番外編そのろくの7 揺れる再会
お読みいただき有難う御座います。
塔の話がちょっとあります。
学園には一応行ってます。
「ああ、因みに筆談なら思う事が書けますよ」
「本当ですか?」
「家の中なら許されています」
つまり身内のみ本音喋れんのかよ!!
何でこんな都会で猫被りやんなきゃなんねーんだ!!
いい加減にしろおおおおお!!!
「はい、さっさと入りなさい。傷も洗わないと」
苦悩してんのに全く気にせず、おっちゃんは俺を通り沿いの小さな家に連れて行った。
そんで部屋に放り込まれた。
……何て言うか、ムカつく位いつも通り過ぎるぜ。
口調は変だけどな。
……二階建てか。
うーん、住んだことねえな。
こんな状況なら喜んだかもしんねーけど……。
全然嬉しくねえわ。
「今日は鳥と寝なさい」
「……」
無視してたけど藁積んであるのやっぱりかド畜生。
二階なのに入り込んできてもう寝てやがる。
飯の間居ねえぜせいせいすんな!と思ったら…!!
図々しすぎる!!何で探り当てて居座ってんだボケ!!
「明日から学生兼、鳥番ですからね」
「……鳥番とは?(早速クソボケ鳥の世話かよ!?労わってくれよ!!)」
「主に鳥の世話。そして塔の清掃とか、処理です」
「清掃…ですか(えーダリィな)」
「ええ、慣れたら薬の調合も」
「薬?」
「ええ、特殊な薬の」
……何なんだよそれ無茶苦茶怪しいんだけどよ。
大体塔の名前も怖え…得体が知れねーし!!
薬とか更に薄気味悪ぃ。
薬の調合なんてやった事…無いぜ?
あー、親父とか親戚の手伝いで草潰させられた事は有ったか。
地味に疲れたな、アレ。
……アレって鳥の餌関係じゃねえの?
何かそう聞いた気がすんぜ?
「そのような事はやったことは有りませんけど(しかも怪しいなオイ)」
「処刑が無ければ必要ありませんから」
「しょっ…」
処刑いいいい!?
ハアアアア!?何でそんなえげつねー単語がまた出てくんだあ!?
おっちゃんがニヤッと笑った。
口調が変なのに顔と合ってねえのがまた微妙だ。
「レルミッド、我らは国に膝を折った一族として、王家をお守りすると共に、法の名の下処刑の一部を司っています」
アレか、草原でルディのご先祖に滅多クソに負けた奴か。
そんな追加業務は聞いてねえぞオイ!!!
単に丁寧な口調で臣下やるだけじゃねえのかよオイイイイイ!!
「ほ、法の下のしょ、処刑…」
「我らが生まれながらに従える風の魔術と鳥。
それを使って特殊な断罪をせよとの任務です」
風はまあ分かるけど、鳥は別に従えてねえよ…。
アイツ等勝手に寄って来て勝手に飯奪ってるだけじゃねえか。
言う事聞いた例有ったか?
少なくとも俺には全然ねーぞ。
「特殊…?」
「残酷な愛を誓ってしまった人々を、鳥と魔術を使って処刑するのです」
俺らが?
……何で?
意味が分からねえ。
さっき大喜びで食ったもんが入った胃がすっげえ冷たくなってきた。
「本格的な方は専属の処刑人が居ますからね。
まあ滅多に残酷な愛を誓う人間など居ないので、気楽なものです」
いや、本職が居るんだったらそっちに全面的にお任せしろよ。
俺みたいな小僧とかお呼びじゃねーだろ!!
何すんのか知りたくねえし、やりたくねええええ!!
「……その残酷な愛とは何でしょうか(ろくでもない気しかしねえ)」
「人間関係…恋愛面の縺れですね。愛する人を取った取られた…その延長線上ですよ」
知らねえよ!!
自分らで解決しろよ!!
人を巻き込むな!!
しかもそんな処刑の区分けすんな!!
「それをどうして処刑などと残酷な…(そんなうぜえなことになんだよ!!)」
「司法と王家がお決めになれば、従うのみです」
「……そうですか(つまり王家の言いなりってことか?)」
王家も変な法律作るんじゃねえよ!!
ろくな事しねえなルディんちの先祖!!
何なんだよこっぴどく女に棄てられてムカついた奴でもいたのか!?
「まあ、この何年かは全くありませんでしたから大丈夫でしょう。
そんな訳で我が一族は『鳥番』もしくは『魔術と法の下の処刑鳥使い』とも言われます」
インパクトが有るんだか無いんだかなショボい名前だな。
しかも後の方、長えし…覚えられる気がしねえ。
「『魔法使い』とも略されることがありますけどね」
「……童話のような呼び方ですね(そんなの略さなくていいだろ)」
何だよ魔法使いって。ネタか?
すんげー小せえ子供向け童話かよ。
取り合えずそれと鳥番なら鳥番呼ばわりの方がまだいいぜ。
所詮どっちも鳥だからな…!!
クソボケがあああ!!
「……鳥は何をするのですか?(そんな変な名前なのかよ、あの鳥…)」
「残酷な愛に殉じる手伝いをします」
「…処刑鳥と言うからには(エグそうだしマジ聞きたくねえ…)」
「少々残酷ですけど、喰らいます」
それから俺は…
鳥は塔で生まれて草原に飛んでってタマゴを人間に託すこと。
鳥に人を喰らわすことを教え込んでいること。
処刑する人間は裁判で決まるが、必ず他所の恋人だか相方だかを寝取った奴だと言うこと。
処刑する奴の格好は白い服…だのなんだのかんだの。
…まあとにかく吐きそうな事ばっかを教え込まれた。
何で旨いもん食った後にんな話をすんだよ。
おっちゃんのクソボケ!!嗜虐趣味しかねーだろ!!
流石親父の弟だよボケ!!
怒鳴りてえのにお上品な言葉しか出ねえしよおおおおお!!
んで、怒鳴れねえ俺をニヤニヤしながら、叩き込んだのは浴室だった。
おっちゃんの家には何と風呂が有った。
どっかどうなってんのか分からねえが、水が出る。
若干はしゃいじまったぜ。
家だと風呂沸かすの面倒だから週に3回位になんだよな。
燃料も高えし。
取り合えずおっちゃんに散々寒ぃ話をさせられて温まって。
簡単に傷の手当てをされてから、俺は用意された寝台に転がった。
敷布が嗅いだ事の無い匂いと太陽の匂いがするし白いな。
おっちゃんって洗濯とかこういうのはマメだな…。
親父と違って。
うーん、未だ打ち身が痛えぜ。
母ちゃんに手紙書く時に
『親父にぶん殴られた傷が痛んで辛え。中々治らねえ』って忘れずに書かなきゃな。
んで飯を減らされろボケ親父。
天井が木で地味に高えな。
ずっとテントだったから何か変な感じだ。
それにしてもなあ。
……王都に来るって嫌だったけど…更に嫌な事実が増えたぜ。
俺が鳥を本能的に嫌う理由…。
あの鳥共は…人間を喰らうのかー。
しかも人の指示で。
いやまあ、喰えるもんは何でも喰えばいいと思うぜ?
だってアイツ等本来自然の生きモンだからな。
それを処刑の道具に使うってなあ…。
何か違くね?って気がする。
生きていくために喰うのとは違うだろ。
何で俺らの先祖はそんな条件を呑まされたんだ?
鳥は何で俺らの先祖に纏わりついてたんだ?
と言うかどうやって飼いならした?
狩りにもアイツ等微妙に使えねーしなあ。
寧ろデカいし獲物逃げる時有るし狩りの邪魔だしよ。
…俺の傍に居る鳥共は、野生の鳥にあるまじき無防備さで寝てっけどな。
人の家に勝手に入ってくる時点で頭は悪くねーんだろうけど…。
うーん、人の勝手都合に付きあわさせる為の鳥なのか…。
こいつら。
微妙な気分になんなあ。
あんま好きじゃねーのは変わらねえけど。
そして俺は……学園に足を踏み入れ、そこの生徒とやらになった訳だ……。
何か変な像…女神像とやらがやたらめったら在る以外は、まあ…これ、普通なのか?
アレだよな、コレって呪いの女神像だっけか?
何かやたら長え名前の奴だったな。忘れたけど。
えーっと、恋愛成就を祈って動かしたら増えんだっけ?
どうでもいいけどクソ迷惑なシロモンだよな。
何で道のど真ん中に在ったりするんだよ。微妙に躓きそうな角とかよ。
設置する方も考えろよな…。迷惑だぜ。
どー見ても怪しいし、気持ち悪いモンは触らねえけどよ。
そんでまあ…俺は学生になった筈だ。
一般常識とかはまあそれなりだし、勉強もまあまあ。
魔術の授業は楽しかったな。
まあ、全力でやんなって怒られたけど。
ちょっと爆発魔術実験専用の魔術師塔を…まあ、大丈夫だろ…煉瓦ズレただけで済んだし。
基礎根幹までは…うん、まあ…大丈夫だよな。
んで、時たま『残酷な塔』とやらに行って、暫く会ってなかった親戚と駄弁ったり其処ら掃除したりしてた。
これがまた塔高えんだよ。最初は筋肉痛になりそうだったぜ…。
草原暮らしだから階段とか登り慣れてねえんだよ!!
どうでもいいが、親戚中の鳥だらけだなオイ。
またクシャミが止まらねえしな…。
「レルミッドと普通にお話しするには塔以外の所でお会いした方がいいですね」
「相変わらず羽が駄目なんですねえ…」
親戚中に生温い目で見られたから生温い目で見返してやった。
で、クシャミが止まらなすぎて俺は早く帰れと親戚に家に帰らされるところで、俺は危機に晒されていた。
「ハギャアアアアアアア!!!」
何なんだよクソボケエエエエエエ!!!
何でどっかで見た土気色の顔色した人間(大量)に担がれんだよおおおおおお!!!
「降ろし…ギャアアアアア!!!」
俺の渾身のもがきにも関わらず、
人間?共は俺を担いで凄い勢いで森の中を疾走して行く。
何処だこの森はあああああ!!何処を通ったのかは全く分からねえよ!!
俺はそんなに王都の探索とかしてねえんだよ!!
て言うかどこもかしこも似たような家ばっか建ってて分かりにくい!!
まあ草原の方が分かり辛えかもしんねえけど!!
決して1人で歩く自信が無い訳じゃねえからな!!
「誰かアアアアアアアア!!!」
俺が叫ぼうと喚こうと土色の人?は全く何とも言わねえ!!
これって…これってルディか!?
ああでもルディみたいな奴が他に居たら普通に誘拐だあああああ!!
何で今日に限って俺は親戚の誰かと一緒にツルまなかったんだあああああ!!
俺が声を嗄らして揺れで目を回しまくった時、そいつらの動きが止まった。
「あぐっ…!?」
何でか知らねえがさっきまでの扱いが嘘のようにそっと降ろされた。
…久々の地面の感覚に感動したぜ。
うぉおおおお揺れがマジ気持ち悪かったああああああ!!!
人であれ馬車であれ俺って本当に乗り物に弱えんだな…。
馬なら大丈夫なのによ!!やっぱり俺は都会に出るべきじゃねえ!!
後まあ、飯前で良かったぜ…。
何処だか知んねえ所で吐くとこだった。
でもまあ…とりあえずは…助かったのか?
揺らされんのからは…解放されたんだよな?
もう持ち上げられる気配も…ねえし。
チラッと確認してみたけど。……土気色の奴はなんとも言わねえ。
俺を微妙に囲んで立ってるだけだ。
何も言わねえのに見てるのも何か怖…気持ち悪ィし…俺は辺りを見回してみた。
それにしても此処は何処だ?
何かやたら凝った植物に囲まれた…中庭?
…どっかの金持ちの家の庭か?
別世界感がスゲーな。
俺はこういうのサッパリ興味ねーが、花がやたら有って女が喜びそうな庭だ。
俺の横に植わってんのもだけど、バサバサした花だらけだな…。
この横の黄色の花も匂いはいいけど、強えし。
ちょっと呼吸が整ってもうちょっと目を凝らしたら、
直ぐ壊れそうな机と椅子が見えた。
んん?誰か座ってんな。
コイツが誘拐犯か!?
うわっどうすっかなあ…俺今魔術使えるかな…!?
あー無理だめっちゃ気分が悪ぃ…。魔力練ろうとしても掻き消える…。
うわー情けねえ…。やべえ…。
もしもの場合どーやって逃げるか…。風の魔術ぶっ放す以外全然思い浮かばねえわ…。
何かこう相手を丸め込める言い方とか…あー駄目だ無理だ!!
出来るだけ時間稼いで風ぶっ放して逃げる!!それしかねえ!!
「レルミッド!!」
…其処に座ってた奴が大声を上げた。
うう、まだ気分が底抜け悪ぃわ!!頭ぐらんぐらんすんぜ…。
デカい声出すなボケ!!
「久しぶりだなレルミッド!!よく来てくれた!!」
俺の名前を呼ぶのは聞いたことのない声だった。
俺は無理矢理チカチカする目線をそいつに向けると、其処には汚したら面倒くさそうな白い豪華な服の、キラッキラの男が居た。
キンキラの金髪に、薄い茶色の目の輝きっぷりは忘れようが無い。
貴族つーか、偉い奴オーラ満載で…
凄えどっかで見た事がある男が俺に向かって馴れ馴れしく近づいて来る。
うわーすっげえ見た事ある色味の奴…のデカい版じゃねえか。
車酔いと羽毛アレルギーに苦しむレルミッドを拉致った犯人は誰!?
次回、あの人(笑)との話!!
感動の再会になるかなあ…微妙に無理ですかね。




