、ド庶民の筈の俺が何故かルディと友達になった挙句
イトコだったってのも輪を掛けておかしい話だが…。
未だに分からねえわ。
後で騙されてたオチでもいいくらいに破天荒過ぎる。
俺の問いかけにロンのオッサンは微妙なツラになった。
「それがなぁ…微妙だ」
「微妙?」
「火事の始末が未だ終わってないってのも有るが、
服の切れ端しか見つかってない」
「……切れ端?」
「残酷な愛に殉じる塔の近く…
お前らの鳥の巣窟の近くで見つかったんだが、な」
「……」
「お前の親戚、ルカリウム一族に確認してもらった。
塔の屋根には確かに血痕は有ったが、他は無し。
もし、処刑を行った奴が居たとしたら、服のみ…。
そんな筈はねえよな?」
俺はあんまり思い出したくはねーが、塔の事を思い出した。
処刑を鳥共は…確か服と骨と髪の毛は食わねえから…残るんだっけか。
……まあ、普通にエグイ話だよな。
何でそんな事させんだか…。
言ってもしょうがねえが…。
現実としては、クソボケブスは…服だけしか残ってない?
何でだ?
「まるで誰かが生きてるか死んでるかは分からんが、
体を持ち去ったような…
証拠はねえんだけどなあ…」
アレキちゃんはあの塔を使ってない…処刑をしてないってことか?
でも血は残ってる?
まさか途中でクソボケブスが逃げた?
……あの塔、逃げられるような作りじゃねー筈だが…。
本当に逃げられたんだとしたら逃げ足早えな。
あのアレキちゃんから逃げるとか、どうなってんだ?
そんな力が有るとも思えねえな。
誰かが持ち去った方が信憑性有るか?
オッサンの言う通りだったとしたら……何の為に?
あのブスに何の価値が有る?
只単に手が早くて見境と節操の無いブスだってだけだろ?
誰がそんなことをする意味がある?
分からねえ。
「アレキちゃんは何て言ってんだ?」
「アレキちゃんてお前…いや、まあいいけど…。
あの子も体質的に可哀想な子だよなあ」
「性格が死ぬほど悪いけどな」
少なくとも俺は同情は出来ねえな。
滅茶苦茶感じ悪い思いしかしてねえしな。
向こうは全く堪えてねーみたいなのがまたムカつく。
「ユール公爵の責任を取って黙って領地に引っ込んじまったよ」
ユール公爵の責任?
ああ、アレか…。王様に燭台ぶん投げたって奴?
確かに重罪っぽいけどよ。
…親の責任取ってとか、そんな殊勝な気性かよあの女…。
絶対嘘だろ。確実に放火に関わってんだろ。
後処理が面倒だからどっか行ったんだろ……。
そんな気しかしねーよ。
「……王都に居ねえの?」
「居ないな」
「まあ、それは目出度えな」
「酷いなお前…地味に近いぞ、領地」
何だよ近いのかよ…。
でもまあ、会わないに越したことはねえからな。
腹立つし一発ぶん殴ってやりてえが。
あのチビと一緒にな!!
「……それにしても、やっとツラと台詞が合って良かったぜ」
「……ん!?」
「従順なる囀り中もだが、玉座に座ってたお前も凶悪なツラだったからな…」
……従順なる囀り!?
そうだよ、俺、何で今普通にロンのオッサンと喋れててんだよ!?
普通に思ってもいねえ敬語に翻訳されてねーじゃねえか!!
「……ちょっと待てよ、何で俺普通に喋れてんだ?」
「気付くの遅いな甥っ子」
「ドヤ顔止めろよオッサン」
「ハハハ叔父上様だっつってんだろ!!」
「痛え!!」
手鏡で脇腹どつく事ねーだろ!!
は?鏡?
別にツラを眺める趣味はねーんだがな。
「何で鏡?」
「いいか、此処にもう一つ鏡がある。
合わせ鏡だ、よーく見て見ろ、お前の徴を」
「……喋れてるって事は、消えたんだよな…?」
それしかねーだろ。
オッサンが俺の背後に回って、鏡を構える。
そして俺が渡された方の鏡を覗き込むと……
確かに俺の首の後ろ…隷属の徴、『従順なる囀り』の徴の柄、鳥籠は無かった。
だが…
「何っじゃこりゃああああああ!?」
「……上書きされたみたいだな」
「何だよこの椅子の模様は!?」
椅子の柄がくっきりと…皮膚に張り付いているのが見えた…。
……何でだよ!?
鳥籠の代わりに椅子!?
何で椅子柄だよ!?一体どういう事だ!?
何だこれ擦っても取れねえ!?
オッサンの仕業か!?まさかどっかの誰かの仕業かよ!?
いい加減にしろよ!?
また何かややこしい事になりました。
鳥籠の柄から椅子柄に。




